3月22日 ガリレオ衛星の相互食

2014年~2015年にかけて、木星ガリレオ衛星の相互食がある。今は木星が観測しやすい位置にあり、天文ガイド4月号などでも特集記事が掲載されている。
以前から観測してみたいと思っていたのだが、うちにあるCCDカメラSTシリーズは、古いものなので転送速度が遅く、このような観測には適していない。継続時間が数分間なので、ビニングしたりして画素数を減らしたりすれば、10秒くらいで転送できるし、その昔、光電計測でやっていたときには、そのくらいの間隔でしか測定できなかったので、意味がないこともたいのだが、今風でない。

いろいろテストした結果、昨年自作した、QHY5 clone のカメラで観測できるかもしれないと思った。QHY5のCMOSセンサーは10bit のADコンバーターをオンCHIPで搭載しているのだがカメラは下位2bitを落として画像を作成するため、8bitの分解能しかない。このため、ある程度減光量が大きくないと現象を検出できなくなる可能性がある。
3月22日の予報は、
  現象    : 2O1P すなわち、エウロパがイオを掩蔽し部分食
  継続時間 : 19時28分36秒~19時33分37秒
  減光等級 : 0.37
というものであった。

昨日の観測は、
  望遠鏡  : LX200に同架したAR-127 D=127mm f=830mm
  カメラ   ; 自作QHY5clone
  撮像ソフト: QGvideo 1024×768画素
露出時間は500msecとして、解析ソフト Limovie に合わせるために、AVIファイル形式で保存しすることとし、現象時刻±2分を収録した。


イメージ 1

解析ソフト Limovie は、AVIファイルを1フレームずつ連続して測光くれる。写真の木星に一番近いほうが エウロパ+イオ の相互食現象で、この重なった状態を測光した。

イメージ 2

結果はこのとおりで、掩蔽を捕らえることができた。グラフから、減光前=17000、極小=12500 と読み取って計算すると、0.33等の減光となる。
時刻については、フレームから読み取ると、開始時刻が、19時29分11秒、終了時刻は、19時33分22秒くらいというところ。もうすこし整約する必要があると思うが、ほぼ予報どおりのようだ。
グラフがとぎれているのが、撮像ソフトのせいで、AVIファイルが大きくなりすぎたので、分割されたもので、この観測時間は、19時26分33秒~19時33分41秒となる。

昨日観測時は、晴れていたが透明度は悪く、1等星くらいしか見えない状態であったのにもかかわらず観測できた。このあと、20時56分から、もうひとつ 2E1P エウロパによるイオの食、0.4等級の減光という予報があったのだが、全天雲がかかってしまい、観測できなかった。