全国旅行支援をもらって沖縄一人旅 3

 もう三日目である。前日の、那覇から屋慶名までの往復4時間座りっぱなしに加えて
島巡りのバスに乗ったせいで疲れ、よく眠れた。しかし慣れてない枕を疲れでだまして眠ったことにもなり、あちこち痛い。湿布の類を持って来るんだった。

 最終日、本日はお土産買いとセンチメンタルジャーニーの両方をこなさないといけない。荷物を持ってホテルを出、迷ってる暇がないのでタクシーで安里駅に出た。まずはゆいレールで空港に向かう。このゆいレールも不思議な雰囲気で、未だに車内で立ち位置間違えてる人もいるし、その上で観光客のスーツケースがあちこちで林立する。その日は畳半分くらいありそうなスーツケースにもう一つスーツケース、その上でっかいボストンバッグを持った女子が車内の注目を集めていた。でっかいボストンバッグでもう一人分の席を占め、免税措置のためかレシートを確認しながらゴソゴソやっている。小さいスーツケースが動こうとするとその上に馬乗りになり動かないようにして、またゴソゴソ。全身ピンクのお姫様な格好だったがどこへ帰るのか。国際線の行先を空港で見ると台北、仁川、香港。ピンクの毛糸のスパッツはいてたから仁川か?買い出しにでも来たのかと聞いてみたかった。

 空港でいったん降りて荷物をロッカーに預け、南部にある 糸満(いとまん)道の駅 を目指す。一番乗り場で待つは東京バス。東京で普通に貸し切りとかやってたらしいが、何故か沖縄でビジネスを展開するようになった、とバスオタの記事で読んだ。路線には初日に行った瀬長島とか水族館とかがあって、外国人はまごまごしながら、若い観光客たちは楽しそうに降りて行った。

 糸満道の駅で降りたのは私と一人のおじさんのみ。何で皆来ないかねーと思いながらまず入ったのはお土産屋の棟だった。こんぺん発見。お菓子御殿のは個別包装だが、こちらは小さいのがいくつも入っていて、石垣島の程よい大きさのやつ。他にも種類がある。次回はここで買うことにしよう。

 全てがかちっとハマるお土産買いなんてあるわけがない。てなわけで食堂のメニューをつらつら眺める。沖縄らしいメニューが並んでいる。値段はそれほど安くないようだが、実はボリューム満点なのが沖縄の食べ物。沖縄そばなんて、たぐってもたぐっても麺が底から湧き出て来るのが普通だった。負けるもんかと食べて太るのが恐ろしい沖縄の食べ物なんである。と、イカスミ汁発見!!これがあると知っていたらホテルの朝ご飯なんて食べなかった。

 ところで写真を撮った時には気がつかなかったが、「南の駅食道」という文字がしっかりと写っているのを夫が発見。食の道を示しているの?? いや、食堂と間違えたとしか思えないのは私だけ?

次回に生かせばいい、って私はいつ来られるんだか。今度は鮮魚棟へ。

糸満と言えば漁港、しかし県産に限らずあちこちから仕入れもしていて、各店競うように賑やかに食べ物を並べている。席がしつらえてあり、皆さんそこで買ったお刺身や丼を並べて食べていた。くやしい。

でかいマグロのカマを煮たのが4つも入ったのが売られていた。それも昨日煮たのか、半額になっていやがる。こんなのお土産にして皆さんの度肝を抜きたい。けど、重たい。帰りの便は夜7時なので、家に帰りつくのは10時すぎ。買って帰っても見せびらかすのも食べるのも明日になってしまう。

 花を扱う棟に来ると、赤ん坊の頭くらいの大きさのハイビスカスが!!北部の島に
ハイビスカス農家があり、そこで交配、新種を作っているとは聞いたがこれか?

 青果棟に行くと、何この広さ!!うちの田舎の道の駅の倍はある! 青い島バナナ、150円でたっぷりと入っているパクチー、おっさんの二の腕くらいあるニガウリは自分を鎮めるのに時間がかかる。沖縄名物と言ってもいい、お惣菜スペースをはるかに超えてご飯の上に肉が鎮座してるお弁当もある。

 お弁当も買いたいけど、これから Jimmy's 行って買い出ししなきゃだから荷物が持てなくなるのでは? そちらでステキな何かが沢山売られてたらどうしよう? 厳選しなければ。いや、厳選したつもりでも帰ったら色々重複してはいたが。ここでは地域クーポンが使えず、こんぺんを扱っているお土産棟なら使えるとのこと。

 あっちでわあわあ、こっちでドキドキしてたらあっという間に時間は過ぎた。急いでバス停に戻ると同じバスで来たおじさんがいた。どこから来たんですかあ?と聞いてみたら「どこからというわけじゃないけど、旅行支援で安いから先月も今月も来た」とのこと。なるほど、マニアなんですね。ここまで下見出来たんだし、私も来月あたり母を連れて来てもいい。1月となればコスモスが咲いて、2月には海洋博記念公園でチューリップフェアみたいのがあったはず。母は私が一人で行くと言ったら「もったいない!」と謎の発言の末、ソワソワしてた。

 そんなこんなでバスで空港に戻り、買ったものをロッカーに入れる。外は雨。空港の案内所で安謝の Jimmy's にはバスで安謝橋から行くべきか、ゆいレールの方が近いのかと聞いてみると、「銘苅(めかり)のですよね。どっちも同じくらいですねー」とのこと。しゃあない、安謝橋(あじゃばし)までバスで行ってタクシーを拾うか。

 安謝橋は那覇を抜けて北の浦添に入る途中にあり、大動脈であるところの58号線上にある。つまりバスもタクシーもばんばん来るのである。思った通りバスはすぐ来て安謝橋ではけろっとタクシー拾えた。

 Jimmy's の本店。ここは結局お菓子屋さんなのだが、パンもお惣菜も輸入食品も扱っている。お菓子は銀座のわしたでも購入出来る、ものもある。だがここまで来て楽しみにしているのは肉のお惣菜で、アイスバインだのなんだの、とにかくおおぶりで本土のスーパーで扱うそれが限りなく貧相に見えるほど。結局買って帰らずにはいられないのである。

 とりあえずは本土では食べられない生ケーキの一つも食べてお茶してやろうとレストランに赴く。だがランチビュッフェしかやってないという。その上地域クーポンも空港でしか使えないとのこと。空港で売ってる商品なんて、銀座のわしたで買えるものばかりじゃーないですか!

 Jimmy's のお店は他にもあるが、「那覇店」を名乗るここが一番充実してるはず。だが他にもっと充実した店があって、カフェとか営業してるところがあるのなら知りたいが次回来た時に空港の案内嬢に聞いてみるしかないのか。どんだけ狭いんだ、沖縄。つうか、沖縄でそういうのやってるのはお菓子御殿と Jimmy's くらいだろうし。

 仕方ないので肉のお惣菜を買い、ニンニクの匂いをふりまきながらまたタクシーに乗る。次はジュンク堂をチェックに行く。つかまえたタクシーの窓には地域クーポン使えますというシールが貼ってあり、クーポン使って楽することに決定!重たい惣菜持って
ゆいレール乗りたくない。このままジュンク堂につけてもらおう。遠くないし、タクシー料金安いし。

 タクシーではJimmy's で地域クーポンが使えなかったことなどグチり、運転手さんも
「あれは評判が悪いであるよ。」的なことを言い、見栄橋まで来たはいいがぐるぐる回り、挙句に「あれ、ここに出るのかね。」と運転手さん。クーポンは千円、運賃が1050円。クーポン一枚そのまま渡すつもりのお客に50円足を出させちゃうのはダメじゃないですか!!

 道を渡って、ジュンク堂。リブロより全然いいような気がする。しかしリブロにあってこちらにない沖縄書籍もあった。大きな地元書店もあるけれど、結局この2店しかチェック出来なかった。ここで紹介されていて、買いたくなったのが2冊。しかし出版モトを見れば片方はハヤカワ文庫、もう片方は筑摩書房。そしたら東急本店にあるジュンク堂でも買える。東急本店は来月で店じまいするので二重に記念になる???

 それにしても那覇の変わりよう。同じ店が存在しない。ジュンク堂のビルはその昔
ダイエー那覇店だったが、いやもう全然それと気が付かなかった。昔どれだけその
前を通ったことか。まあつまりはまた迷った。昔住んでた家の前にあるホテルを見つけ
(名前は変わっていた)それでやっと自分のいる場所が判明したのであった。

 Jimmy's のお惣菜をぶら下げて、今度は公設市場を目指す。ああ変わってない、はずがない。と思ってはいたが、まさか建物を建て直していて場所まで変わっているとは思わなかった! その昔の市場の匂いがしない。真っ黒いイラブーの杖もぐるぐるもない。食べると必ずお腹下したお惣菜屋さんも、更に延々と続いていた洋服屋さんもなくなっている。

 代わりにあるのは飲み屋ばかり、せんべろや昼飲みを謳っているようなのばかり。
国際通りと市場は違うんだから、こういうのやっちゃダメじゃない!と言いたくなるが、国際通りは家賃が高いからせんべろは出来ないし、観光客は観光で忙しくて昼から飲んでいるわけもない、と思えば今度は恐ろしくなる。

 タクシー拾って空港。Jimmy's のお惣菜ぶら提げて ヘリオスのビアパブ を目指す。沖縄来たならこれだけは味わっておかなければ、と思うものの一つ。しかし国際線は遠い。地味に歩く通路にはお上品な店がいくつもある。塩の専門店なんてのもあった。

 何でまたと思うほどのすみっこに作られた店で、ペールエールのトールサイズを注文。カウンターの上方にはにはどこからも見えるよう、フライト状況の表示が二つ、刻刻と変わるそれを見ながら、ああうまい。

 これは飲むためではなく味わうためのビール、なのでトールサイズ一つで十分。やがて「この便に乗るならとっとと来て」的なアナウンスが聞こえてきた。仕方なくビールを飲みほして店を出る。空港にいくら地域クーポンを使える店があろうと、もうそんな暇はないと覚悟はした。と、目の前にピエール・エルメのマカロンの店が。存在は知っているが自分が買う日が来ようとは思わなかった。四千円でちっこいのが10個しか入っていないのに! 天から降って来たような地域クーポン、出来れば地元のものに使いたくとも買い集める時間はなく、これ以上荷物は持てないから、小さいものしか買えない。ロッカーに行って荷物を取りチェックイン、その頃にはアナウンスは「早く来ないと飛行機に入れないかもよ~」的なものに変わっていた。

 地域クーポン使うために時間かけて遅刻しそうになる人が続出してるのかもしれない。一泊3千円、私は2泊だから6千円。「多分皆さん、使いきれないと思います。」と初日のツアコンが言ってたが、まさかの私が結局千円分、余らせていた。

 本日は雨、日本列島の灯りは見えない。というか席も通路側。ただし初日とは違って目の前には現在位置を教える地図が出て来る画面があり、本物ではないなりに楽しめた。羽田まで帰りは2時間のフライト。しかしバスが出たのが30分後なので、帰り着いたのは夜11時だった。あんまり頑張りすぎたのか、翌日は鼻水と微熱が出た。