EU1KY アンテナアナライザ Tips シールドやCalibration Kit

Yahoo Blog がなくなるので、ここに引っ越してきました。

練習も兼ねてのエントリ。

 

EU1KY アンテナアナライザは KD8CEC による機能向上が一段落したようで、Ver.1.01 としてリリースされた。これをインストールして使用している。

使っていると、高い周波数、特に200Mhz以上の高調波を使った200Mhz以上での測定で値が不安定になることがある。このKITを頒布したMLA48メンバーから、シールドが効果ありとの報告があった。使用しているTAKACHIのケースは上下のところがプラスチックなので外部からの影響を受けやすいのだろうか。

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メンバーはアルミ板を使用しているが、手持ちの薄いプリント基板を使って、こんなふうに全面を覆う形でシールドを行った。RF基板のブリッジ、NE612まわりを集中的にシールドするのがより効果的と思うが、基板はそのように作られていないので、かえって実装が難しい。

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内側にはバッテリと充放電コントローラを収納、収まりがよくなった。効果はあり、高い周波数でも安定して測定できるようになった。

 

もうひとつ、Calibration Kit についての考察。

このアナライザは、1ポートタイプのネットアナライザの構成になっており、OSL(OPEN、SHORT、LOAD)キャリブレーションを行わないと、正確な測定ができない。それぞれ OPEN=500Ω、SHORT=5Ω、LOAD=50Ωでキャリブレーションを行う。これらの値は Config メニューからで変更はできるが、このアナライザではこの値が標準となっているので、それに従った。

頒布した皆さんには、写真のようにBNCコネクタに金属皮膜抵抗をハンダ付けして製作してもらうようにした。2個パラとなっているのは、E24系列では上記の値の抵抗が無いからである。

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低い周波数、200Mhzまでの基本波を使った測定では、これでもさほど問題はないようだが、やはり高調波領域の高い周波数では浮遊容量などが大きく十分な精度が得られないようだ。

したの写真のようにコネクタにチップ抵抗をハンダ付けしたものは良い結果が得られているが、コネクタの熱容量が大きく、製作が難しい。チップ抵抗を対称にハンダ付けするほうが良い特性となるが、ハンダ付けがうまく行かず、やむなく2枚重ねてつけてある。

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SMAコネクタでは熱容量が小さくなるので、比較的容易にハンダ付けでき、製作例も多い。ハンダ付けしやすいBNCコネクタを探したところ、Aliexpress からみつけることができ、写真のように製作した。

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このBNCコネクタでは、大きなハンダコテでなくとも容易に5025サイズのチップ抵抗を2個対称にハンダ付けすることができる。

このように製作した Calibration Kit を使って OSL のキャリブレーションを行い、高周波特性が信頼のおけるダミーロードの測定を行ってみた。

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ダミーロードの値は 50Ω(SWR=1.0)、75Ω(SWR=1.5)となる。
基本波の144Mhzではそれぞれ、

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SWR=1.0、1.5となって、ほとんど正確な値を示している。

一方、高調波を使った 435Mhz の測定では、

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多少でこぼこの周波数特性を示しているが、ほぼ同じような特性を示しており、おそらく、3倍高調波の上限である 600Mhz くらいまでは問題ないかと思われる。正確には、きちんとしたネットアナなどで確認しなければならないのだが、シールドの効果と合わせて安定して測定できるようになった。