V-Dipole を自作する

前回紹介した V-Dipole アンテナ、しばらく使ってそれなりに動作している。構造はこんなふうだが、やはり対候性に問題がある。今日、点検のために取り外したらロッド伸縮部分から水滴が染み出てきた。このアンテナはロッドが伸縮出来て広い周波数に対応できるのだけれども、対候・耐久性に欠ける。

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気軽に人工衛星の電波を受信しよう ! と旗を振っている身として、もう少し簡単に自作できないかと工夫してみた。

WEBでの製作例はこんなふうに電線を中継する端子を使って作ったものがある。要はエレメント電線を120°にして同軸ケーブルを繋げば良いのだ。

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この構造でも勘所がいくつかある。

 ・エレメントを 120度に保持できること

 ・同軸ケーブルが簡単に接続できること

 ・防水対策が簡単にできること

 これらをめざして、ホームセンターや100円ショップで手に入るもので簡単に自作できるスタイルを模索してみた。

エレメント用に長さ50cmほどの屋内配線用 VVF ケーブルを2本用意

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AC コードコネクタボディに同軸ケーブルを接続

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ACコンセントのところに先ほどの VVF電線を挿入してエレメントを組立、100円ショップで買ったA4ファイルフォルダーに入れて V-Dipole アンテナが完成。

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ケースの下に見える丸い金属のものは、支柱用のもの。

このように外に設置。

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ダイポールアンテナの 1/2 波長は

 L(m)= 147 / Freq(MHz)

となる。139 Mhz 付近に共振点をもってくるようにすると、

 L= 147 / 138 = 105.8 cm

となる。エレメント片側の長さは約53cmとなる。

ACコンセント部分のところを3cmと仮定してエレメント部分を50cmにしたところ、かなり低い 120Mhz あたりに共振している。

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おそらく電線を2本たばねているせいで、キャパシタンス部分が大きくなり共振周波数が下がったのだと思う。 アンテナアナライザで測定しながら少しずつ切り詰めて、エレメントの長さが 460mmになったところがちょうど良いと特性となった。

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例によって RTL-SDR で中国の衛星を受けてみる。これは、XW2-A の昨日20時ごろのパス、最高高度は40度くらい。

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ドップラーシフトのある CW、GMSK の信号が見える。

気象衛星 NOAA19 の信号もこのとおり、

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受信できる。

 

簡単に製作できる 137 ~ 146Mhz くらいまでのアンテナとして使えると思う。ケースの雨仕舞があまり美しくないのでもう少し工夫したいところ。エレメントは形状保持、再現性の観点から 1 ~ 1.4mm の真鍮パイプにするのが良さそうだ。

ホームセンターでも入手できると思う。

今回は、どちらかというとACコンセントが使えるかどうかというところをメインに実験してみたが支柱への取り付け方法も工夫したいところだ。