イタリア北部旅行 11 トリノ散策

 路線図を調べて大体のあたりをつけ、今度は10番のバスに乗ったはいいが、PORTA NUOVAのつもりで、PORTA SUSA の駅で降りてしまう。降りたはいいがいまいち様子が違ので、駅で近くのお姉さんに聞いてみて、やっと、スーザ駅の方だと判明。

 ミラノの空港にはこの駅から出るバスに乗ることになっている。とりあえずそれを確認してから、改めて途方に暮れる。「あっちの方に広い通りがあるみたいだから、そこからバスに乗りましょう」「そうしましょう。」で、タバッキはあったのでチケットは買えたがバスは来ない。その目の前を「MUJI」、つまり無印良品の紙袋を下げたご婦人が横切る。だからって日本語どころか英語も期待できない。
 
 「これじゃダメだ、歩こう!あっちの道だってバスが通ってるみたいだし!」というわけで歩き始めるまでに旅先で1時間の損失。フリーの旅、あるあるってやつか。毎日の歩行数を見ていればわかると思うが、旅先では感覚おかしくなる。この時も王宮前広場までさして遠いとは思わなかった。だが、王宮前広場にたどり着いたときには既に12時。午前中は散歩で終わったことになる。

 土地カンが養いにくかったのは、ホテルが市街地図の中に納まらないところにあったから、というのがあった。ホテルはタクシーを使ってもモトがとれるのだと夫は主張したが、そういうわりに公共交通機関を支持。だが、路面電車に乗りたくても、目の前を走っていくそれがどこをどう通ってどこまで行くのかがいまいちつかめない。市街地図では路面電車の行く先は途中で終わっているのである。
イメージ 7

 残念ながら昨日見たのは王宮ではなく別の建物であると夫に指摘されていた。今度こそと王宮に行く。なるほど昨日の建物は全然王宮ではなかったね。ぴっかぴか~~~。こんなところに「ただいま~」と言って帰ってみたい。まあしかしボルネーゼ宮殿だって2階に上がるだけで青息吐息だったのであり、こんなところに住んでいたら「ただいま~」から「ふう」まで何m歩くやら。
 
イメージ 8

 さすが王宮、延々と鎧兜が並ぶ部屋もあり、中には明治天皇から贈られたという日本の鎧兜もあった。美術館も併設されており、ヴァン・ダイクとかあって見ごたえ十分。x
イメージ 6

 広場の裏手のカフェでお昼。ピザとサラダ、カンノーリ。カンノーリとは何かと言えば円筒型に焼いたビスケットの中にリコッタチーズで作ったクリームを詰めたお菓子。以前読んだ小説の中では「作りたてでなけりゃダメだ。売ってるものなんぞ皮がふやけて食べられたもんじゃない」とあり、当然、彼の妻は彼のために一日中料理している。
 
イメージ 4

 確かゴッドファーザーの何作目かでも、マフィアがトウモロコシ畑?の中で人を殺した挙句、、「さっさと帰らないとカンノーリがダメになる」と言って去るシーンがあった。そこまで言われれば食べてみたくもなる。しかし昔、二子玉のデパ地下で食べてみたときは、残念ながら皮は柔らかく地味にカビ臭かった。
 
 イタリアはこれで3度目のはずだが、なぜか今回はカンノーリを沢山見た。どこにでもあった。日本ではなんだろう、大福?・・・だが到着したそれを食べようとしたらナイフがなかった。さればとフォークでえいやっと真ん中をゆで卵の殻のごとくぶったたいてきれいに割りを入れたところにナイフが来た。遅い。というか、ピザといいカンノーリといい、ナイフ入れるのに大変な食べ物多すぎ!カンノーリは。まあカンノーリだった。
 
 店内にはタトウーガールなる3連作の絵が飾ってあり、1枚目は若い女子が背中にタトウを入れている場面であり、3枚目はそれを見せるショウに出演して喝采を浴びているというものだった。うわあああ気色悪!というのが普通の日本人の感覚だと思うが、最初のボローニャからピアチェンツァからアスティまでタトウ入れてる人の多いこと多いこと。
 
 お次は周遊バスに乗ることになっていた。これに乗るとトリノの主要な場所を一回り出来、乗り降り自由で観光出来るのである。A、B,C と3路線走っているが、まずは1時間に1本出ているAラインに乗ることに。24時間用チケットを買ったので、本日中に全部乗らなくとも大丈夫。それはいいがぽつぽつと雨が降り出してきた。
 
イメージ 5

 2階席に座ったが、2階は屋根だけで窓がない。雨は強くなり風によってはこちらに吹き付けてくる。それをもらったばかりの路線図で防ぐ。しかし窓外の眺めの楽しいこと。同じ郊外でも北と東とでは全然違った。ポー川を渡ると離宮や高級住宅街となり、プールも見える。再び川を渡ってやがて大きな噴水が素晴らしいヴァレンチノ城の横を通るころには、なんでこっち側に宿をとらなかったかと夫を恨んでいた。
 
 雨はゲリラ豪雨のようで、最初は外を走っている人も見えたが途中から誰もいなくなり、心細げに建物やアーケードの奥から通りを見る人だけとなった。2階客は段々少なくなり、振り返ったら我々とあと二人だけ。その二人も「健闘を祈る!」と手を振ってポルト・スーザの駅のバス停で降りていった。しかしバス停から駅に行くには広い通りを横切らねばならないから、彼らは確実にびしょ濡れになったはず。
 
 1階に降りる。見える景色が変わる。道路脇は足首くらいの水深となっていた。公園の通路から道路へ濁流の川と流れ込むのが見え、次にはバスが、並んで駐車中の車に思いっきり水をはねかけるのが見えた。トリノの車はなんとなくきれいだと思ってはいたが、こういう洗車のおかげだったのか。いや、これきれいか?
 
 王宮前広場、バス停はあれど屋根はない。アーケードで雨宿りをしていた若い女子たちがバッグをかかえて広い通りをつっきってバスに駆けつけるのが見えた。また、アーケードでは傘を売っている黒人青年たちがいた。偽物のブランドバッグと黒人青年の組み合わせは良く見るものだが、傘というのは初めて見た。

 終点のバスから降りる。乗り降り自由なのに、結局降りなかった。バスからの眺めの方が面白かったんである。その日雨は弱くはなっても降り続き、翌日水が引いた後には、街中が街路樹の葉っぱだらけになっていた。
 
 それはともかく明後日には日本に帰るわけだから、土産物を買い集めねばならなかった。これと言ってアテはなく、美味しそうで珍しいものなら何でも。王宮前からアーケードを南に下ったところに高級そうなスーパーを発見、まずは名物ジャンドウヤ(ナッツ入りチョコレート)を選択。私はカワイイパックのものにしたかったが、何でか夫は安い、袋入りcoop印のを薦める。多分これがトラディッショナルではないのかと。面倒くさいので両方買うことにして、ついでにスミレとアニスのカワイイパッケージのキャンディも買った。
イメージ 9

 何がすごいかって、このチョコレートはその後両方とも夫にお土産として召し上げられてしまうのである。おっさんばかりの会にお土産として持っていくために。それならどっちも袋入りに、あ、いえ、お高い方にしたのにと、残念。まあしょせんチョコレートだ。

 カルフール・エクスプレスがあり、エクスプレスだからそんなに広くはないけれど十分だった。イタリア名物菓子シリーズらしきのが置いてあって、これは良かった。トリノでマントーヴァとかシエナのお菓子を買う意味を問われるかもしれないが、遠い日本から来たのだから今更誤差の範囲内である。というか、自分が食べてみたい!!
 チーズもカゴに入れたが、もちろん自家用、これだけじゃいまひとつだなと思いつつ明日に期待してタクシーに乗った。タクシー代は10ユーロで済んだ。
 
 雨は小さくなってもいっかな降りやまず、夕食はホテルのレストランにした。
イメージ 1

 夫は甚平で、私はワンピースでおめかし?やがて入って来た客は夫の姿を認めてぱあっと笑顔になり、「コンニチワ!」と挨拶してくれた。
イメージ 2

この晩はリコッタチーズを詰めたズッキーニの花のフライなど食べた。他は何だったか覚えていない。
イメージ 3

24000歩。