パロマーの巨人望遠鏡

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衛星設計コンテストが終わって、神保町の古本屋街をすこし歩いた。
古本祭りが開かれており、前日からの台風一過、天気がよかったので人出が多かった。
理工学専門の明倫館天文書コーナーで「パロマーの巨人望遠鏡」を手に入れた。写真は文庫版と並べてみたものである。

この本は、アメリカのパロマ山200インチ望遠鏡の建設の物語である。
初めて読んだのは高校2年のとき、学校の図書館。沖縄にいるときである。
感動した。
以来、ほしくてたまらなかった。
当時でも昭和25年(1950)刊行なので、私が生まれる1年前なので、入手しにくいことはわかっていた。
大学を卒業して、転勤を繰り返しながら、神田の古本街にかよい、さがしてきた。
ここ10年は、なかなかいけることも少なかったし、神田でも理工学書を専門に扱うところが少なくなり、もう明倫館しかないだろうと思う。

2002年に岩波文庫で再刊されたことを知り、買って読み返した。やはり、感動した。
この文庫版によると、昭和59年に当時の東京大学成相助教授が翻訳者のもとを訪れて、残っていた本をスバル望遠鏡建設の実現のために関係者に配ったとのことである。
翻訳者にアプローチしたら入手できたかもしれない。
当時の私にとっては、翻訳者は現に生きている人だとはあまり思えなかったのだ。

入手した本はクロースの装丁である。出版は紙装丁であったので、この本の所有者は特別にクロース装丁、タイトル背の金押しをお願いしたものである。図書館の蔵書印もないことから、個人なのだろうか。

奥付を見ると、昭和25年1月第1刷なので、初版である。当時の価格は450円。当時の大学卒の初任給が5000円程度だそうなので、ずいぶん高い本である。今回買った金額は5000円。

旧漢字の文章を読み返していると、また違った思いがある。
じっくり、読んでいこう。