フィンランド・ハンガリー5 トラム

トラム(路面電車)は不思議な乗り物だ。
物理的に不思議というわけではない。単なる路面電車なのだから。正確に言えば、トラムを含む市内公共交通機関の料金徴収のしくみが不思議だと思うのだ。

ヘルシンキでも、ヨーロッパの多くの首都がそうであるようにトラムが発達している。町を中心に、放射状に伸びる線と、環状線がある。その乗車のしくみは、切符は1時間以内ならば、何度でも乗り降り自由とのことである。
私たちも、ヘルシンキの2日めにトラムの運転手から切符を買い、車内の改札機に切符を入れて、改札を行い、乗車した。切符には、改札時刻が印字された。市内の見物のため、環状線(乗り継ぎになるが)も乗車した。乗ってくる乗客を観察しても、切符を買う人、改札をする人は乗客に比べて、圧倒的に少ない。乗ってくる人も、私は切符を持ってますなどと、あからさまに表明するような行動はとらない。
すべて、自己申告であり、不正が発覚したときには、多大なペナルティを負うことになる、というしくみのようだ。
イメージ 1

写真は、右上から時計回りに、ブダペストの1日乗車券(市内の交通機関がどれでも24時間乗れる)、ヴェスプレムの市内バス券、ブダペストの1回券(市内の交通機関が1回のみ)である。
ヴェスプレムの分はさておいて、1日乗車券は購入時に、開始時刻を記入してもらう。1回乗車券は、乗車したときに、自分で改札を行う。

1回乗車券を買って、トラムに乗って、改札機に入れたのだが、動かなかった。地下鉄に乗ったときに、改札機に入れたら、写真のようになって、めでたく改札ができた。1日乗車券は、前日に購入して、翌日の9時から有効にしてもらった。

ブダペスト市内では、トラム、トロリーバスとけっこう乗った。楽に市内見物ができること、間違って乗っても、そこから反対方向に帰れば良いだけなので、たくさん乗った。ホテルや空港で配布している地図に、詳細なトラム、トロリーバス、バスの路線が記してあり、番号を良く見ていれば、希望とおりのところに移動できるのはとてもありがたかった。ホテルが、トラムの電停の目の前ということもあったが。
乗客を観察すると、ここでも切符を買って乗っている人は、ほとんどいないようだった。切符をもって、車内の改札機で、改札している人がいると思ってみたら、観光客だった。

思うに、トラムの客は、検札が来ないことをよいことに、ほとんど、切符を買わないで乗っているのではないだろうか。地下鉄は、改札機の前に駅員が立っており、改札の状況を確認していた。WEBなどの書き込みを見ると、地下鉄では、かなり頻繁に検札を行っているらしい。やはり、ブダペストでも不正乗車が発覚したときには、かなりのペナルティになるとのことだ。けれども、トラムは全くなにもないのである。このお金は結局、それぞれの国民の税金でまかなわれることになる。それを許容してシステムが組み立てられているのだろう。
その税金を払っていな旅行者は、ちゃんとした切符を買って乗るべきということになる。