LiteVNA の Calibration Kit について

今月、7月号のトランジスタ技術は nanoVNA の特集で、VNA の仕組みもさることながら、キャリブレーション、実際の測定、治具の製作について、たくさん書かれており良かったと思う。

LiteVNA は 6GHzまで測定できるとのことであるが、その測定精度を保証するのは校正であり、キャリブレーション KIT の特性であると思う。LiteVNA 付属のキャリブレーション KIT が 6GHz までの要件を満たしているのかどうか触れられていないことが気になった。

そこで、手持ちのキャブレーション KIT を使って比較測定をしてみた。写真は キャリブレーション KIT で 左の2個が LiteVNA 付属の SHORT、OPEN 。右の3個は 50Ω LOAD 、左から ヒロセ HRM-601A ( DC-18 GHz )、右二つはそれぞれ、LiteVNA、Nano の付属のもの。

この組み合わせで Load =50 Ω を変えて LiteVNA のキャリブレーションを行い、同じ DUT を測定する。DUT には手持ちの Mini Circuits のアッテネーター BW-S6W5 (6dB DC~18GHz)を使う。

写真の ように接続して 1~6GHz までのスパンで ATT の通過特性を測定して、S2 パラメーターを PC に取り込んで比較する。

結果はこのとおり。画面にある通り、それぞれの色のグラフは 橙-Hirose、青-LiteVNA、緑-NanoVNA 付属の Load = 50 Ω によるものである。

この結果の意味するところは、控えめに

 「 LiteVNA は 4.5 GHz 程度までは付属の Cal Kit で測定できる 」

ということだろうか。オレンジの Hirose のデータからすると、精度の良い Load を使ったとしても 4.5 GHz 以上は注意が必要なのだろう。それでもアマチュアバンドの 5600 MHz 帯のアンテナ、機器の調整には有効だろうし、これしか無いかと思う。