スペイン旅行 7日目 バレンシア

スペイン旅行 7日目 バレンシア

 

 翌日のムルシア行きの電車のチケットを買うために駅へ行く。

窓口に行くと、特急の電車は7時台と16時台しかないという。そりゃまた極端な。だけどそれに合わせて動くしかない。しかし日本で調べたときには、15時半頃にもうひとつ、特急があったはずで??念のため券売機を操ってみれば、特急は午前7時台と16時台しかない。

 

これは困りました。でもまあ全く電車がないわけではなく、いざとなれば16時台の特急に乗ればいいだけのはずで。あとは、ローカル線で乗り継ぎで行くという手もある。バカンスシーズンにはまだ間があることだし、切符が売り切れることもないだろうと踏んでそれでまたツーリストバスに乗ることにする。バレンシアのツーリストバスは同じ1日券でも24時間有効なので、まだ乗れる。

 

今度は海側ルートを行く。バレンシアのツーリストバスはバルセロナに比べて土地に起伏がなく、日本語解説もなくて、いささか退屈、しかし便利なことに違いはない。ゴシック、ロマネスクな美術館に今度こそ?向かう。その途中、戦争博物館も発見!バレンシアにもあるとは。そしてバレンシアの美術館名前はわからない。なんたって日本語ガイドブックがないんだから)は新しくてきれいだが、中身はイコンありゴヤありで、すばらしく重厚にして陰鬱。

(そしてピカソもダリもミロも、この陰鬱に育まれたことになる。)

 

スペインのかつての栄光を思えばどこに何が転がっていても不思議はないはずだが、一方で燃えちゃっていても不思議はないし、持っていかれちゃってても不思議はない。よくまあこんなに残っていることよ。逆か、残ってるだけでもこれだけあるってことか。

 

さて、トイレ入って出ようとしたが、どこにあるのかわからない。警備のお兄ちゃんに、かねて用意の「ドンデ エスタ セルビシオ?」を聞いてみた。お兄ちゃんは身振りで教えてくれた。「階段下りて、ずーっとあっちの方に行って、つきあたりを右がわにあるよ!」と。これをきちんとしたスペイン語で答えてくれたところでわかるわけがないので、有難かった。

 

 24時間チケットの時間は過ぎてしまったので、歩く。バルセロナはほんの少々寒かったが、バレンシアはちょうど良かった。公園には気根をおろした堂々たるゴムの木が何本もあった。河川敷の公園に下りると、枝が支えきれないほど花をつけたキョウチクトウが濃い香りを撒き散らしている。ジャカランダもうす紫の花をつけているし、桑も実をつけていた。少しもらってしまえ。しかし同じことを考える人はいるもので手が届くところに熟した実は少なく、あまつさえイラっとしたのかばっきりと折られている枝もあった。そんな御無体な。

 
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 河川敷を横切り、旧市街に入るといきなりデパートにたどりついた。エル・コルテ・イングレス。これはスペイン中どこにでもあり、何故かポルトガルにまで店舗がある。それはいいんだけどこの名前はもしかして、「英国の宮廷」という意味では???スペインと英国は敵同士ではなかったの?

 

お腹がすいたし、場所柄少しは安全だろうから、ここで食事をしてしまおうという話になった。「カルメン」でフォワグラと言われたエスカロップを注文すると、やってきたのはミラノ風カツレツで、そうだそうだよ、エスカロップってコレだった!・・・???ま、なんでもいいや時間がもどるわけではないし。他にはアーティチョークの焼いたのと白ワイン。

 
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 お腹を満たしていると、隣のスペースに中年に近い高齢者たちが入ってくるのが見えた。女性陣は軽いオシャレをしていて、クリアな花柄が華やか。何かに似てると思ったら、沖縄の集まりだった。陽の光が強く、シブい色が映えないのでそうなる。立席パーティーで、飲み物を手にし、運ばれてきた食べ物をつまんでいる。女性が沢山いる場所ではあっという間に食べ物がなくなり、それでちゃっかりした人は男性ばかりがいるところに移動して食べている。男性の数は女性に比べて少なめ。・・もしかしてこれ、同窓会!?

 

 疲れもとれたしと立派な外見の給仕の人を呼んで、「ラ・クエンタ、ポルファボール。(お勘定、お願いします)」と言ったら「ムイビエン。(良く出来ました)」と言われて一瞬かたまる。つたないスペイン語をほめていただけて、かたじけない。

 

 さて問題はムルシア行きのチケットであるが、一方で夕飯の買い物で、民泊の周囲には小さなスーパーしかない。初日よりましなものを食べるには、ここで夕食の買い物をしなければ。更には明日のお弁当の素材も。こんな機会もそうそうないから、今日は水牛のモツァレラ奮発しなければ。日本じゃ手が届かないし!・・・って感じで買って、30ユーロほど。ひしゃげたモモや、謎の果物も追加。これ、市場にも沢山あったけど食べてみたかった!

 

 重くなった荷物を抱え、駅に行く。案内所には午前中の担当者とはまた違う人が座っていた。よしよし、今度は違う話が聞けるかもしれない。そしてわかったのは、乗り換えで行くローカル線の駅は違うところにあるということだった。それじゃ乗り場や時間そのほかを確認しに行くか。歩いて行けるということだったが、アジアン・マーケット手前からシャトルバスが出ているのを発見!やれありがたや。

 

 ローカル駅はすぐ近くだった。が、スーツケース思えばバスの方がありがたい。その駅でまた時刻表やチケットの自販機と戦い夫が)バレンシア中央駅たる、バレンシアカルメン駅同様、ここの駅ではここの駅から出発する電車の分しか、自販機に表示されないことがわかり(夫が)、だが土地勘のない田舎に行くというのに乗り継ぎ時間を知らずに電車に乗れる日本人がいるわけがない。

 

結局案内所に行く。新米らしい若いお姉さんが先輩らしいお兄さんに教わりながら時刻表をプリントしてくれる。乗り継ぎの時間を知りたかったが、これをわかってもらえるまでひともんちゃく、途中親切なスペイン人の男の人も介入して判明したのは、乗り継ぎの時間は10分しかないということだった。ムリ。スペイン国鉄でこんな時間、アテに出来るわけない。「点と線」が可能なのは日本だけ!

 

元々本数が少ないこともあり、かくなるうえは致し方ない。バレンシアカルメン駅の端末や特急の券売機には登場しないがローカル駅の端末と日本のパソコンに出て来た15時38分の特急を窓口で駅員に提示して買おう!!それでダメなら16時台の特急に乗るさ!いやもう、ローカル線の駅員にはお世話になった。育ててしまって申し訳ない。御礼を言って、またシャトル・バスに乗った。

そして中央駅の窓口に日付と15時38分、ムルシア 2枚、片道と書いて提出、そしたらけろりとチケットは渡されたのである。夫、地味~~に怒っている。

 

 デパートの包みは重かったが、近くのスーパーに回り道して、使い切ってしまった塩と明日のパンを買う。塩は一番安いカルメンシータ印。カルメンというのは、例えて言えば昭和のおかあちゃんっぽい名前なんだろうか?顔の絵がついてて若いんだけど日本人みたいな顔しとる。

 

 今思えばデパートのアンチョビは大きかった。しょっぱいのが前提なので1日では食べられそうもなく、あきらめた。スモークサーモンだの酢漬けだのイカの墨煮だので夕食。トマトは枝つき、前回のトマトよりマシ。というか日本のトマトが甘すぎるのか?牛肉は牛くささが殆どない、面白い味だった。

 
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 ところでこの旅の中で一番きれいだったのがこのバレンシア駅の有料トイレだった。有料ならあたりまえだろうといわれそうだが、それがそうでもない。日本に来た外国人は必ず日本のトイレがどこに行っても清潔なのに驚くというが、逆に外国に行った日本人は、どこに行ってもトイレが汚いのに驚くのである。ここのトイレはひとり出るごとにささっと職員が入って掃除してくれる。有料のトイレに入って感激するのもなんだが、久しぶりに警戒しないでトイレに座れたのであった。