SAA-2N (nanoVNA V2 N型コネクタ版 )で Load を測りくらべ

先日購入した SAA-2N (nanoVNA V2 N型コネクタ版 )で 手持ちの CalKit の Load 50Ω の特性を測りくらべてみた。写真は測定した DUT で便宜上

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 ・Nano → NanoVNA の CalKit

 ・HomeSTD → 基準としている Load (後述)

 ・SAA2 → 以前に購入した SAA2(nanoVNA V2)付属 Load

 ・N CalKit → 今回購入の SAA-2N 付属 Load

というように名前を付けた。N-SMA 変換コネクタは秋月で購入したもの。

 

測定は PC 側コントロールソフト NanoVNA-Saver を使って、

 1.付属の N CalKit を使って 1-3000Mhzまで OSL キャリブレーションする。

 2.各種 DUT の S11 を測定して S2P 形式ファイルで取り込む。

 3.S パラメータ表示ソフト RSplot で表示・比較する。

www.rsmicro.com

RSplot は S パラメータを表示するフリーソフトで5個のデータを同時に表示・比較できる。今回比較するデータは S11 だけなので S1P で良いが RSplot は S2P のデータしか受けつけないので NanoVNA-Saver で保存するときには S2P で保存する。

 

N-SMA 変換コネクタを介してのそれぞれの Load の測定結果は以下の通り。

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赤 LINE は N CalKit なのだが -50dB 以下であるが、なぜ全帯域でこんなにレベル変動があるのかわからない。3GHzあたりで -60dB というのはもともとスペック値か?

緑 LINE は Nano の CalKit で 2GHz を超えたあたりにディップがある周波数特性となっているのは N-SMA 変換コネクタの影響だと思われる。
 残りの二つは素直な特性を示しているように思える。全体として 3GHz までほぼ -30dB 以下となっており使えそうである。

青 LINE HomeSTDは以前に測定してもらったことがあり、特性がいちばんよかったもので、

panarilab.hatenablog.com

こんな特性で3GHzまで -40dB 以上を保持している。

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これを、今回のデータと比較すると 10dB ほど低い(悪い)データとなっている。このVNA の CalKit を含めた測定限界となるのだろうか。

そこで、HomeSTD を Load 基準として N-SMA コネクタを介して OSL キャリブレーションを行い、同様に測定してみた。結果は下の通り。

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やはり、基準とした 赤 LINE HomeSTD のレベルは全帯域で変動は大きいものとなっている。このあたりのレベル測定値は誤差が大きいということだろうか。

N-SMA 変換コネクタを介してキャリブレーションを行ったのでコネクタの影響が吸収されて、青 LINE NanoVNA の Load の周波数特性の乱れが無くなっている。他の Load も N-CalKit を基準として測定したものと大きな差がない。

 

これから測定結果から分かることなんだろうか、

 ・SAA2-2N はカタログ記載通り 3GHz まで使える

 ・変換コネクタを使用するときには、それを含めてキャリブレーションが必要

 ・中華 CalKit は安価で性能が良い

という単純なことになるだろうか。あるいは、

 ・同じ程度の CalKit では、それ以上の精度は決定できない

ということだろうか。ネットでも CalKIt を製作した例が報告されており、その値はより高位の VNA で測定したものとなっている。RF に限らず、あらゆる測定の歴史は精度の低いものから、さまざまな手法を使って精度を高めていったものである。ならば、VNAや CalKit の特性も検証できる手法があるはずである。

 測定精度の問題は非常に興味のあることであるが、はまってしまうと本来これを使ってアンテナなどを作ろうとしていたことを見失ってしまうことになりそう。