いわき 湯本温泉の旅

久しぶりに夫婦で一泊二日の小旅行。福島県いわき市の湯本温泉へ。

例によって、妻による旅の記録。

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体調がいまいちな夫、医師からは、あんまり歩かないで、いろいろと痛くならない範囲でで生活しましょうと言われている。
それならそれでと部屋にこもり、趣味三昧の日々を送ってきた。しかしそろそろ変わったことをしたくなったらしい。「お刺身食べたい。ついては福島、いわきに行きたい」と言い出した。

 こちらは一人温泉旅に凝りだしたところであった。仕事の関係で日本中見て来た夫に
旅行をせがむのは同じ映画を二度見てくれというのと一緒だなと納得、PC使って色々調べるのが楽しくて。それがまさか「連れて行ってくれ」となるとは想像もしなかったけれどとにかく歩数をケチればいいわけね、そんで福島いわきに行けばいいわけね。思えば海外旅行は丸投げしてきた。国内旅行なら私が丸投げされてあげましょう。

 ハテ、ところで「いわき」とは何ぞや。夫によれば、映画「フラガール」が有名かなあと言うが、基本福島なら何でもいいらしい。調べてみたらハワイアンズ(旧 常磐ハワイアンセンター)にはでっかい露天風呂があり、東京から直通バスまで出ていて、便利便利。でも、帰りのバスの時間が遅すぎるし、ハワイアンズに行きたいわけではない。例え園内にせよ、うろうろするということは歩数を稼いでしまうことにもなる。

 別にプールで遊びたいわけではないし、大人らしく湯本温泉で温泉に浸かって旅館飯を食べて帰って来ましょう。観光は道すがらの景色だけで十分、折しも世間では GO TOトラベルとやらでお得に旅が出来るようになっている。いや、定価でも旅しますけどね。とりあえず行ってみればいいんじゃない?

 関東からの公共交通機関利用してのアクセスは高速バスと特急電車スーパーひたちがある。高速バスは片道3時間で3500円。湯元温泉から一駅先のいわきに到着する。
スーパーひたちは片道2時間で6500円、湯本温泉駅に停まってくれる。どうせなら道は同じでない方がいいから、往復別々に使ってみましょう。

 

 次いで宿探し。本陣宿があって中々好みであったがその日は取れず、駅から1分という 元・魚屋であったという宿を選択。お風呂はあまり広くなく、外観はビジネスホテル。まあしかしお魚食べに行くのだし、どーんと贅沢するのは現役時代のお金がある頃の話、年金生活者としてはリーズナブルな値段で何度でも行けばいいのでは?というのは言い訳で、駅から1分というのが面白くなっちゃって。

 

 当日は東京駅11時発、いわき行きの高速バスに乗車。高速に乗るまでそこそこ渋滞したが、普段は電車生活で、こんな道を通ることはないので物珍しいったらありゃしない。ビジネス街の高層ビルに混じって人が住んでいるらしい建物があるし、隅田川を見下ろすアパート眺めは壮観、川に向かって四角い白いお布団が並んでいる。 

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 荒川超えると高速道路にはカバーがかかってしまって、何も見えなくなる。常磐線には乗ったことはあっても、常磐道なんて初めて通る。周囲の車についているナンバーの地名も物珍しく、と思っていたら熊本ナンバーまで。一体何を運んでいるのか。馬肉??
 
 1時間半ほどで友部インターで10分間の休憩、車を運転しない身の上としては憧れのサービスエリア、何が名物で何が買えるのか、いそいそとバスを下りた。茨城だからか、わらづとを使った立派な納豆が!!他にも色々あったけど、納豆のインパクトには負けた。翌日には帰るのだから、買えば良かったなと後悔。
 
 ゆずソフト、410円。細かいお金がなくて夫が10円出した。「一口食べる?」と渡してやり、返してきたものを見て驚愕、夫のやつ、10円しか出してないくせに100円分ほどもなめとっているではないか!夫は部屋にこもりメイカーフェアの支度をしているうちにネジと一緒に常識というものを部屋の引き出しに置いてきたようだった。

 窓外には田んぼ、その向こうには見事な昔ながらの造りをした、黒い瓦の家が見える。長い塀の向こうにある建物は一棟ではない。蔵もさりながらガレージには多分軽トラックの他に乗用車もいくつか置いてあり、棟を替えて農機具置き場、また棟を替えて取り入れた農作物を収納仕分けする場所もあるはず。いくつもの棟は現代において百姓をするうえで必要なものなのである。結果的にそれがカッコイイ眺めになっているわけで。

 いわき駅到着。電車で一駅戻るには接続が悪く、それより路線バスで湯元駅に行く方が早そう。移動は飛行機か路線バスに限るとはいつも思う。途中で大きなスーパーが見えて、是非とも見学、出来れば買い物したいところだが仕方ない。一人旅なら下りていた。遠く離れた気候も何も違うところでどんなものを食べているのか、気になるではないか。

 湯本駅東口、到着。目の前にあるのは線路を長々とまたぐ歩道橋だった。ここを歩かないとホテルにはたどり着かない。余計な歩数を稼いでしまった。が、しょせん駅から1分なわけで、駅前の沖縄料理屋なんぞ眺めながらホテル到着。この日は5千歩。すまん。

入るときには消毒用の小さなボトルを渡され、部屋には既に布団が敷いてあった。夫、ありがたく横になって休む。

私だけ街歩きに出た。小さな温泉街だが、先ほどの沖縄料理屋に加え、台湾料理屋あり、インド料理屋あり、果ては東北唯一というハラル認証のある料理屋まであった。こんにゃくと書かれた間口ほどの小さな店もあり、伊豆で採れた天草100%使用、を謳ったところてんなど売っていた。

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 足湯や立派な共同浴場を見ながら歩く。予約が取れなかった本陣宿屋発見、本日休業なのだと知った。

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立派な三重塔が見えて行ってみると福島八十八番札所の1番目のお寺だそうである。最近は八十八か所が流行りなのか、実家あたりの田舎でも八十八か所を謳っていて、住み込みの住職がいないような寺まで数えている。御朱印もらうには車で20分も走ったところにある、別の寺に行かなければならないのに、いいのか一体?
温泉神社なるものがあり、見るからに立派な建物の前では道路工事をしていた。

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 ホテルに帰り、お風呂に行く。女風呂と男風呂は日替わりらしい。その日の女風呂は狭い方だった。他に人はいず、独り占めなので文句なし。お湯をとっぷりと堪能した。
 
 食事。スマホ持って行かなかったので、料理写真はない。近くのテーブルでは盛んに写真を撮り、あれを食べてもこれを食べても美味しい美味しいと口に出している。ホテルの若い男女が配膳を担当し、男の子はカワイイ顔をして見事に訛っている。

こういうところでいつも迷うのがお酒の順番だ。とりあえずビールでも、お刺身は燗酒でいきたい。だが、ビール飲んでいるうちにお刺身も終わってしまう。なので一度に持ってきてもらうことになる。
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 旅館飯をいただく。小鍋にはブイヤベースが入っていて、他のものを食べているうちに煮すぎた。煮魚はメニューによればカサゴの一種だそうだ。ホテル到着時から煮ている匂いがしていた。ああこれを煮ていたのだなあと一箸つけれみれば、なんか硬い。口に入れてみたら味は濃くこれはもしかして佃煮にするつもりだったのでは。夫、すかさずゴハンを注文してくる。そう、煮魚の翌日の煮凝りをゴハンにかけて食べたいような人々にとってはどストライクなお味なわけで。配膳の男の子の訛り同様、この煮魚の味こそが一番の旅情だった。10月も初旬に、デザートは柿。初物だ。お腹いっぱい。

余談だが、食事する部屋に流れている BGM はハワイアンであった。ロビーでこんなパンフレットをもらって部屋へ。

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