KWSの簡単な紹介

変光星観測者会議のレポートでもちょっと触れたが、KWS (Kamogata/Kiso/Kyoto Wide-field Survey)の簡単な紹介。小形の赤道儀とCCDカメラを使用したSKYサーベイで、名前の由来は、開発・観測者である前原さんの勤務地に由来する。

詳細については、同氏による報告「小型望遠鏡を用いた突発天体の自動広視野サーベイ」があるので参照されたい。使われている機材は、Vixenの赤道儀とSBIGのカメラであるが、撮像した画像の処理は、かなり大規模で精緻なものである。

観測データの公開は、ここKWSのページにある。星の名前(GCVSやそのほかの星表など)を入力すると、観測データが表示される。例は、ミラ型長周期変光星 R BOO を表示したもの。

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1日に1回の観測なので、このような変光星には、特に有効ではないだろうか。GCVSに登録されている変光星だけでなく、そのほかの星の測光データも表示させることができ、そのときには各カタログの星名「HIP10826」「SAO129825」などと指定する。

このデータ処理システムは、一応公開されており、
http://kws.cetus-net.org/~maehara/kws_devel/KWS-20150530.tgz
からダウンロードできる。サーバー回線が細いので、ダウンロードするには、かなり時間がかかる。
Scientific Linix をベースにして、IRAFなどの既存の天文画像処理ソフト、MySQLなどのデータベース処理ソフトを組み合わせて、各種の星表カタログなどを参照して処理するシステムとなっている。
実装するためには、Python、WCSTools、 IRAF、 Pyraf、 pyfits、 SExtractor、 Scampの各ソフトウェア、ライブラリが使えることが前提になっている。
詳しいドキュメントは付属していないので、だれにでも構築出来るとは思わないが、前述の報告に処理の概要が記されているので、Linuxベースの天文データ処理を行った経験のある人には、さほど難しくないと思う。同じ処理系を使った「TAOサーベイ」も稼動している。

撮像システムの構築もさりながら、まずは、手持ちのFITS画像でデータ処理してみて、自分のシステムに合わせていこうと思う。