沖縄北部の旅 2

2019年3月 沖縄2日目

 7時半起床、朝食。朝食の場になぜか温かいお茶が置いてない。これならうちから持って来るんだった。沖縄もここまでくると安いホテルでは緑茶は出ないのである。
北部は水が美味しいことで知られるが、同じ北部でも昔、恩納村のお菓子御殿で出てきた水は、サンゴ礁を思わせる硬水だったことも思い出す。どうせ硬水なら、紅茶を
淹れれば美味しいのかもしれない。

 朝食にはなぜかモーニングカレーがあるが、ほかは寂しめの普通の朝食、卵料理は卵焼きのみ。他のお客さんが「サワディーカップ」「ノー、タイワン」とやっていた。
ロビーにはスーツケースが一杯で、この外国人勢のものとみられる。多分海洋博公園を観光したんだろうと思える。

 出る前にホテルの人に、本日の夕食についてご相談してみた。民謡酒場があって、
そこなら無料で送り迎えしてくれるという。そして昨日見た居酒屋は時間的に閉まっていたのであり、別に店じまいしてるわけではないとのこと。

 本日は古宇利島を目指す。古宇利島は今帰仁から見ると屋我地島の向こうにあるので、まずはワルミ海峡をワルミ大橋を渡って屋我地島に渡り、その後その向こうがわの古宇利島大橋を渡ることになる。ワルミ海峡を地図で見ると、誰かがびりっと破いたよう。
イメージ 1

 ワルミ海峡は海の色ともあいまってなんとも美しかった。
そして、よしゃーいいのに私ときたら砂浜まで降りてみるのである。砂浜には主に中国語やハングルが記されたペットボトルなどが打ち上げられていた。鹿児島JAの肥料袋も。これはこれで旅情か?静岡県の海岸ではあまり出会わないし。だがその向こうには、ネコ車と椅子が。島の人まで棄てちゃダメじゃないですか!
イメージ 2

 相変わらず外国人も多い。緑がかった金髪、ミニスカにストッキングにブーツで思いっきり浮いている女子もいる。旅支度は難しい。沖縄では、もっとだらけた恰好が相応しい。若ければビーチサンダルで・・もっとも、ついうっかりそのまま飛行機に乗って帰ってしまい、周囲の視線を浴びながら地元にたどり着くとそこは雪が舞っていた、という話を聞いたこともある。気を付けましょう。

 車に戻る。カフェやレストランが頻繁にある。沖縄そばの店はあちこちにあり、その名も「橋のそば」とか「ヒルギソバ」とか。中には車エビを提供しますというレストランがあり、これは養殖場が経営しているようだった。ホテルの近くであれば、夕食は多分ここで食べた。(というか、お酒を飲みたいのでタクシー手配していけばよかった!!)
イメージ 3

 パイナップル畑の中、屋我地島を通り抜けて古宇利大橋を渡る。ワルミ大橋とは全然眺めが違う。風が強い。歩いている人もいる。渡り切った浜辺では記念撮影をしているグループがおり、若さかげんと人数を見れば、修学旅行らしい。島をわたるなり、「海が見える物件、お任せください!」という不動産広告を見た。

 オーシャンタワーは800円、まずは無人カートに乗って様々な植物を植えられた坂をぐるぐると周りながら高台に上がっていく。なぜか最初に貝の博物館があり、貝殻の標本が沢山展示してある。貝殻なんぞそのへんから拾ってくればなんとかなると思ったら大間違い、拾ったものは中身が死んでいるので貝にツヤがない。ちゃんと生きているのを地中に埋めて中身を腐らせて改めて取り出すと、標本として価値のある貝殻になる、と夫が。マジですか!
イメージ 4

 その昔の少女漫画御用達のホネガイ、その昔大英博物館から300万円で買われたという リウグウオキナエビス貝 (浜で拾ってみたい!)など、その気になってみれば実に見ごたえのある展示だった。当然ミュージアムショップが併設され、つい買ってしまう。
イメージ 5

 タワーに上ると今わたってきた古宇利大橋を望む絶景が望める。途中、焼き菓子の香りがぷんぷんと漂ってきて、同じ沖縄でもそのまた先の先の島だというのに、きちんと作られたシュークリームなんぞが並んでいる。それをなんとか振り切ってタワーを
降りればお土産屋があり、入るなりすかさず、店で作っている特産品のカボチャを使ったおまんじゅうの試食を渡され、それだけでなくこの店もまた試食が潤沢にふるまわれているのだった。もちろん誘いは断れず、あまりにも上手に作られたドライパイナップル入りのホワイトチョコレートを購入。

 観光客のおっさん達が「こんなに食べたら食事が入らなくなる」と言いながら試食
している。試食の意味とは一体?試食の挙句不要と判定されたなら作った方の負け
だが、買わずに試食で済ませればその人の勝ちというというわけでもない。何が言いたいのかといえば、やめときゃいいのにタダと思えばやめられないおっさんの情けなさがいっそほほえましい、ということでひとつ。はい。
イメージ 6

 そのまま古宇利島を一周する。とにかく、カフェが多い。この程度の大きさの島なら
いっそ全店制覇してみたくなるほど。しかし人はそんなに飲み食いばかりしていられるわけでもない。あんなにカフェばかりあって、ちゃんと利益が上がっているのか、おばさんは心配です。

イメージ 19

 さあ次はお決まりの海洋博公園だ!お昼どきでもあり、ホテルの前を通るので隣のダチョウソバに寄ってみた。お店の場末感といったらすごかったし、もーちょっと掃除したらと思ったが、まあ話のタネだ。店内にはダチョウの卵のカラが置いてある。だがそれ以外にはダチョウっぽいところはなくただの食堂だ。肝心のダチョウはといえば、赤身の牛肉から牛肉の匂いを取り去った感じだった。夫はカンガルーの肉に似ていると言ったが、それで容易に納得できるわけもない。残念。
イメージ 7

イメージ 8

 それはいいとして、夫が何気なく手に取った新聞によれば、沖縄にもスギ花粉が飛んでいることが判明。記事によれば半世紀も前に秋田杉を北部に植えたのだとのこと。花粉の存在を気にせず遊べると思っていたのに、道理でなんか鼻がくしゅくしゅすると思った。それにしても余計なことをしてくれたもんだ。

 本部(もとぶ)町海洋博公園に向かう。美ら海水族館はあまりにも有名だ。一見那覇からは遠すぎるが、海だきれいだと騒いでいるうちに例のパイナップル食べ放題などの観光施設が並んでいるエリアに到着、むしろ水族館がどーでも良くなるほどなので、安心していい。そして、その先の海上には伊江島という隠し玉も存在する。フェリーで行かねばならないがそれがまた特別感のある花の島で、我々が次にまた来るとしたら、ここに渡ることになる。

イメージ 9
 「子ヤギ売ります」とか「アヒル肉売ります」の看板を眺めながら海洋博公園到着。
とにかく広い。駐車場が沢山ある。大型バスでやってきた外国人でにぎわっている。
広さを利用したマスゲームのような花壇は手入れが行き届いている。むしろ沖縄の場合冬の方が様々な花が楽しめる時期なのだと思える。コスモスとか2月に咲いてるし。
イメージ 10

 で、美ら海水族館の名前を出しておきながら、そちらには行かずに植物園である熱帯ドリームセンターを目指す。だが途中に沖縄民家園があり、夫これに捕まる。
イメージ 11

最初に見た民家ではお茶まで入れてくれて、裏にまわるとヤギが3頭、いやに歓迎してくれると思えば、こちらがわにエサらしい草が置いてあるからで、やってみたら食べる食べる、ひっきりなしに食べた。さっきの「子ヤギ売ります」の看板の子ヤギは結局いくらなんだろう。

イメージ 12

 近く(と言ってもけっこ~歩くが)には万葉植物園みたいなもので、沖縄の歌集「おもろそうし」に出てくる植物を集めたエリアがある。地味中の地味だけど、こういうのを「意味がある」というんだね。
イメージ 14

 熱帯ドリームセンターはいわゆる熱帯植物園で、花屋的なランを大量に、マニアな
ランはそれなりに、後は熱帯の果実やスイレンなど展示している。問題は熱帯ドリームセンターという名前で、これで植物園だとどうしてわかるというのか。展示も場所柄
難しい。熱帯果実なぞは、見るだけではなく、食べられるフルーツパークの方がいい
わけで、そしたらもっとお勉強の方に力を入れるべきではと思われた。
イメージ 16

 もっとも、詳しい人が見れば地の利以外の展示も見つけられるはずで、例えば途中、ストレリチア・ニコライに出会った。ポルトガルの植物園では同じものが2階ほどの
高さで咲いていたが、ここでは私ほどの高さで咲いている。剪定とかしたの??
イメージ 15

 よそ者にとってはそれでも普通に楽しい。ヘンな魚も展示してるし、熱帯スイレン
池では明らかに鯉ではない魚が泳いでいるし。この魚ときたらなんとアロワナであって、立て札には、「これはアロワナです」というのではなく、「アロワナにかじられるから
池に手を入れないで」と書いてあった。
イメージ 13

周りが見渡せる高いところにも上ってみた。
イメージ 18

 ホテルに帰って広いお風呂を独り占め。その後は6時45分、民謡酒場からお迎えに来ることになっていた。7時から民謡ショーで、お迎えは他の一組と一緒だという。
他の一組とやらは若いカップルで、貸別荘に泊まっているという。お迎えの人は、何時でも別々でも送りますよ~、と言っている。別々ってあなた・・・。

 そして始まった民謡ショー、出てきたのはお迎えの人だった。こちらに指定された席はステージのド真ん前で、盛り上げてもらおうと期待された感じ?だがこちらはお腹がすいていた。始まったからと言っても気にせず食べていたら、「ちょっと、拍手もなし?」と声が飛ぶ。すんません、無粋な客で。

 だが顔をあげてみると小さなステージの後ろには祝成人と刺繍された金色の着物が飾られていて、本人の名前の横にはなぜか「次男」の文字が。ああ、歌っている彼はこういう青春を送ったわけなんですね。それはともかく、民謡ショーに普通に他県の
老若男女を呼べるのは沖縄くらいだろう。安室は含まれなくてもビギンとか夏川りみとか「うみよー、そらよー」のアレくらいなら皆聞いたことがあるはずなので。そもそも民謡とは何なのかという問題はともかく。
イメージ 17

 途中、歌手とお客が絡む。迎えの車で一緒に来たカップルは九州から来ていて、つきあって10年目ほどだと知る。男子も若いが、女子の方は小柄なこともあり、白人の中に入ったら小学生と間違われそう。いくつの時からつきあっているのか女子は気が強いらしく男子の方が「あれはあんまりではないのか」といった話をしている。女子は無言。その横で飲む酒の美味いこと不味いこと。

 帰りはまた別のグループと一緒の車に、だからと言って何の不満もない。彼らは仲良しのグループで、「今年の旅行先」として沖縄を選んだのだという。泊まっているのは民謡酒場のオーナーが営む 「長浜ビーチリゾート 海音KANON 。空港までリムジンでお迎えに来てもらえたが、運転手が女子だったので驚いたと話した。

 リムジンというと、特急電車のごとく向かい合わせで座れて、肩を出したドレスかマイクロミニの女子がシャンパンでおもてなししてもらえるイメージがあるが、どこまでやってもらえたかは聞かなかった。いや、やってもらえないならばいっそ乗る方が準備していけばいいだけの話。やがてたどり着いたリゾートホテルの周囲には畑があり、バナナも植えられていて、リムジンはどうでもいいけどこれなら泊まってみたい!!

 彼らを下ろしてからホテルへの車内ではオーナーの思い出話。夫を失いどうしようかと思ったが子供が一緒に頑張ろうと言ったのでここまで来られた、リムジンも1台では足りないのでもう1台買おうかと話している、と。こちらとしては資金とか担保とか色々頭をよぎるが、結局は海洋博公園や周囲のコンテンツに後ろ盾されてここまで来れたと言える。

 この日は長かった。