スペクトル観測のテスト

先日の天体スペクトル研究会に刺激されて、以前に、透過型グレーティングを使ってテストしたスペクトル観測をもう一度やってみることにした。CCDカメラの望遠鏡の焦点近くに置くやりかた。
写真のように、グレーティングがCCDチップと平行になり、動かないようにするため、アダプタを加工し、固定する。ずいぶんきたなく見えるが、実物はそうでもない。内部をつや消し黒塗料で塗ったのだが、途中で塗料がなくなってしまった。
また、誤ってグレーティングを割ってしまい、CCDチップをカバーするように、位置を設定しなおした。グレーティングは、300 line /mmのもの。

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カメラは、ST-7を使用して、組み上げるとこんな感になり、2インチ接眼部に取り付けできるようにした。このアダプタには、レデューサーがついており、拡大率は、この状態でおよそ0.7となっている。望遠鏡は、LX200-25 F10なので合成焦点距離は1700mm程度となる。
イメージ 2

これで、かに座のM44 プレセペを撮影してみた。透過型グレーティングなので、両側に1次スペクトルが見えている。
イメージ 3

すばる画像処理ソフトを使って、二つの星の上の写真の切り出した枠のスペクトルグラフを描かせてみる。両方とも、0次のところ、すなわち星の重心から同じ距離になるようにしてある。
イメージ 4

こんな感じで、両星のスペクトルの違いがわかり、観測できそうに思える。

いろいろとやってみると、なかなか難しい。
まず、SN比の良い画像がうまく得られない。望遠鏡の収差、追尾・ガイドの精度などが原因だと思う。露出時間を長くすると、ガイドが失敗する確率が低くなるし、スペクトルのバックの星像が影響してくる。
波長の校正も難しい。グレーティングとCCD面の位置関係は変わらないので、0次からの距離によって波長が求められるのだが、基準スペクトルをどのようにしようか。素性の分かっている星のものと比較するのが良いだろうか。

いろいろと模索中。