「パロマーの巨人望遠鏡」のことを書いたが、「ビッグ・アイ」はそのパロマ山で200インチ望遠鏡を使って観測する人たちの物語である。どんなものでもできたときは新品である。しかし、年月は遷り、機械は古くなっていく。
メンテしなければ動かしていくことはできない。200インチ望遠鏡の基本的なところは1940年代のものであるので、この本が書かれたときには50年以上たっているわけだ。図面とでも、いわゆる「青焼き」なのでなかなか、保守もままならない様子がえがかれていて、わたしも技術者として身につまされる思いがした。
小平桂一さんの「宇宙の果てまで―すばる大望遠鏡プロジェクト20年の軌跡」はハワイのマウナケア山頂に「すばる」望遠鏡を建設する記録である。これは、「パロマーの巨人望遠鏡」と違って、当事者、プロジェクトリーダーが記したものなので、別の意味でリアルでとてもおもしろい。
この本をなぞる形でNHKの「プロジェクト X」でも「すばる」建設の経緯が紹介された。
日本では建設にはお金をかけても、運営・保守の予算はなかなか認められないような風潮がある。最近はずいぶんと改善されてきたようだが。効率よく稼動させてなんぼのものだから、そのことにも理解を示す政治になればと思う。