スペイン旅行 11日目 マドリッドへ

スペイン旅行 11日目 マドリード
 
 荷物をまとめてマドリード行き9時36分発の特急に乗る。これがスペイン最後の電車旅。最初に見えたムルシアの丘は岩だらけで、緑はまばらでオレンジかオリーブが植わっていた。この二つが同じ土俵で育つのだとその時初めて知った。2時間ほど走るとちびちびと樹木が増えていき、その下にありがたい木陰の存在を認めることが出来る。やがてその樹木の間に茂みが生え、その茂みがとなりの樹木につながっていく。
 
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 広い野菜畑が見えるようになる。そこそこ近くなら作物はジャガイモだなと判別できるが、あまりに遠いと、緑を読むしかない。ネギもカリフラワーも一緒に見えてしまう。逆に近すぎると何がなんだかわからない。電車のスピードが早いので。果樹の畑は樹形を読み、葉の形で読む。ブドウやオリーブはわかりやすいが、オレンジとレモンは当然、実がついていない限り判別がつかない。たまに細長い葉が見えたがあれはモモかそれともアーモンドか。
 
 3時間半、平原の向こうにドンキホーテの風車があるよと乗客の一人が教えてくれた。平原のこちらには、大きな農業機械が動いている。それに乗っている人の車は、機械のはるか先にぽつんと停まっている。遠い丘の上に城壁らしきものが見えてそこは小さな旧市街のはずで、その足元には広い広い畑が続いていた。なおも進むとたまに何もかもなくなったり、また畑が続いたり、何もないあたりでは本当に何も出来ない土地なんだなあと納得する。
 
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 時折り、物売りがカートを押してやって来る。日本の特急内の物売りの内容を見せてあげたいほど、メニューは少ない。物売りの彼は香水の類をつけていて、いい匂いをさせている。香水はこの場合、たしなみというやつだ。彼らが香水をたしなんでくれないとどうなるかは、たしなんでくれない人々と同じバスに5時間乗れば、いや、そこまでしなくてもいい場所もある。


以前ネットで、日本では電車で誰も隣に座ってくれないと書いた外国人がいた。それに対して「香水か体臭か、そのどっちかが臭いんだよ!」とミもフタもないコメントがついていて。よほどキライな香りでなければ、つけてすぐの状態でなければ隣に座れないほどではないと思うが、どうなのか。
 
 アランフェスをすぎるとマドリードに近いだけあって郊外の景色となり、あまり面白くない。ムルシアから4時間半でマドリード、アトーチャ・レンフェ駅に到着。ムルシアより暑く、光がまぶしかった。タクシーは駅の表示に従っていったら、簡単に見つかった。タクシー乗り場にはタクシーが3列にもなって連なっていたが、係りがスムースに配車。アトーチャ駅からホテルまではそう遠くなかった。ホテルはいわゆる旧市街にあり、王宮から歩いてすぐのところで、隣は修道院、そのまた隣はデパート。マドリードの旧市街もそんなに広いわけではないと後で知ったが、ここも中々便利だった。
 
 古いながらに中々立派なホテルで、天上が高い。しかし荷解きしてみればホテルのハンガーは他の場所にひっかけて使えないタイプで、やはりクリーニング店のハンガーを持って来て良かったということになる。朝食はどうなのか。もはや値段を確かめる気にもなれない。
 
 昼寝をしてから起きて洗濯。お前は洗濯ばかりしていると夫に言われる。実際、外国に行くと何故か洗濯したくなるし、夏はよく乾くので、欲望のままに洗濯してしまう。暑いの寒いので旅先では洋服であせることが多いが、最近はあちこちにユニクロが出来たので便利そうではある。旅先で現地調達するにもサイズだの組み合わせだので、時間がかかるし。
 
 マドリードのガイドブックはあるが、やはり現地の通りの名前で表示された地図が欲しい。それでインフォメーションを探しに行く。マヨール広場にそれはあった。途中、サンミゲル市場に遭遇、しかしこれこそは観光市場で、小さなバルやカフェの集合体みたいな市場。これが市場?タパスやピンチョスをつまみに一杯やれるようになっているし、お酒がダメなら甘いものも生ジュースもそろっている。しかし混んでいて、ゆっくりは出来ない。ゆっくりは出来ないが、SNS映えしそうではあるな。
 
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 インフォメーションでマドリードの地図とツーリストバスの路線図をもらって、ホテルに帰る。マヨール広場からホテル周辺まで、あたり一帯が旧市街にして観光地なのでお土産屋さんも面白そうなお店も沢山ある。途中、ものすごいお菓子屋さん発見。何がものすごいかと言って、店内全体、商品が白から焦げ茶までのグラデーションなんである。これだったら日本の煎餅屋さんの方がまだ派手で、なんとなれば包装紙がビニールで光沢があるから。面白すぎて、クッキーを飴玉よろしく包んだものをいくつか買った。
 
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後に夫は、「あの状態で、商品管理はどうしているのだろうか」と疑問を呈したが、多分マドリードでは、ひからびることはあっても、余程の場所でなければカビは生えないのではないか。(そういう私も、地味~にシワが深くなってきた感があった・・)
 
ホテル隣の隣にあるデパートに入って水など買う。この食品売り場の一角には、バルセロナで買ったお菓子屋さんの支店が燦然と輝いていた。くそう。日本を出てから絶えて久しく見なかった日本人が沢山いた。リンツのチョコレートが3ユーロ、ミント入りのはともかくとして、チェリーと唐辛子入りという野心作が半額になっていた。買わないわけがない。
 
ホテルの周囲はレストランが多く、ただし1皿20ユーロくらい。結構なお値段だが、土地柄というものだろうと思い、その中のひとつに入った。私たちは最初の客だったが、やがて東洋人一家の客が入ってきて、スペイン語で会話を始めた。おとーさんが「昨日はボティン(超の字がつく有名店。名物は子豚の丸焼きに行ってきた」と言えばお店の人は「うちはボティンにも負けませんよ」とやっていた。強気な店ではあったが、何を食べたかは覚えていない。画像で思い出せばいっか。
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