クロアチア旅行 6 トロギールへ

622(月曜日)
 
 その日はバスで、例によって世界遺産トロギール島まで行くことになっていた。その前に魚市場に。スカンピというのだったか、海のザリガニを買う。大きさによって値段が違うが我々は中くらいのを1kg購入、70クーナ(1400円)。他にはアジだのサバだのタコだのヒラメだのがあった。大きめのアンチョビの瓶詰めを売っていて、お安かったが旅行中に食べ切れるとも思えず断念する。液体を航空機に持ち込めなくしたビン・ラディンを心の底からうらむ。
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 発着所まで行くと、韓国人のお姉さんが一人で緊張の面持ちでスーツケース引いてるのを見た。たった一人でここまで来るなんて、偉いのか蛮勇なのか、どっちだろう?
トロギール島までバスでほんの20分。途中、なんと韓国料理屋を発見!旅行に行った先で日本料理屋を見ることはそれなりにあるが、初めて韓国料理屋を見た。頑張っている。 一人旅のお姉さん同様、頑張っていると思う。クロアチアから見た日本料理はそりゃー異質だろうけど、韓国料理とどっちが異質なのか?あの一人旅のお姉さんは異国の自炊宿でどんな料理をこしらえるのか?にんにくはともかく、とうがらしはあったっけ??
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 バスは右手に岩山を見ながら走る。島の小さな橋の前の発着所に止まり、客は三々五々小さな橋を渡る。トロギール島は城壁に囲まれていて、中にある大聖堂などが世界遺産になっている。で。城壁に囲まれているくらいなので、そこはまたまた入り組んだ旧市街、なのである。うろうろ歩くといいかげんにしろと言いたくなるほどの数のアクセサリーショップ、洋服屋さん、レストラン。韓国人のツアー客もいた。なんで、なんで日本人はいないの?いや、会いたいわけじゃないけど世界中、ひょっとして日本人はダンナと私だけだろーかと思うくらい日本人、いなかった。
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 カメルレンゴの砦とやらに登ってみた。
手すりが細くて怖かったけど、途中まで登れたところで気がつく。あちこちに野の花が咲いていて、ここでは種子も出来ていた。砦の石が保温してくれて、植物は周囲よりも早めに種子を結ぶらしかった。よしっ、というわけで種子をいただく。熱中しすぎてそばに人が来たのもわからず、サングラスのお兄さんに「チャオ。」と声をかけられ、恥ずかしい。振り返れば砦の反対側からも不思議そうに見ている人がいた。くくく。
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 その後、砦の上まで行ってみた。なるほどいい眺めだった。屋根は皆赤いし海の色もいい。それにしてもなんで私はこんなところまで来ているのかな~?? 急な梯子を降りなければならない。先に降りようとしていた誰とも知れぬ西洋人のお姉さんのマネをして、後ろ向きに下りる。向こうから見れば、どこぞの馬の骨の東洋人がマネしながらおりてきた、というところか。袖すりあうも他生の縁とやらで、私たちは同じ種類の恐怖を共有したのである。
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 6月下旬に入り、あっちの世界ではバカンス・シーズンだった。だから本当に様々な国の人が来ていて、思い思いに楽しんでいて、スターウォーズに出てくる酒場のようで、オーバーに言えばここにタコのような火星人が一人紛れ込んだところで、そういうこともあろうか思いそうだった。ほんと、Tバックもどきのデニムの短パンはいてる2m近いロシア女子と火星人だったら、まだ火星人の存在の方が納得できるというものだ!
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 何の話だったか。とにかく砦から降りて、また島を散策した。旧市街、という言い方は違うかもしれないがとにかく古い街並みが入り組んでいる。いい匂いがするなあと思ったら炭火焼きレストランで、煙突から盛大に煙りがごうごうと噴出しているのも見た。その上では洗濯物が煙の直撃をくらっているのも認識した。マンションのベランダで下の階の喫煙の煙がどうこう、という話は聞くが、そんなしょぼい状況ではなかった。ほかに、ありえない貸家も見た。観光客相手に店でもやったらどうでしょう、と相手は言いたいのだろうが、ボロすぎた。
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 港が見えるレストランで軽い食事にしようとなった。夫はムール貝を食べたいという。私は朝の市場で見た、アンチョビに似たのを食べることにした。港の前ではクロアチア人のおじさんが歌を歌っていた。時おり通りかかる団体の国籍に合わせて、「アメリカ! ナンバーワン!」などと言う。曲はビートルズだったりその昔の団塊世代っぽい曲だったり??
 そのうちに、「タイワン! ナンバーワン!」と始めた。振り返ったら台湾人ではなく韓国人たちで、彼らに「コリアン」と訂正されて、笑ってしまった。日・中・韓は個別でいるときはともかく、ツアーになると区別がつきやすい。サングラスしてて全体的に色彩が華やかなのが韓国人ツアー客。日本人は真面目そうな色調で、地味に姿勢が悪い。
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 そしてムール貝とアンチョビが到着した。ムール貝は酒蒸しっぽく、アンチョビは驚いたことに本物の、あのしょっぱーーーーいアンチョビだった。隣にはぶつ切りで水にさらしてもいないタマネギが添えられている。いくらなんでもと思って食べてみたら、本当のぶつ切りのたまねぎだった。これが食べ物として普通に存在していた。
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 海岸を散歩する。横には公園があって、反対側から歩いてきたカップルが木から何かとって食べていた。そのカップルはどちらも重量級だった。やがて写真を撮りだしたが、女性の方が濃厚なポーズをつけている。日本だったら、バカップル認定間違いなし。だが、夫は心が広かった。「二人一緒の写真撮ってやるぞー!」と、声かけてる。で、その後お互いに反対方向に進もうとしたのだが、そこでバカップル(ごめんなさい)が食べてたのがプラムだと気がつくのである。手が届く範囲の熟している実は大体とられていたが、負けるもんかとここでは小さい身体を伸ばしていたら、先刻のバカップル(重ね重ねすみません)が駆けつけて、枝を押さえてくれた。ほんと、私たちに前世でどんなご縁があったというのか。少し、泣ける。


 船に乗って、スプリットに帰る。港の岸壁には先刻食べたムール貝がいっぱいへばりついていた。これをこそげとって帰れば夜もムール貝?埠頭近くにはまたパン屋があったので、明日のパンを買って船を待った。スプリットに来てからは、毎日晴れていた。やがてやって来た船から、人々が降り始めた。埠頭に下りるための介助をしていたお兄さんが、男の子の頭をなでるのを見た。「坊主、楽しんでこいよ!」って感じだった。やはりいい人達ではないのか。
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 入れ替わりに船に乗る。ほどなく出発、途中、スラティネという港に立ち寄り、1時間ほどでスプリットに到着。
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 着いたのは、駅前のいつもの埠頭だった。何この近さ!5分と歩かずバス・センターもあるし、そこにはバスが5台くらいしか停まってないし。地方都市の住みやすさ、みたいなもんか。そしてそこから5分も歩かないうちにアパートメントである。
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 この日は夫のスケベ心で、ヘルツェゴビナの大きなワインを買ってあった。1リットル入りで35クーナ(700円)。そこも最近までドンパチが大変なところだったと思えば平和がいかにありがたいことか!! 買ってあったザリガニの半分は塩茹で、半分はオリーブ油とニンニクでいためて食べた。あとはなんだったか、いつものサラダか。別に飽きることもなかった。
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