変光星観測者会議 in 松山

ちょっと遅くなったが、今年の変光星観測者会議の報告。

会場は、愛媛大学理工学部の会議室。市電を降りて、歩く道は護国神社の参道となっている。昨年の名古屋大学でも感じたのだが、最近の大学はどこもきれいだ。理学部の総合研究棟は、土足禁止とのことで、入り口で室内用のスリッパに履き換える。安心してこのようなことが出来るのは、日本だからだろう。

参加者は、20人くらい。ほとんどが50代以上である。世の中に観賞用写真をやる組は多いのだが、サイエンスは少ない、という現実をあらためて感じる。

最初は、愛媛大学の谷口教授の「変動する宇宙」という講演。
まるで、NHKのコズミックフロントのような、美しいディスプレイで、教授の研究するダークマター宇宙論のお話があった。
わたしが大学のころ、今から40年以上前は、天文学科があるのは、東大京大くらい。あと、教育学部のある大学で天文が学べた時代。それから比べると地方の大学で宇宙論の研究ができるというのは、良い時代だと思う。

研究発表は、5件、自分が発表しないで言うのもなんだが、年々少なくなる。印象に残ったものを紹介。

岡山の大島さんの「長周期食連星 γ Perの次の食について」。
この星は、周期14.64年の長周期食連星であり、発表者の大島・伊藤さんが、1993年9月に初めて食を観測したもの。前回の食は、2005年5月で観測不可能。次回の食、2019年12月の観測を呼びかけるもの。日本では、観測絶好期なので、観測したい。もう少し先だが。長周期の食連星は、出会いが難しく、観測しにくい。εAurなどは、有名で音頭をとる人がいるのだが。

国立天文台 岡山天体観測所の前原さんの KWS(Kamogata/Kiso/Kyoto Wide-Field Survey)の3色同時測光化対応とそのデータを用いた明るい変更天体の観測」
発表者は、Vixenの赤道儀にCCDカメラを載せて、子午線上にスキャンしてサーベイ観測を行っている。晴れていれば、毎晩8時間で、100°×120°ほど撮影するとのこと。撮像して、その画像から星を検出し、測光、データベースの作成まで、全部自動で行うシステムを構築している。
これまでに、のべ2億個の星の測光を行ったとのこと。システムは、Linuxベースだが公開しているので、私もなんとか今年中にはサーベイ観測をスタートさせたい。

懇親会で、変光星の眼視観測者の成見さんとお話をすることができた。観測数が世界でトップクラスの観測者である。これまでに、30万目測超とのことである。どのように、目的の星を導入するのか、うかがったところ、ほとんど星図を覚えているとのこだった。都会の空は明るくて、LX-200の自動導入に頼りきりで、星座の形もろくに覚えていない私としては、爪のあかでも煎じて飲まなければならないだろう。

来年は関東での開催。もっと多くの若い人が集まるといいな。