沖縄に芝居を見に行く 組踊「銘苅子」・「女物狂」

何年ぶりかで夫婦で飛行機に乗っての旅行、沖縄に芝居を見に行ってきた。ことの始まりは、国立劇場おきなわ の開場20周年記念公演、昨年から行われており、今年3月が最終だった。その後 国立劇場おきなわの公演情報 をチェックしていたら、5月11日に組踊「銘苅子(めかるしー)」の公演があるとのこと、浪人しているときに観て以来、54年ぶりに見に行くことにした。

ここ数年体調が思わしくなかったが、いろいろとリハビリを得てなんとか杖を持って歩けるようになってきた。勝手知ったる沖縄那覇、タクシーも安いし、妻のサポートもあるので移動には困らないと踏んだ。

検索すると翌日12日にパレットくもじ市民劇場で沖縄芝居「奥山の牡丹」母の日公演もあるとのことで、それぞれにチケットを予約、航空券+ホテル 3泊4日のツアーを JTB で手配した。ホテルはアクセスを重視してゆいレール旭町駅となりのダブルツリーヒルトン

ゴールデンウィーク明で、午後の ANA 便は混んではいないが、窓際の席は取れなかった。夕方ホテルに入り近くの居酒屋で夕食、ネパール女子がサービスする。

翌日、公演は午後2時からなので午前中まるまる空いている。妻はゆいレールに乗って街を散策、主にスーパー、市場などへ。私は散髪に。うちの近くの散髪屋が昨年廃業してしまって困っていた。髪が少ないほうなので妻に適当に切ってもらってごまかしていた。ホテルのフロントで調べてもらったら、すぐ近くに散髪屋があるので訪ねた。久しぶりにプロに調髪、髭剃りをやってもらった。お代は2000円、安さにびっくり。

 

一時過ぎにタクシーで 国立劇場おきなわ に移動。劇場はほぼ満席、お客さんの95%は女性で私と同世代の男性はほとんど見当たらない。親に連れてきてもらったであろう中高校生もちらほら。演目は組踊「銘苅子(めかるしー)」と「女物狂(おんなものぐるい)」の2本。組踊は能を思わせる古典劇で、登場人物が沖縄の言葉で唱え(セリフ)述べるのがメインで「踊」と付いているが、踊りは少ない。劇場では沖縄の言葉を翻訳した日本語字幕が表示される。詳しくは 国立劇場おきなわの解説ページ を参照されたい。

「銘苅子(めかるしー)」はいわゆる「羽衣伝説」をベースにしたものである。「羽衣伝説」では、その日のうちに天に帰ってしまうが、「銘苅子(めかるしー)」では結婚して子供を二人生んで、羽衣を見つけ天に帰ることになり、その子たちとの別れが見せ場となる。天女と子供たちのやりとり、所作、衣装、演奏などすばらしいもので、とても感動した。 前回観たのは1970年 那覇市民会館完成のこけら落とし公演で上演されたときで実に54年ぶりということになる。演出が少し違い、衣装が豪華になっている気がした。

2本目「女物狂(おんなものぐるい)」は初めて観る演目である。盗賊に子供をさらわれ、その子を探して駆け回り、狂ったようになり最後に再会するという物語。これも所作、踊りともすばらしく、楽しめた。組踊は伝統的に歌舞伎と同様に女性の役は女形のが演じる。両作品とも見ていてほれぼれするほどきれいだった。

組踊はストリー展開、踊りなどがゆっくりしていて、内容を知らないと退屈な感がして楽しめない。国立劇場おきなわではパンフレットを用意していて、漫画でストーリが解説されていた。

妻はこれを見て、かなり理解が深まり、楽しめたようだ。私が54年前に観た時には日本語の字幕はなく、それでも理解できた。沖縄を離れて50年あまり、沖縄の言葉も疎くなって、字幕は手助けになった。

終了後、タクシーでホテルに戻り夕食へ行く。ホテルの裏手の 沖縄定食の店 風鈴食堂 へ。

ゴーヤチャンプルーのセットとなす炒めの単品、オリオンビールを注文する。店の入り口は開放してあり、湿気の多い中で飲む地元の食事とビールの組み合わせが何とも言えずマッチしていた。