スペイン旅行 9日目 ムルシア

スペイン旅行 9日め ムルシア
 
 8時に起きてホテルの朝食に行く。ここの朝食は予約すれば6ユーロ、当日は8ユーロというお値段で、それならホテルで食べてやってもよろしい。何もかもお代わり自由だし、スイカやオレンジもあるし。
 
 バレンシア在住の日本人女性がブログを書いていて、その人のムルシア旅行について読む。これといって変わったところはないようだった。うちの夫は何故ムルシアに行くことを選んだのか。「バレンシアからマドリードに行く途中にあって、旧市街と新市街があるという程度の規模で、面白そうなところ」をと選んだそうだ。ムルシアはスペイン第7番目の都市なんだそうである。人口42万人、てことは那覇くらいか、川崎の半分以下ですね。
 
 ネットやらテレビやらによればその日のムルシアは32℃になるという予報で、だけどマドリードときたら35℃、数日中には38℃まであがるという。いくら湿気が少ないとはいえ、大丈夫か!日本のニュースとしては天皇陛下の退位法案が決定、宮内庁では退位の儀式の式次第を平安時代から探してきたと。この頃だったか、カタール周辺諸国が国交断絶、ハテ私たちが乗るはずのカタール航空の飛行機はきちんと飛んでくれるのか不安に。まあ、なるようにしかならないけど。
 
 駅から旧市街に入るときに、10mほどの、さほど広くもない川を渡った。日本人が学ぶところの社会科では、大きな河川があるというのは水運が可能であることを意味し、即ち富が集まるということになる。しかし、スペインに何日かいれば船なんか通れなくても日常的に水が使えるというだけで十分、川があるだけでうれしくなるのであった。
 
 ホテルでもらった地図を携え、インフォメーションに行く。ショッピングセンターと市場とツーリストバスの発着所のありかをスペイン語と英語とり混ぜて聞いた。「どんで えすた xxx?」ってもう、本当に便利!おねえさんは地図に丸つけて教えてくれた。
 
 バスの時間まで30分あるので、その隙に大聖堂を見に行く。そう、普通の日本人は聞いたことがなくてもムルシアは大聖堂があるような街なのである。またこれが立派なもので、思ってもみなかったぶん大きいやら美しいやら。広いからかステンドグラスの位置が通常より上にあるような気がする。イヤでも天上を仰ぎ見、神の存在を思うことになる。
 
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 ツーリスト・バスに乗ると、今度は日本語案内が使えた。しかしいまいち鼻づまってる感じで聞きにくい。頑張って聞く。バスは川に沿って進み、昔の大司教の館がどうこうと言っている。大司教ともなれば大出世だが、宗教の世界とてお金や政治と無関係なんて絶対にありえない。こんなご立派な大聖堂をこの土地がどうして建立し、キープできたのか。絹がどうとか言ってたが、よく聞こえなかった。川の色はさながら乳頭温泉に緑を足したような色で、底が見えない。これが日本なら、大雨でも降った後の色。実際この川はたまには氾濫したことがあるらしい。川のど真ん中には一瞬ぎょっとする大きな魚のオブジェ、いや、モニュメント?なんて楽しい!これでいっぺんで好きになった。ムルシアの観光局は素晴らしい仕事をしている。
 
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 大体1周したところでバスから降りて、トラムを確認しに行く。ショッピングセンターは郊外にあり、トラムで行くことになるので。トラムの乗り場の横は大きなラウンドアバウトになっており、その中央では動物園が子供向けの催し物として様々な動物を見せたり、ゲームをさせていた。鳥の展示では、フクロウが明らかに飼育員に対して、何やら文句を言っていた。良く慣れているらしい。猫でも慣れるとひっかくだの噛み付くだのではなく明らかに文章で飼い主に文句をたれることがあるが、フクロウもそれが出来るとは知らなかった。
その日はどうやらローカルな祝日のようで、道理で子供がうろちょろしてると思った。学校はどうしたのかと思っていたのだ。
 
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 さてトイレに、じゃなくて休憩しましょうというわけで近くのパン屋兼カフェでムルシア名物の「パステル・ド・ムルシア」を食べることにする。それで例のごとく「どんで えすた xxx ?」を使うと、店のおねえさんが指さしたのは私のまん前にあるソレだった。「うの、ぽるふぁぼーる(ひとつください)」。他には、オレンジジュースでも飲みますか。
 
 生オレンジジュースの搾り機があまりに野蛮だと夫感激。おねえさんに「ぷえど さかーる ふぉと?」と聞いておねえさんではなく搾り機の方を撮影。
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奥に野蛮さが美味しそうなケーキがあったのでそれも注文。するとおねえさんはケーキを電子レンジにかけた。なんとこれが、温めたのではなく、解凍していたのだ。ジュースは今までで一番美味しいジュース。パステル・ド・ムルシアは普通のひき肉詰めのパン??ただ外見がちょっと変わっていて、パンの上にひらひらしたパイ皮の飾りがついている。
 
 街を歩くが休日なうえに、シェスタの時間ときて全て閉まっている。仕方ない、こちらもシェスタすることに。
 
 起きて、改めて川に行った。セグラ川というらしい)川岸には長い長い釣竿で釣りをしている人がいた。親子のカモも、アヒルもいた。ふと、草を抜いてみた。平地にオレンジ畑を作れるほど乾いているのに、そこに生える雑草となったらどこまで根をおろしているのかと思ったのである。頑張ってみたが、抜けなかった。だが、あっちの方で夫が「抜けたよ~」と。ああそうかい。川岸には、川の利用について展示した簡単な建物があった。めでたく閉まっていた。
 
行き止まりなので、いったん大回りして川を離れて裏通りの小さな公園に入る。とそこにはなんと、ムルシア鹿おどしがあった。それは日本のみたいに小さくて雅なものではなく、大きな大きな甕に水がたまると甕がかしぎ、ばっしゃーーーんっ!とものすごい音をたてて水を放つのである。お母さんが小さな子供にそれを見せながら、「あぐあ()、あぐあ、あぐあ・・・ばっしゃーーんん。」とやっていたが、こちらだってあまりの面白さに子供同様、見れども飽きない。ムルシア観光局は、実にいい仕事をしている。
 
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 橋を渡ると、上流に何やら見えたので行ってみた。そこには堰が作ってあり、その上の橋からは白い馬のオブジェがつるされている。遠くから見ると、実物大の白馬の置物がある感じ。ただ、流されてはかなわないので橋からつるしてあるのだろう。その堰はゆるやかなものなので、水草が生え、カモが流されそうになりったり流されたりしながらそこの草を食んでいた。
 
 と、水面から、何かがはねた。見たら、鯉というより特大の鮒みたいな魚がいて、跳ね上がるだけならともかく堰をさかのぼってなんとか上流に行こうとしているのだった。何匹も何匹も上ろうとしては流され、流されてはまた上ろうとして、果たせずにいる。ここは是非、一例くらいは成功例を見たい!そう思ってねばったのに、そのうち動きは止んだ。ムルシア観光局のお達しによる営業時間のお勤めは済んだということなのだろうか。
 
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 すぐさまそこにあるホテルに帰る。こんなに便利な生活したことあったっけ?
その一方で、食べすぎも心配になる。今回は、ウェストがゴムの服しか持って来ていない。夫はベルトの穴の場所は変わってないと主張しているが本当かなあ。お腹がすいたが、まだ夕食の時間ではない。店は開いているようでも夕食ではなく、夕食前の軽い1杯の時間で、レストラン専門の店に入ろうとしたら、時計を指差しながら「おーちょ、い、めでぃあ(8時半)」と言われる始末で。
 
 少しさまよってからひょろりとした長身の、豊かな白髪とこけた頬、落ち窪んだ目が印象的、というか全く修道僧に見える給仕に静かに、つまり英語を話さない)呼び入れられ、店に入った。彼は日本人から見れば実に雰囲気のある人だったが、注文するたびに奥に戻り、あるかどうかを聞く人でもあった。テレビの大画面ではテニスが放送されていて、うるさい。消してくれと夫が言うと、やがて別の給仕が来てスペインとどこやらの試合(忘れた)なんだから点けさせろと言ってきた。それなら仕方ないが、音は消してもらった。後から思えば、音があれば試合の模様はわかるはずだが、音がなければ目を向けるしかない。多分この日の給仕やバーテンダーは気もそぞろで様々な不都合があったのではないか。
 
そして、ビールとつまみの炒ったアーモンド(バレンシアもここも、これも名物らしい)だけで延々と待たされた。これは結局、レストランに座ることは出来るけど、8時半にならないとシェフが働かないということなのではないか。前菜はフォワグラ。イチゴジャムとママレード、小さなパンがついてきた。あとはヤギの肩肉。揚げたジャガイモと甘南蛮?を添えたもの。ヤギが冷えていくにしたがってヤギらしい匂いがしてきた。
 
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ところで、スペインワインといえばリオハが有名だが、夫はバレンシアならバレンシアのワイン、ムルシアならムルシアのワインを飲む主義であった。前日のワインは非常に美味しかった。それでその日もムルシアのワインを注文したのだが、前日のと同じのが出てきたので夫は交換した。先ほどの、職務中にテレビが見たいと言った給仕が来て、「何故ムルシアのワインがイヤなんだ?」と問うので、「これもムルシアのだ!」と言い返す夫。一目見て納得する給仕。だが飲んでみて夫は「昨日のよりいまいちだなーー・・」。高いのと交換したのかと聞けば、安いのと交換したのだそうで。それじゃあたりまえだろうが!あ、そうかと納得する夫だった。
 
旅先ではちょっとムリをしても贅沢したがる人がいるが、うちの夫は逆に警戒してサイフの紐が閉まる、慎重派。いや本当に頼りになりますね。