中国 杭州旅行 3

杭州旅行 3

 

12月3日、土曜日。

夫、ホテルの朝食の間で「緑茶の里のはずなのにお茶がどこにも見当たらない!」と怒っている。何を言っているんだか、あるじゃーありませんか。お部屋に。リプトンのティーバッグが。問題はティーバッグさえも朝食の間にない、ということなのだが、多分それは、宿泊客に全力で持ち帰られてしまうから置けないのだろう。だから朝食の間にあるのは大きなポットに入ったコーヒーと紅茶で、客は小さなカップを持ってそれをとりに行くのみ!

 

 土曜日の朝で、客は多かった。中国全土から遊びに来ているのだろう。このホテルに泊まっていることで、お客は中国ではハイ・クラスということになる。お坊さんもいたが、つまり高位の僧、ってやつ。ショッキング・ピンクとグレーと黄色という組み合わせのスポーツウェアを来た奥さんと、田舎のおじさん的なご主人とが仲良く「並んで」朝食をとっている。日本ではブランド物を身につけているだけでは資産家的お金持ちとは限らないが、中国では外見や持ち物には関係ないようで、油断がならないというか和めるというか。ラクです、私。

 

 9時出発。本日のミッションはスーパーでお茶を、専門店でお菓子を買うこと。お茶が何故専門店でなくスーパーなのかと言えば、いくら龍井茶が中国最高峰のお茶といったところで、そこまでこだわっていないからである。大体、上海のスーパーで買った中くらいのお茶でさえ中国茶好きの妹に「私が台湾で買ってきたのより安くて美味しい・・」と言われた実績もある。そんじゃ、現地のスーパーのお高めのお茶で十分なんじゃない?と。

 

問題はお菓子の専門店で、日本の感覚で言えば手軽に美味しいお菓子を買おうとしたらはデパ地下で、庶民の生活を知ろうとしたらショッピングセンターで、大きなスーパーも必ず入っている。しかし残念ながらショッピングセンターやお菓子の名店、デパートでさえもガイドブックには載っていない。夫がホテルの部屋でネットで調べた。そしたらカルフール(家来福と書く、大きなスーパー)が開元路と延安路の交差点にあり、そこからさほど遠くないところには南宋御街という再現された老街があり、ホテルからは歩いて行ける距離だということが判明。

 

伝統的な中国のお菓子はどこで買えるのか、ホテルのロビーでコンシェルジェの席にいるボーイの制服相手に手間取っていたら、「今日は休みなんだけど~」と言いながら日本人男性登場。彼は日本人担当のホテルスタッフだった。

 

 彼に言わせればそういうお店はどんどん消えていこうとしているらしい。その彼が教えてく店は小さな店で、ホテルのすぐ前の中山中路を南宋御街方向に行く途中にあった。緑豆のお菓子と、お茶の香りをつけた小さな饅頭菓子(各6元)を買う。それをかじりながらまっすぐ行くと銀行街みたいなのがあり、その立派な建物の前で何組もウェディングドレス姿で写真を撮っていた。

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で、また行くと人だかりがした店があり、覗き込んでみたらそれは西方の肉入り焼き饅頭や羊肉を商う店だった。我々が小さな饅頭を指差すと、おじいちゃんが目の前のそれではなく、別に置いてある温かい饅頭のところに行って、温かい饅頭を包んでくれた。おおっ、昨日のデパートの点心屋にいちゃんとは違うぞ!「謝謝!」という言葉がごく自然に出た。

 

 横断歩道を渡ると、そこは老街。古街と書いた方がいいのかもしれないが、台湾では老街と表記していた。この南宋御街は再建した老街だが、地下に残る遺跡を見せる場所もあり、当時の街並みの様子を模型で展示もしていた。惜しむらくはその模型を覆っているガラスケースが結露しまくっていて、見えやしないという・・

 
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 あっちが面白そうだこっちが面白そうだと畑のモンシロチョウみたいにうろうろしていたら、トイレに行きたくなってきた。と、立派な漢方薬局の建物が。これがまた不思議な薬局で、土間に置かれたケースの向こうでは薬剤師たちがわあわあと忙しそうに立ち働いていて、テーブルには調剤された薬が山盛りになっているというのに、取りに来たらしき人はただひとり、包帯とテープで痛々しく顔を覆ったおじいさんのみ。

 

 何故かトイレの場所がカンでわかり、入って左に曲がるとやはりトイレが。ここは入る人が限られているせいか、きれいな部類だった。ちなみに杭州のトイレでは一度もお金をとられなかった。これがヨーロッパに行くと大概有料で、だからといってそれほどきれいなわけではない。そんなこともあって日本に来た外国人達は日本は世界一清潔だとホメるが、清潔な日本に慣れすぎていると他所に行った時にちょっと堪える。ぼっとんトイレも十分経験している昭和の私でさえもがこうなのだから、平成生まれとなれば一体??子供を世界にはばたく人間にと願わない親がいないはずがないが、だったらまず、ぼっとんトイレを体験させるべきなのかも。

 

 不思議な薬局がありもするが再建された老街はいわばオシャレ街で、多分賃料も高いはず。絹物街より売る気5割増しで、こちらが見ているとおねえさんがセールストークにやってくる。ただ、小姐は日本語どころか英語も話さないのですぐあきらめてしまい、それを上司に叱られると「だってこの人、ガイジンなんだもーん」と。いくら5割増しでも、分母が小さいので大したものにはならないのだった。

 
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 なおも歩くと屋台で絵葉書を売っていたので購入。日本の文房具やカードなど、いわゆるカワイイものを商う店もあり、ここが大盛況だった。また行くと茶館があったのでメニューを見に行った。龍井は50元。お茶一客一人前)が千円弱か。パッシュミーナ的スカーフより高い。何度も言うけど龍井は中国最高峰の緑茶なのだが。

 

 小高いところに三重塔があったので上ってみたが、これが、建ってるだけで意味が見えない。意味とはつまり、賽銭箱があるとか、何か祈ってる人がいるとか、そういうことなのだが。しかし道の反対側に何か古い建物があるのが見えて、それはそれで史跡っぽい。夫が行ってみようと言う。まあこの道がお決まりの紙くずだのミカンの皮だので汚い。

 
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 たどりつけばそこはいくつもの建物が連なるお寺だった。入り口あたりは人気(ひとけ)がなかったが、奥に進むにつれてと段々人が増えてきて、最初はお寺の脇でしゃべってるだけだったのがテーブルが出現、囲碁や麻雀、トランプとなり、今度はにぎやかに本格的な料理を囲んでいるわけで。しかしそこまで沢山の人間が楽しんでいても、お寺の方は全く人気がないまんま。これが台湾なら御香の煙がもうもうと立ち上り、中はお供え物や花でいっぱいで、たまには中で何やらご祈祷をする姿が見えるし、境内で遊んだりゴハン食べてる人はいないのだが。

 

 中国式のご祈祷は立ったりひざまずいたりしながら礼をするので、祭壇の前にはひざまずくための小さな座布団が用意してある。このお寺にも小さな座布団が一応用意してはあった。してみるとまるっきり関係なく過ごしてるわけではないのだなと良くみたら、座布団の中央にはムーミンがぽってりと。1匹。座布団ならなんでもいいってかああ!!!泣ける。

 
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 お寺の像の前で太極拳をしている親子もいたが、別に奉納という意味もなく、たんにそっちを向いてやってるだけ、みたいだった。

 

 お寺を出て坂を下っていくと、そこには博物館(多分、杭州歴史博物館)があった。新しい建物で、入り口には降りしきる雪に染まる西湖と中国式の東屋の大きな動画があり、それがまたあまりに美しく、これはまた来るしかないじゃん!と思わせてくれた。ガイドブックによればもっと大きな博物館が他にあるのだが、それでも中々見ごたえがあり、さすが6大古都だけのことはあった。様々な鼎は古の隆盛(でかい鍋を使える金持ちがゴロゴロしてたということ)を語り、いやまあ初日の火山石の鍋も十分大きかったのだが。火山石の鍋も、いっそ形を鼎に似せればもっとお客が呼べるのではないか。

 
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 博物館にはティールームがあった。メニューを見たら龍井が15元で、300円弱。龍井の品質にもよろうが、1杯の茶ならこれくらいが適正な金額ではないのか。中から宮崎美子似のおねえさんが出てきて、手に持ったコップのお茶をスプーンでかきまぜながら我々を案内してくれた。龍井と、ラプサンスーチョンを注文する。龍井は緑茶だが、ラプサンスーチョンは松の葉を燻した香りをつけたお茶で・・ハテこれは紅茶に色々香りづけをしたがるイギリス人が考えたものではなかったか?でもそれなら中国語であるはずはない。何が笑えるって、ラプサンスーチョンという簡体字を自分が読めたことだった。漢字はありがたい。

 

 茶菓子も扱っていたが、大したものはなかった。博物館のティールームの限界か。面白半分で、どら焼きを注文してみた。小さなそれは明らかに袋菓子から取り出したもので、日本語でどら焼きと書いてあり、山盛りになっている。食べてみると皮がホットケーキミックスみたいなもので作られているのか、バニラの香りが入っていた。やがて茶葉を入れたガラスコップ2つと熱湯入りのポットが運ばれてきて、我々はどぼどぼーっとコップに熱湯を入れて、浮き上がった茶葉をふーふーと向こう側に吹きよせながら飲み始めた。

 
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 美味かった。15元でも。おまけに中国茶は緑茶と違って、何杯でも飲める。我々は何杯もお湯を注ぎ足しては飲み、飲んではまた、注ぎ足した。当然、お互いのお茶を味見もした。

表参道には中国茶カフェがあるが、この15元のお茶だとしたら、いくらくらいで提供できるのだろう???だが途中、女子が一人入ってきて、一口やそこら飲んだだけで出ていったと夫が言った。何でそんな贅沢する!?と、火山石鍋のことは忘れて怒ってみる。

 

 博物館の次ぎは、カルフール。途中、無印良品があり、延安路に入るとユニクロもあった。デパートのトイレに入る。ここもきれい。西湖できれいなトイレにありつこうとしたら、デパートに入るのがいいのかも。2日目の点心を食べたデパートでもトイレに入ったが、ここだって、きれいだった。問題は男装館の最上階の女子トイレの窓が広くとってあることで、その窓に面した個室は周囲のビルから見えるかもしれないという位置まで窓があり、コレが本当のはばかりというヤツだと感心するレベルだったということだが、全部がそんなじゃないし。

 

 カルフールは地下にあった。地下に入るとすぐお茶専門店があるが、入り口の店はスルー、奥の生鮮品売り場の方に行くと量り売りお茶売り場があり、ここならいいかも。店にはガラスの壺に入った様々な形状のお茶が並んでいて、様々な値段の鉄観音の、上の方のお茶は新鮮な緑色をしているが底の方のお茶が茶色なのが笑える。鉄観音のほかにウーロン茶もあり、鉄観音はウーロン茶のいいのだと聞いてきたが、値段的にはウーロンより安い鉄観音もある。

 

 まあ、こだわりがあるわけじゃなし、面白そうなの買えばいいわけで、基準がそれなら後悔はないはず。自分が納得いく値段と状況で買うしかない!それで団子のように丸くなったウーロン茶とかそこそこの鉄観音とか謎の苦丁茶とかあまり高くない龍井とか指定しては、小姐に袋詰めしてもらう。が小姐のやり方がどうも雑な感じで、お安くない龍井を小さなシャベルですくって袋に入れるにも周囲にこぼしまくり。気になってつまんでビンに入れもどした挙句、小姐が開けたまんまのフタまで閉めてしまった。親切というより、小姑みたい・・

 

 カルフールには別に缶やきれいな箱に入った贈答用の広いお茶売り場もあり、そういうのが必要な人はそっちに行けばいいわけだ。ウチはジップロックに内容と値段が貼り付けられたご家庭用で十分です!

 
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上海のカルフールでもそうだったが、お菓子売り場にも行く。またまた緑豆のお菓子とか買うわけだが、お茶の味付けをされた梅の大袋とか。試食があるわけじゃなし、お土産リストの相手によって包装のグレードで選ぶしかない。それにしても中国の食品売り場はわからないものだらけで、各種乾物などは当然としても魚売り場にはカエルまでいた。それは魚売り場ではなくて両生類売り場を設けるべきであろうと言うつもりはない。ただ、そのへんを普通に歩いている主婦や小姐の普通の料理スキルに感心するばかりである。

結局、緑豆のお菓子にお茶にスープの素にと山のように買って8000円分くらいだった。

 

それからホテルに帰り、荷物を置いて食事に。昨日とは違った道で曲がってみた。素晴らしい刺繍を施したチャイナドレスのすぐ横で、6,7人で鍋をしているお土産屋があった。

あれは見本であって、スカーフ同様買うときにはビニールに入った商品が渡されるのだからと自分を納得させてみる。

 

夜市に通りかかる。グッチ的な、フェンディ的な、その手の商品が並んでいる。趣味の会の知人の会社では若いお嬢さんがヴィトン的な小銭入れを山のように買ってきてバラまいてくれたとのことで、マジメな知人は使うに使えず「これ、会で使って・・」と言って寄越しやがったが、アレは一体どこに行ったやら。

 

 様々なものを串刺しにして売っている店もあって、客はそれを自分で焼いたり、揚げてもらったりして食べていた。牡蠣だのシャコだの鳥肉だの、皿には美しく香菜やレモンも添えてあって一見、美味しそう。ただし、店にはトイレがないようで、多分、「公衆トイレ」を使うのではないかと。すぐそこにちゃんとあったし・・・。

 

 もう少し先に行くと、砂鍋という不思議な鍋の店があり、その先にはまた生簀の店があり、生簀が余っているのかそのひとつでは金魚が泳いでいた。「何でも好きなものを食べていいからここに入ろうよ!」と夫が言う。何でも食べていい、って、これが夫の誘い文句です。

 
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 店は結構混んでいて、メニューをと言ったらお店の人はさっと右側をゆび指した。そこには運命が決定された魚が泳ぐ生簀と、様々な料理の写真とその値段、その日仕入れた料理材料を皿に盛って示したものとがあった。わかりやすい!!夫は他所のテーブルで見たシャコに釘付けされた様子。シャコを指さしたら、今度は料理方法を聞かれる。蒸すという文字を書いて、わかってもらえた。他にはニガウリとキクラゲの炒め物、干し筍をもどしたのと豚肉を煮込んだものを注文。
 

 ニガウリとキクラゲの炒め物、これのキクラゲはものすごく美味しかった。干し筍はいまいちもどすのが足りなくて硬くて食べにくかったが、豚肉といいあまじょっぱい醤油味は最高!問題はシャコで、ハサミどころかお手拭きもティッシュもない。隣のテーブルの人達は準備良く自分で持って来ていた。(ワインさえも。)さて、この手をどうしたらいいのか。隣のテーブルが帰ったところで、テーブルクロスを交換しているのが見えた。それで私はお茶の器にお茶を入れてフィンガーボウルにし、自席のテーブルクロスでその手を拭いた。初めての経験。マジで。台湾でもティッシュくらいは置いてある。何でないの!?そりゃまホテルのお茶と同じで、ありったけ持って行かれちゃうからなんじゃーないのかなーっと。トホホ。

 
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 初日の火山石鍋屋では、きれいなお姉さんが小エビを食べてはカラをぷっ、と過たずテーブルの端っこに吐き出していたのを思い出す。それは当たり前の行為で、どんなにきれいでもイケメンでもやる。日本人がラーメンすするのと同じで、中国人が中国内で中国料理を食べる限り当然の権利なのである。しかしその権利に我々まで与ろうとは。いえクロスのことですけど。

 

それからファミリーマートに寄ってビールを買った。ファミマには中国式のつまみの類やレトルトパウチの家常菜、例えば骨付き肉の煮込みなどが清潔感と共に売られていて、面白かった。杭州のレストランから家まで持ち帰ることは不可能だが、ファミマのレトルトパックならどうだろうかと思った。

 

 ファミマの後には、足屋に寄って部屋飲みのつまみを足した。それはホテルから西湖への道、情報によれば「銀座通り」と表現される平海路にあり、豚足、鳥足、鴨足など、腿ではなくふくらはぎでもなく、正しくさまざまな種類の足(蟹の足もあった)を扱う店である。足は割りとポピュラーなスナックであり、鶏の足などは「モミジ」の名前で日本からも輸出しているが、とにかくそういうのを味付けして煮込んだのが並んでいる。そこで専門外のエダマメに味をつけたのと、豆腐の皮で野菜を巻いたのとを買った。写真は小姐から許可をとって撮ったが、小姐はイヤそうに見えた。日本のクジラの店に入って、ただ写真だけ撮って出て行く外人よりマシかもしれないけど。同じか?

 
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この日の万歩計は、23000を数えた。