続 本棚 MLA(マグネチックループアンテナ)のオンエアテスト

いろいろと実験中の本棚 MLA 、容量の小さいバリコンと換装して高い周波数で使用できるか確認してみた。

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LCR メーター DE5000 で測定したループのインダクタンスは9.6μH 、バリコンは 8~58pF なので計算では18MHzまでカバーするはずである。実際にはループの自己共振や配線の浮遊容量やなどがあり、その通りにはならなくて低めに 12MHz あたりが限度となっているようである。

LiteVNA で測定してみるとあまり良い特性ではない。コアのタップの位置を変えてベストの SWR はようやっと 1.2 、ごらんのように Q も低い。

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アンテナとして機能しているかどうか、例によって10.136 MHzで 10W で伝搬テスト、「CQ」を出すと北海道の局が応えてくれて、あっけなく QSO 成立。電波は出ているようだ。

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南太平洋の Fiji の局がずーっと「CQ」出しているので読んでみると応えてくれた。

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信号がお互いにあまり強くなく残念ながら QSO は尻切れに終わってしまった。

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PSK Reporter によると、こんなふうに飛んでいるようだ。

使用する電波の波長に対してループ長が長いので放射効率は上がって 30% くらい。SWR が悪い分をカバーできるのかも知れない。

バリコンをリレーなどで切替えて使用できるようにすれば、1.8 MHz ~ 10 MHz までカバーできるアンテナとして使えるだろうか。なかなか面白いアンテナとなった。

本棚 MLA(マグネチックループアンテナ)のオンエアテスト

先日、本棚に設置した MLA(マグネチックループアンテナ)であるが、送信するとインタホンが鳴り出すので十分なテストができずにいる。コモンモードフィルターなどを使って対策をしてみたが、ほとんど効果はないような感じ。いろいろやっているうちに送信出力を下げるとインタホンに妨害を与えないことが分かったので 出力 10W で試してみることにした。

テストの方法としては、モード FT8 で受信する。送信は「CQ」を出してみて、それぞれ PSK Reporter で伝搬状況を確認する。

まずは受信、3.573 MHz にセットして一晩受信してみると、このとおり。国内局がほとんどで大陸の日本に近いほうの電波が受信できた。

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次に昼間に「CQ」 を出して送信みると、

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北海道まで届いているので、室内・小型ということを考えると比較的良く飛んでいるだろうか。

次に1.840 MHz で同じように一晩受信を走らせると、やはり国内局のみが受信できた。上記の 3.5 MHz 帯と比較すると範囲が狭まっている。

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同じように何度か「CQ」を出して 送信、飛びを確認すると、北にはあまりに飛ばずに西のほうへ伝搬しているのが確認された。

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手元にあった、大きめだが素性不明のコアに変えて実験、このコアでは特性が良くなくコアのタップの位置を変更しても SWR が 1.3 以下にならない。特に周波数の高いほうが NG である。

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一番特性が良いのが 160m バンドなので 1.840 MHz で伝搬状況をみてみようと「CQ」を出してみたら、なんとJA7の局が応えて交信ができた。

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このアンテナはこんな特性で SWR 1.3 というところ。シュミレーションによるとこのアンテナの 1.840 MHz での放射効率は 0.15 % とのことなので送信出力 10 W とすると空間には 0.15 W しか放射されていないことになる。ちょっとびっくりな結果。

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こんな小さなアンテナでも室内からローバンド QSO が楽しめそうなので、整備を進めることに。

 

 

本棚に MLA(マグネチックループアンテナ)を仕込む

以前に窓際室内MLA(マグネチックループアンテナ)を企画して、製作したが失敗に終わった。窓枠など金属が近くに多数あったこと、調整しにくい Patterson Match の給電であったことが原因だと思われる。うちには比較的大きな木製本棚があるので、これにに MLA(マグネチックループアンテナ)を仕込んでみる形でリベンジ (?) を試みた。

作ろうとしている MLA の構成はこんなかんじで、二重ループを作り、その中点にトロイダルコアで給電する。

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ループを二重にするのは、ローバンドまで効率よく対応できるようにするためで、トロイダルコア給電は構成をシンプルにするためである。

というわけで、入れ込んであった本を全部出して、内側に HAMフェアで格安で購入した S-10C-HFL ケーブルでループを2組作る。

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このケーブルは外被がアルミなので軽くて良いが、半田付けができないので端子を半田付けした銅板をケーブルの内側に入れてホースバンド固定して接続する。ループ終端あたりははこんなふうになっている。

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室内設置なので、大型バリコンや AC 100V で動作する MOTOR DRIVER も使用できるので手持ちの遊休機材を活用してみた。

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バリコンは、やはり HAM フェアで仕入れた 20 ~ 1100pF の大きいもの。これを駆動するモーターはオリエンタルの 5相ステッピングモーター 0.72度/Step (500Step/Rev)、ドライバーは、だいぶ前に CNC マシンをつくろうとヤフオクで落としたマイクロステップ可能なものである。

コアは #240-43 の大きなもので 12 回巻いてタップをロータリー SW で切替して給電できるようにしてある。

 

バリコンを回して 7MHz 帯にセットして、給電コアの巻線タップの位置を調整して最良になるようにして SWRを測ってみるとこのようになった。

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なかなか良い特性である。SWR が 1.0 でも飛ばないアンテナはいくらでもあるので、フィールドテストとして FT8 7Mhz を一晩受信してみると PSK リポーターの LOG はこのとおり。

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かなり受信できていてアンテナとしては機能しているようだ。送信するとインタホンが鳴り出すので、対策をしてからでないと本格的な交信できないが、ざっと確認したところ、20W くらいでは国内までは飛んでいるようだ。インタフェア対策とあわせて給電部の配線などをきれいにしてから 1.8MHz、3.5MHz の交信などやってみることに。

 

沖縄から「ムーチー」が届く

沖縄の「ムーチー」が届いた。那覇市に在住している高校時代からの友人夫妻が送ってくれたもの。「ムーチー」は餅のことで、 方言でサンニン と呼ぶ月桃の葉にもち米を挽いたものをくるんで蒸しあげたもの。

今年は2月1日が旧正月にあたる。かなり規模は小さくなったとはいえ、沖縄では他の東アジアの国々と同様に旧正月を祝う。「ムーチー」を旧正月の前に作って食べる習慣がある。

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こちらでは餅と言えばもち米を蒸してついたものであるが、沖縄ではもち米を挽いてこねて蒸したものが一般的。中身はこんな風になっていた。

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以前は何も入れない白いものと黒砂糖を入れた黒いものというかんじだったが、最近ではこのように、むらさき芋と黒糖の味付けになったようだ。開けるとサンニンの良い香りがプンとして素朴な味がなつかしい。

包み紙を見ると那覇市の公設市場のお店である。この古臭さもなんとも言えない。「水上店舗内」という標記、このあたりの一角で50年ほど前まで母は小さなお店をしていて私を大学まで出してくれた。

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いろいろなことが思い起こされる。一か月ほど前は、春になれば沖縄に行けると思っていたのにコロナは収まりそうもない。

 

LiteVNA バッテリの不具合

LiteVNA 届いたときバッテリ動作できなかった。画面のインジケーターは赤の「空」表示で電源をつないでも充電されている様子がない。

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おそらく Li-Po 電池が放電してしまっで、再充電できないレベルまでになってしまったのだろうと推測。通常使用では PCで接続して PC アプリで見るのでさほど問題ないと思って、機会があればバッテリを交換するつもりでいた。

ネットをいろいろと見ていたら LiteVNA のバッテリ充電不具合がリポートされている。こちらのブログのページ

で詳細が書かれている。メイン基板上のバッテリ保護回路にミスがあり、ある一定の電圧以下になったバッテリに充電できない。修正するには、抵抗をひとつ撤去しなければならないとのこと。

もうひとつバッテリの不具合をリポートした YouTube のエントリ では開発者の Hugen 氏が前述のブログと同じ内容のコメントを書いている。

というわけでバッテリを確認してみることに。取り外してバッテリ単独で充電してみる。Li 電池は大きな電流で充電できるのだが当該の放電しきっているので 100mA くらいでやってみる。2時間ほど充電したら電圧が回復した。

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電池は活きているようなので、基板上の問題の R98 を取り外しすることにした。写真では大きく見えるが実物の抵抗は大きさ 1mm 程度である。

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他のパーツに影響を与えないようにカプトンテープで保護してホッとエアガンで温めて取り外した。

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電源を供給してみると正常に充電されている様子。

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基板上の R98 を取り外せば、前述のようにバッテリを単独で充電しなくても良いのではないかと思う。人柱になってしまったが、回復して良かった。

LiteVNA が動作する PC アプリ NanoVNA-App

前回の記事で LiteVNA のアプリがないということだったが USER-Guide によると、通信プロトコルは SAA2 と同じで NanoVNA-App が使用できるとある。このアプリは使ったことがなかったのだが今回使ってみて、いつも使っている nanoVNA-Saver よりも使いやすいとと感じたので、ダウンロード方法を中心に紹介する。

COM ポートを指定して接続、周波数を指定して SWEEP 、NanoVNA-App の画面はこんな感じで S11、S21、スミスチャート、SWR を表示したところ。マウスを Window のグラフに合わせると、そのポイント値を表示する。

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下の nanoVNA-Saver と比較してグラフが見やすい。

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nanoVNA-Saver と比較すると

 ・プログラムサイズが小さい

 ・起動が早い

 ・操作が直感的でわかりやすい

 ・表示メニューの設定が細かい

などの特徴がある。いずれにしても VNA はもともと難しい測定器なので使いこなすには、高周波測定の知識・技術が必要だと思う。

 

ところで、nanoVNAを紹介する日本語ページでは NanoVNA-App はあまりポピュラーではなく、私も使ったことがなかった。その理由はダウンロード → 解凍がわかりにくいせいではないかと思う。

NanoVNA-App をダウンロードするには下の画像のように、こちらのページの NanoVNA-App から行う。

 

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ところが、「You can download the pre-compiled software here.」をクリックするとダウロードモードにならずにこんな画面になってしまう。

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ターゲットのファイルが 7Zip で圧縮されて拡張子が .7z のため、私が使っている FireFox ではテキストファイルと認識してそのまま開いてしまう。かなりの人はこれであきらめてしまうのではないかと思う。ダウンロードするには

 「You can download the pre-compiled software here.」のリンクを右クリックして

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「名前を付けてリンク先を保存」とするとダウンロードできる。終了後、 7Zip で解凍すると実行ファイル NanoVNA-App.exe が出てきて実行させることができる。

なお、オリジナルのソースコードこちらの GitHub からダウンロードできる。このリンクの奥のほうに「Win32 \Release 」のフォルダはコンパイル済の実行ファイル NanoVNA-App.exe があるので、フォルダをまるごとダウンロードして使用することもできる。

LiteVNA が届く

Aliexpress に発注していた LiteVNA が元日の午後に届いた。自分へのお年玉となった。

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LiteVNA は高橋さんの nanoVNA を量産して広めた Hugen のチームが製作したもの。nanoVNA 後継としては S-A-A-2 などがあるが、さらに測定周波数範囲を広げたものとなっている。こちらページからマニュアルなどがダウンロードできる。RF のスペックは以下の通りで、nanoVNA よりもかなり強化されている。これには記述されていないが、データを MicroSD カードに保存する機能が追加されている。

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VNA はいくつか持っているが、今回発売された LiteVNA 50 Khz ~ 6.3 Ghz $99 というスペック・値段に思わずポチってしまった。かなり老眼モードなのでディスプレイは大きいほうが良いのだが、どっちみち PC に接続して使うことがほとんどなので、安いほうの 2.8 インチバージョンにした。

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付属品などはこのように、キャリブレーション KIT、接続ケーブルなど、すぐに使えるようになっている。ケーブルは 6.3 GHz という帯域を意識して、高級なものがつかわれている。

上の表にもある通り、消費電流は 500mA くらいで USB2.0 だとぎりぎりとなる。

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専用のコントロールソフトは発表されていないようだが nanoVNA Saver を起動してPC とつないでみると SAA2と表示される。ちなみに New Year Version として昨日リリースされた 0.3.10 版でも正式にサポートされたというアナウンスはない。

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接続して手持ちの 2.4Ghz のアンテナを測定してみる。

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こんなふうで測定できている様子。

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VNA は造りもさりながらキャリブレーションが命で、特に LOAD 50Ω の特性が測定精度を左右する。付属の LOAD 50Ω の特性がどの程度のものなのかわからないし、GHz 帯の測定ともなれば、コネクタの締め具合で測定値も変わってくり。じっくり検証していくことにする。