沖縄南部の旅 3

 最終日、飛行機の出発時間を確認、那覇発13時45分。
その日も風は強かった。もう、歩き彷徨う気力は残っていないから、いっそ午前発でいいくらいだがそうも行かない。

7時、食事に行く。前日には7時頃に第一波が去って行ったが、残念ながら今日は混んでいた。「もうこんなに混んでいるの~」と後ろから声が。夫婦連れだった。「昨日は6時半でもいっぱいでしたよ」「6時半なんてそんな時間に来られないわ」「ここは6時半から8時半まで人が途切れないんですよ」てな話をし、相手は滋賀から来たと聞いた。こちらは川崎でと言ったら「それはどこにあるの?」と奥様が。「神奈川県だよ」とご主人。確かに!私だって滋賀県と言われたら全部琵琶湖で出来ていると思ってるくらいで、ここまで来たなら川崎だなんて中途半端な地名を出さず、いっそ全て「横浜」で通すべきなのかもしれなかった。いやもう東京にしちゃえばいいのか。だがそうなると「東京のどこ?」となる可能性が。こうなると大宮とかも「それはどこ?」と言われるのかもしれなかった。帰ってから見たニュースでは滋賀県では大雪で大渋滞とのこと。あのご夫婦はちゃんと帰れたやら。

 三度めのビュッフェで、相変わらず何でもあった。食事時が混んでどうしようもないとか埠頭の突端にあって、バスは来るが本数に縛られるとかそれでも素晴らしい道の駅が近くにあるとか、お薦めしていいのかどうかわからないホテルである。

 料理の中にはテビチ(豚足の煮物)があった。夕食にもあったが朝食にも出そうとは。と、さっきのご主人がテビチを皿に盛ろうとしていた。「沢山食べると気分が悪くなるのですが、骨までは食べませんからね」と上品なギャグをかましてくれる。食べるとこ少ないことは確かだが。

 降りてくる飛行機見ながらのんびりと食事したのち、朝ドラ見ながら帰り支度をする。元々ろくな荷物はないし、昨日色々送ってしまったし。見ればホテルから荷物を送ってしまうという手もあったようだ。それなら次回は着たきりスズメのすっぴんマスクはやめてきちんとしようかなあ。でも何のために??きちんとして雨風の中タクシーが来ないからと歩き続けるためか。とにかく!沖縄だもの、自分の荷物はどうでもいいからお土産の方を充実させたかった。

その日は糸満ではなく、

こちらで夕飯の材料やお弁当を買って帰ろうと考えていた。沖縄のお弁当は白飯の上に情け容赦なくお惣菜がのっかっているというもので、私は嫌いではない。あと、ヘチマも買い足せれば完璧、である。てなわけでタクシーに乗って「豊崎の道の駅」に行った。だがお弁当はあったが、ヘチマがない!!なんだかなあ、季節ではないと分かってはいてもがっかり。とりあえず糸満で買っておいて良かった。というかこの季節にヘチマを取り揃えている糸満の道の駅が優秀すぎるんだね。

 港の桟橋をつなぐ橋の下をくぐるとそこは何故かアウトレットモールである。ウミカジライナーに乗ると、主に中国人たちがここで降りていくのを見ることが出来る。私はといえば必要な買い物は済ませたので、こんなもんで時間をつぶそうとしたのである。
ふと、ヘンケルのショップが見えて、良く切れる肉切りナイフを買ってくれ、と夫に言われていたのを思い出した。だが、そんなもんを買ったら機長預かり荷物となってしまい、速やかにリムジンに乗り換えられない。機内持ち込み荷物だけにするべく着たきりスズメだというのに!

 そんなこんなで寒い中ぽけっと一回りし、それでも時間が余ることに。こんなんなら空港に行って荷物を置いて市場の迷路でもうろつき、いっそ昼飲みでもすれば良かったかもしれなかった。しかしそれを考えても仕方ない。寒い中、地味に歩いた。空港行きの路線バスの時間まで。タクシーに乗ってもよかったかもしれないが、足があると知ってる以上、無駄金使うのは嫌!!

 空港に到着してからは早かった。買わねばならないものはとうに荷物、または宅急便の中、ここにあるのは沖縄らしさが抜けた、意味なく高いものばかりだと思いながらも

でビールを飲もうかやめようかと考えるうちに搭乗時間となった。沖縄からの飛行時間も風のおかげで短い。どんな風に短いかと言えば、選んだ映画がちょうどいいところで終わってしまうくらい。

 帰ってから、「また行く」と夫に言った。「次は一泊でもいいかもしれない。着いたらすぐ荷物を空港に預けて糸満の道の駅に行って買ったものを送る。そしたら空港に戻って荷物を引き取るかそのままバス遠足したり途中下車したり。あれ、もしかして日帰りでも大丈夫な気がしない?」そう言ったらそれではただの買い出しの旅で、沖縄まで行く意味がないそうである。