中国 杭州旅行 2

杭州旅行 2
 
12月2日金曜日の朝。夫は市場の買い食いを主張したが、ホテルで朝食。コーヒーも飲みたいし、トイレの具合も心配だし。実際、ホテルの朝食は普通に何でもそろっていた。名物らしい麺類を食べている人が多い。コーヒーのカップが小さくて、杯くらい飲まないと飲んだ気がしないのが問題。皆さっと食べてさっさと立ち去る。どうせ街はまだ始まっていないと思うのだが。
 
 部屋に帰って新たに洗濯したり乾いたものを仕舞ったりで部屋を出たのは9時すぎ。今日は絹物街(正式には簡体字で中国刺繍城)に行く。ガイドブックによると絹モノ関係を商う店が500軒も集まっていて、中心街よりだいぶ安いらしい。絹に大した思い入れはないが、あわよくば何かステキなものをなおかつお安く!とは思ってしまう。目指すはスカーフなどの巻物。あれは何枚あってもいいし、大体荷物にならないから、お土産に最適。
 
 地図を見れば目指す通りはホテルの前の平海路をまーーーーーっすぐ北上したところにあり、途中には市場もあるらしい。と、歩き始めたところで、今回は足裏冷却シートを持って来なかったことを後悔。ダテに中国人の爆買いメニューに組み込まれていたわけではない。次回は確実に持って来ようっと。
 
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 少し歩くと、右手に市場発見。いや、市場ではなかったのだけどその時はそう思った。だって魚と野菜を商う店が通りに沿って何軒も続いているのだもの。情報によれば果物はホテル近辺より市場の方が何倍も安いとのことだったが、市場とはここのことかもしれなかった。魚に混じってすっぽんも売られているし、羽をむしられた鶏も何羽も横たわっている。で、その鶏のお肌が何故かカラフル??烏骨鶏が黒いのはわかるけど、オレンジっぽいのや白いの、黄色いのと。なんで?品種なの?わからないんですけど。
 
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 更に進んでたどり着いたのは、市場は市場でも洋服市場だった。男物、女物、これが中国語だと男装、女装となるがそれがまた更に分かれていて、若い人向きのとそうでないのと、更にまた子供服の店が集まってるエリアになり、どこまでもどこまでも迷路のように続き、いずれの店も天井まで洋服を連ねて商っており、圧倒されてしまう。
 
 大きな黒いゴミ袋のようなものに商品を一杯詰め込んではガムテープで補強している女性がいて、これはおそらく地方から来たバイヤー。異邦人としては、とにかく商売の邪魔にならないようにしなければ。比較的空いているのが男装売り場で、これはどこも一緒だなあと笑う。で、何故か商品についている値札は意味がなくて、お店の人に聞かないと本当の値段(そのうえで多く枚数を買えば値引きも可能)はわからない。
 
 市場を出るとそこにはリヤカーをつけた自転車が何台もいた。さきほどの大きな袋をいくつも積み込んでは、その荷の上にバイヤーが乗って、多分駅まで自分ごと運んでもらうのだろう。日本だと、軽トラックの荷台に人が乗って公道を走るのは禁止されているが、そんな次元の話ではない。なんというか、ダイナミック。
 
 と、そこでまたトイレの話になる。
この市場のトイレは所謂、和式だった。こういうところでは下手に洋式になんぞするもんじゃない。使う方も掃除する方も全然ラクではないのか。朝の掃除の直後なのか、臭気も薄かった。てっきり洋式かと思ってたので、出てきた人が皮ジャンにキツネの毛皮をあしらったものを着ていたのを見たときには思わず感心した。余程のトイレ・テクニックの持ち主かと思ったのである。
 
 市場を抜けると、すぐに絹物街だった。通りは2つ平行してあって、右側奥の通りは生地などを扱っているらしい。しかし、そんなに本格的なものは必要ないので比較的カジュアルそうな左の通りを進む。目玉商品のまとめ買い用のストールには1条いくら、3条いくらと表示してあって、この条は中国式の単位で長いものを表すんだろうなあと推測。日本式には1枚、ですけど。
 
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 ストールのほかにはネグリジェ、パジャマ、ブラウスなどが並んでいる。どれもこれも、一見きれい!だがその色彩は現在 BS12チャンネルでやっている中国宮廷ドラマ(武則天の女子達が着ているものに似て、日本ではいつどこで着たらいいのかわからない感じ。そして3条いくらとあれば、確かに3枚買えばお得なんだろうけど、いくら探しても欲しいものが3枚見つからない。3枚あればいい方で、店によっては1枚もなかったりする。値段は安いのに。
 
 とにかく地味に、中途半端な色彩で、と探すうちに刺繍を施したのに出会ったが、この刺繍がなんというか、「違う、こうじゃない!」 と言いたくなる代物。なのにその上で、真剣に見続けていると中国式の色彩に目が慣れてきて、うっかり手を伸ばしてしまいそうになる。
ご近所で一番お世話になっている奥様へのお土産は彼女が大好きなモノトーンと決めていたが、白地に黒のスカーフは私が見た限り、ある店ではたった1枚だった。
 
 そして、なんとなく、通りの奥の方に行くにつれて多少、安くなっていく感じ??
こちらにしてみれば「奥」だが、反対側にも「体育路」なる大通りがあり、そちらにも外国人向けのホテルは沢山あるはずなので、「奥」ではないのかもしれない。が、こういう変化があった方が買い物好きとしては燃えるもの。ほんと、どの店も同じようなものを扱っていてなお、同じではない。割りときれいな色のスカーフを出してると思ったら、これがシャネルで、だがこのシャネル的製品は他の店では扱ってなかった。(グッチっぽいものは沢山あった。)そのうえなおこの店は食事にでも行っているのか、閉まっていたのである。
 
 この絹物街で、絵に描いたような天秤棒で竹で編んだざるをかついで何やら売ってるおじさんがいた。中身はいちじくと、仏手柑だった。この仏手柑が、続々と売れていく。いちじくはともかく、仏手柑は縁起物なんだろうと思える。
 
 その日は金曜日だったからか、他にろくにお客はいなかった。店の人ものんびりしていて、
あまり商売っけがない。絹の値段はピンキリで、スカーフでもショールでも千円しないどころか500円しないのもゴロゴロしていて、わけがわからない。しかし、これだけ中国土産であることが明らかな、つまり日常では使いにくく美しかったりケバかったりする高級品を見てしまうと、ここは腹を括ろうという気になってくる。お土産としてもらう方だって、自分に似合う、使えるものの方がいいに決まっている。1万円支払ってくれたところで、壺の絵みたいなのでは・・いやまあ、その方がいい人もいるのかもしれないけど!でも!!
 
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 てなわけで、絹物街を通り抜けてもなお、お土産の目標数には足りなかった。自分が欲しくてサイフを出したのも、たったの1枚!こういうことって、あるんだろうか。だが、それならそれで面白い。あいるびーばっく! もう一度私はここに来る。そして、最低限の出費で自分を喜ばせ、友人たちを最大限に美しくしてみせる!使うのは時間だけで十分だ!!←??
 
 盛り上がる私を他所に、夫、「腹減った。中国の伝統的点心が食べたい。」と言う。それで体育路を湖に向かって歩き、デパートに入ったのである。そこはABCと3つの建物があるデパートで、フードコートはそのうちのひとつの最上階にあった。これが薄暗くて、いまいち景気が悪いかんじ。ひとつの店の点心を指差して買った。が。店のにいちゃんが普通に蒸し器の上の一番上からとって寄越すので、干からびていて固い。夫、失敗したと嘆く。そして何故かこのフードコート、水やお茶が置いてない。商ってもいない。必要な人は、コーラなんか持ち込んでいた。なんでなの???
 
 フードコートを出て、降りて行こうとすると女装階があった。華やかだったりダサかったり。つまり話は逆で、中国人からしてみたら日本の、特に東京のデパートなんかクソ地味に見えるということなのだ。水豹(多分ミンクで、するとヒョウではなくテンと書いてあったのかも??
ただ、店員はミンクという単語さえも話さない!)とやらのかわいいデザインの毛皮があったので、いくらかと見ると49980元。人民元は大体1元が18円くらいなので、20倍して「弱」をつけることにしていたが、そしたらこれは100万円弱?? 4998.0元を見間違えたのかもしれない。他にも短い丈の毛皮はあったが、これもちょっと細工しすぎで、5,000円でも要らない感じ・・・。失礼だけど。ごめんなさい。
 
思い起こせば上海には毛皮城みたいなのがあって、アメ横で毛皮を買う、みたいな感じの雰囲気のビルで、大変面白かった。もちろん激安なんだけど、一見ステキと思っても、裏地がふざけすぎてて、とても脱げないのとかあって。そうだ、絹物街でも、「こんなものになるために生まれてきたんじゃないのに・・」とお蚕さんが泣いていそうなのがゴロゴロしてた。
 
 デパートを降りて、武林路方向に行く。こちらは青山と原宿を足して2で割ったようなところ。SM2みたいな商品を高級にしたかんじの店があり、なるほど昨日西湖を歩いていた女子達はこんなところで買うのか!と納得。だがお値段はカーディガンひとつが1万円近くし、なんてことないセーターにはイタリア製の表示があり、してみるとここは中国の庶民には手が出ない店ではあった。
 
 他におみやげ物を商う店もあり、きれいな箱に入っているが、持ち上げるとスカスカに軽い。味見なりともと、夫の好物、箱入りの緑豆羹のお菓子、10元を買う。ホテルに帰る途中に、工事中の古街があった。昔風の雰囲気のある通りを新たに作り、其の中にオシャレなショップや茶館など入れて人を呼ぼうというもくろみだ。なんたって杭州、西湖は地上の楽園と呼ばれ、中国10大風景名所のひとつにも数えられているくらいなので、観光名所はいくらあっても困らないわけで。
 
 ホテルに帰ってちょっとお休み昼寝。ひきこまれるように眠ってしまった。時に起きて食事に出る。昨日は西湖の方に言ったので、今日は西湖に沿うような形で歩いてみた。ホテルが立ち並ぶその裏通りといえどもやはり銀座で、絹やお茶のみやげ物屋が並んでいる。途中、「青島ビール」の生ビールを飲ませる店があり、英語と日本語で「持ち帰りOK」と書いてある。生ビールの持ち帰りに、夫、激しくウケている。
 
 地元らしいレストランを発見、2階建てで、外から見たところ名物らしい麺(あちらでは面と書く)を皆、食べている。1階が面中心で2階がアラカルトらしい。2階に上がり、クレジットカードは使えるかと聞いてみたらダメだという。仕方ないので銀行に行き、英語表示も出る引き出し機で現金を引き出したがいまいちシステムが違うので、ちょっと怖い。
 
 面が名物の店に改めて入り、写真もあるメニューで注文する。夫、酢豚、ソラマメと中国ハムの炒め物をチョイス。ビールも飲む。それはいいのだが、この酢豚が正しく豚肉しか入っていない。日本で酢豚の野菜を見ればカサ増しだな?と思っちゃう私だが、さすがに茶色のごつごつした塊を見ると暗い気持ちに。そしてソラマメと中国ハムの炒め物も、正しくソラマメと少量の中国ハムだけが入っている炒め物で、これって食品数3つの夕食!?
 
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 味は悪くない。ソラマメも小さくて、沢山入っている。だが、食品数3つというのがどうにもこうにも我慢がならない。夫に談判?し、名物のレンコンの煮物をメニューに加えさせた。
なんでだろう、日本ならでっかいソラマメがちょこちょこっと入っているだろうに、ここはちっこいソラマメが、大量に入っていて、当然皮もむいてあって。お得なのかなあ?
 
 そして、やがてやってきたレンコンの煮物は甘かった。メニューの場所としては前菜だと思ったが、そうじゃなくて名菜の方だったのか!レンコンには芥子ではなくもち米らしき詰め物がしてあり、甘い味付けが何かに似ていると思ったら、歯ごたえさえ違うものの、さつまいもの味だった。帰ったらレンコンを甘く煮てみようか? だが、サツマイモがいくらでもあるのに、サツマイモを目指してレンコンを甘く煮る意味は??
 
 帰り道、件のバーに立ち寄り、「青島ビール」をお持ち帰りする。ビールサーバーから1リットルの茶色のビンに注ぎ、ていねいにフタをしてくれる。値段は、通常のビールの倍くらい。味はまあまあというところだった。