ミュヘン、フィレンツェ、ピサのちミラノのちミュンヘン その5

ミュンヘンからミラノ、そしてフィレンツェ

 

チェックアウトをすませ、8時半にホテルを出て、空港行きの地下鉄に乗る。

その日は暑かったので、予ねて用意の扇子をバッグより取り出し、ぱたぱたとあおぐ。すると夫が「目をまん丸にしてお前を見ている人がいる。」と、ふり向けばそれは、かつての日本人みたいに立派なカメラを首から下げたご主人。奥様らしき人と、横にはでかいスーツケース。これからバカンスにでかけようというときに不思議なものを見た、というところか?

 

 こういう場合には、にっこりと微笑んで会釈しておけばそれで相手は魔法か呪いかが解けて我に帰る。だが、その時は勝手に驚かせておいた。そもそも、なんで扇子を使っただけで驚く?その昔、扇子は西洋の宮廷でも用いられていたはずで、今更珍しくもなんともないはず。もしかして、扇子は西洋だけのものとでも思っていたの?それはともかく暑かった。

 

 ミュンヘン空港駅に到着。地下鉄から地上に出たら、また夫が何やら驚いている。

ミュンヘンに入るときは背中方向になるので気がつかなかったが、大きなルフトハンザの広告に使われている星座がどこやら間違えていたらしい。モノがモノだけに、ここで間違えていたら、信頼の翼どころか、乗ったが最後、どこに連れて行かれるかわかったもんじゃないってことになるのでは?

 

 それはいいとして、夫が買ったルフトハンザの航空券はミュンヘンからミラノまで一人片道5,000円だった。夫はこのチケットをネットで見つけたのでミラノ行きを決定したらしい。安いのは結構だが、ちゃんと理由があり、座席を事前に指定することができない、荷物を預けることが出来ず、機内持ち込みのみ。もしも荷物を預けようとすれば更に荷物ひとつに30ユーロ出すことになる。地上係員も、この切符だったらここはいっそ頑張らなきゃ!! って感じだったそうである。

 

 同じEU内の移動なので、出国審査はない。だが荷物をひいて行くと、今度はゲートが変更されていた。それも、かなり遠くのゲートで、これはあせった。ひいはあ言いながら乗り込み、なんとか荷物を上に上げた。飛行機は小さかったが、あてがいぶちの席は隣り合っていなく、夫と二人であっちとこっちでしゃべっていたら、私の隣の席のドイツ人男子?がそれと察して席を替わってくれた。

 

 御礼を言いつつ、彼に何かいいことがあるように、具体的に言えば彼の横の席に超絶美女が来るようにと夫と二人で祈った。が、その祈りはかなえられなかった。ただ、人がけの通路側の人は来なくて、でっかくて足が長い彼が少しだけ伸びやかに座れるようになっただけだった。神様のケチ!まあ、どっちにせよ1時間のことなんだけどね!

 

 以前、伊豆に向かう特急の中で一人の中国人が、日本人カップルが隣り合って座れるようにと席を替わってあげるの見たことがある。我々夫婦が隣に座れるようにと、知らない男性から自分の席を譲られる、という事態はそれからもしばしばあった。彼らが超絶美女と出会えますように、とここで書いておこう。

 
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 飛行機はイタリアン・アルプスを越えて、ミラノ到着。バスに乗りかえ、ミラノ駅を目指す。

ところがミラノはミュンヘンどころではなく暑かった!! そして、街全体がうるさい。人間が多い。電車の出発時間まで休みたいが、スーツケースと一緒なのでなお暑苦しい。それでも機内持ち込みが出来る大きさにまとめはしたのだが。駅の外にカフェはあったが、鳩がテーブルの上で客の食べ残しを漁っている始末。普段ならカワイイと思うのかもしれないが、前の客の食べ残しとセットの鳩とは同席したくない。

 

上階にマクドナルドを見つけたはいいが、肝心の席が見えない。目を皿のようにして立ち上がりそうな人を探し、なんとか席についた。何でもいいから買ってきてえ、と夫に小銭を渡されて、アイスクリームを買う。今日からイタリア語だ。だが、いきなり転換するのは難しい。それでもレモンとサクランボのアイスクリームが買えた。

 

レモンはイタリア語ではリモーネだったか?? これはリモネッタと書いてあったので多分そうだろうと。サクランボはイタリア語でなんと言ったか忘れたが、難しい漢字のようなもので書けずとも読める。長ったらしくなりがちなドイツ語とちがって、イタリア語はローマ字読みでいけばなんとかなるし。

 

あとは、アイスクリーム屋でレモン味がチョコレート色をしているわけもなく、いかな異国とてアイスに塩辛味やにんにく風味とか、あるわけもないし!アイスクリームである以上、多少間違えたところでアイスクリームの範囲内に治まるはずなので、私はこれと言って心配していなかった。(そして、おつりが足りないのを発見するのである。ううう。イタリアに来たなあ、って感じ?)

 

 このレモン味がひーーー!というほど酸っぱくて、暑さにダレた夫婦に気合を入れてくれた。

それで改めて先刻買った特急列車のチケットを見れば、バカンスの季節だからなのか、二人は離れ離れの席どころか別の車両に座ることになっていた。なんでこんなことに?

 

行ってみると席はボックス席で、私はイタリアおじさん二人と黒人青年一人と座り、隣り合った黒人青年が荷物を網棚に上げてくれた。しばらくすると物売りが来て・・ 要らんわそんなもんと思ったらこれは物売りではなく特急列車の無料のドリンク・サービスで。サービスの人に勧められ、対面席のおじさんから「コレがだめならこっちが美味いぞ!」とまで言われてスパークリング・ワインと甘い何かを手にすることとなった。

 

通路反対側には母親と小さい娘がいて、このちびっちょが何かおませなことを言うらしく、終始いい雰囲気だった。あまりにいい雰囲気なので眠気が出てくる始末。ここは日本じゃないのに~。


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時間でフィレンツェに到着。フィレンツェも暑かった。そして、とにかく人間が多かった。バカンス・シーズンは既に始まっているのだ。ホテルはドウオモ近くをとってあった。周囲はバッグやらスカーフやらアイスクリームやらのお店だらけだったが、これこそは門前市。これがフィレンツェならではのみやげ物なわけだ。

 
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 夕食に備えて??昼寝。いくらアルプス越えが飛行機で1時間と言ったところでバスやら電車やら乗り換えに乗り換え、移動に次ぐ移動で移動だけで1日仕事だった。
 

 その日はホテルの近くのトラットリアに入った。タコのマリネ、牛肉のカルパッチョにTボーンステーキ。もちろん、ビールにワイン。隣の席の家族連れも観光客らしく、Tボーン・ステーキの大きさに目をみはっている。「1 for 2」と言ったら3人そろって大きくうなづいた。

一人前500gほどの大きなステーキはフィレンツェ名物だとガイドブックにはあった。当然、赤身の肉なのでけろっと食べられた。