すっぱいにおいの人

出張で大津に来ている。琵琶湖の湖畔のホテル。
今は夜で、対岸の灯りがロマンチックである。
南の島で生まれ育った身としては、こんなに水が多いのに、磯の香りがしないのが不思議だ。そのかわりというか、どぶくさいにおいがする。

新横浜まで、行くのに、あざみ野から横浜市営地下鉄に乗った。あいた席にすわると、すっぱいにおいがした。香水、というかオーデコロンの匂いもした。電車は発車して、次の駅についた。右となりの人が降りた。オーデコロンの香りが消えた。私は隣の席に移動した。あいた隣の席に人が座った。落ち着かない様子になった。すっぱいにおいは、オーデコロンのにおいが無くなった分だけ、強さを増してきた。私も耐え切れなくなって、席を立った。

その人は無精ひげをはやした人で、60歳以上であろう。
自分が発しているにおいには気が付かないのだろうか。
美しく老いるのは難しいのだろうか。