イタリア北部旅行 2 ボローニャへ

 朝食の間に行くと、日本人夫婦がいた。ミラノなので珍しくもないかもしれないが、空港近くのホテルにいるということはこれから乗り継ぎがあるのかそれとも地方都市を回るのか。
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 何をとろうかなーと迷っていたら、後ろからやってきた男が「なんたらかんたら、チーノ!」とぼそっと言う。チーノとは中国人という意味で、こいつときたら、言葉がわからないと思って侮蔑しやがった。他の人に聞こえないように小さい声で、それも非力な女子を選んで。それで、「ノー、チーノ。ソノ ジャポネーゼ。」と言ったらびくっとした。
 
 ああいうのってやめてほしい。朝食の間中、睨みつけなきゃならないじゃん!!
けれど許すわけにはいかない。オマエと言うやつは、いくらシャツにアイロンをぴしっとあててヒゲをそり、コロンを香らせて一人前みたいな顔してたって本当は最低中の最低男なんだぞ!?と、日本人たるもの、ご親切にわからせてやらなきゃならない。ほんっと迷惑。私の平和な朝食時間を返してほしい。
 
 それはともかく、本日はボローニャに行くことになっていた。ボローニャには夫の旅の目的であるところの「マルコーニ記念館」があるのだ。問題はこの博物館、予約が必要だということで、何日も前にWEBの予約フォームで出した予約の返事が届いてなかった。これではアメリカの政府機関閉鎖のときのように窓からのぞき込むのみ、ということになる恐れがあった。それでも他のおぜん立ては全て整ってこの地にいるわけなのだけど。
  
 まずはホテルから空港まで送ってもらって、空港からミラノ駅まで電車で50分。
ミラノ駅の人々は殺気立っているように見えた。バカンス時期なので、盆前の新幹線みたいなもんか、スーツケース持って、ときには犬まで連れて。夫、おばあさんに何か聞かれたらしい。夫が外国人で役に立たないとなると、今度は別の人に「オマエはイタリア人か?」という質問から始めたそうである。

 で、ミラノ中央駅から特急で1時間ほどでボローニャ到着。ボローニャは、ミラノの喧騒からすればのどかだった。若い子たちが、たたんだらすぐさまシワになりそうな服とか布地の分量が多い服、厚手で重たそうな生地を使ったパンツを身に着け、単なる格好つけのそれ自体が荷物になりそうなバッグなどでオシャレしていた。
 
 14時からチェックイン出来るが、まだ13時。「とりあえずホテルの近くまで行って、そこで早めに入れるかどうか聞いてみよう。」というのが夫の考えで、そうだねと賛成、だがそこで旅の定番「道に迷う」が発生。駅から3分の場所を探すのに30分かかった。地図を反対から見てるのに、夫が主張する方向は地図と一緒。

 夫は時々方向音痴になる。だがあくまでそれは時々であって、合っていることも多い。私も間違えてたり合ってたりする。土地勘のない初日は切った張ったの博打の連続だ。ストリートビューを見ていなかったのか、新鮮さがなくなるからとあえて見なかったのか。
 
 建物の前から夫、ホテル(民泊)の人に電話、すぐさま来てくれるという。それで建物の前で待っていると、親切な人が中に入れてくれたりエレベーターの使い方を教えてくれて違う階に下ろしてくれたり。再度電話をすると中で待っていてくれといったん言われ、そうこうするうちに担当の人が息を切らせて入ってきた。「これからお掃除するからちょっと待ってて!」って、今思えばこちらの方が早く来すぎたんだけど。すいません。
 
 それから話はトントン拍子に進んだ。彼女は「マルコーニ記念館」に電話をかけて翌日の予約をとり、バスのチケットを買ってきてくれて、あまつさえ「これはギフトだから」とまで言ってくれた。夫はギフトじゃなくてちゃんと請求してねと言ったらしい。私はお扇子くらいでは申し訳ない気持ちになった。感謝の気持ちも大小あるのに、結果は100円均一なのだ。

 部屋は新しく、快適だった。しばし休んだあとに「マルコーニ記念館」行きのバス停を見つけるべく、バスセンターに。バスセンターの人は親切に時刻表をプリントしてくれ、乗車場所はバスセンターでなく、バスセンター前のバス停から出るのだと言った。しかし始点ではないので博物館方向に行くバス停と、反対に博物館の方から来るのとがある。時刻表のプリントの数字から手前のバス停であると判断、これで明日は安心だ。

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 現金調達がてら、旧市街を見物に行く。日差しが強いのでボローニャ名物、延々と続くアーケードがありがたい。しかしATMが見つからない。王宮前広場にたどりついたところで、ボローニャ銀行発見したころにはなんかもうヨレヨレだった(後でわかったとこだが、この日の万歩計は24,600歩を数えていた。)

 夕食時間になっていたのを幸い、ホテル近くのトラットリア(家庭料理っぽい店)に入る。中国人らしいお嬢さんがぱたぱたと働いていた。「花子とアン」の妹役の人に似ていた。イタリア語も英語も話すから、ボローニャ大学に通う未来のドクターかもしれなかった。
 
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 その日は牛肉のタリアータ、カプレーゼを前菜としてメインはイカとエビのフリットボローニャ風カツレツ。タリアータは大量のルッコラを下敷きに薄切りの生牛肉を広々と重ねたもので、バルサミコ酢やオリーブ油を自分でかけて食べるもの、カプレーゼはモッツアレラチーズとトマト。(まだ早いのか何なのかバジルの葉は乗っていなかった)イカとエビのフリットは文字通りのフライ。ボローニャ風カツレツはカツレツの上にクリームソースが乗ってきた。
 
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 水、ビール2、ワイン1(これが3種類しか置いてなくて、我々は12ユーロのものを注文)と合わせて全部で60ユーロだった。