露よけヒーターを作る

シュミカセの露よけヒーターの製作にとりかかった。快晴で放射冷却があるような明け方は手すりなど金属部分にはかなりの結露がみられる。観測シーズンの冬場は、ここ関東地方は乾燥しているので、露がつきにくいようだが、対策することにした。

製作したのは、シュミカセの補正板のまわりをヒーターでぐるっと巻いて暖める一般的なものである。ヒーターは坂口電熱のシリコーンベルトヒーターである。今回は、長さ1m、100V 30W のもので実験してみる。全体像はこんな感じ。

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赤いのが、シリコーンラバーヒーターでシュミカセに巻きつける。そのほかに、温度コントローラとヒーターをON/OFFするSSR (ソリッドステートリレー)がある。

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これが100V 30Wのヒーターでシリコンゴムで絶縁されているので、そのまま鏡筒に巻きつけることができる。データシートによれば、100Vをかけて常温空気中に吊るしたときに80度になるとのこと。ずっと100Vに接続していても燃える温度にならないので比較的安全である。

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こちらは、サーモスタットICのTC622 値段は90円と安価ながらワンチップで外付け抵抗1本を接続するだけで温度コントロール回路が組めるすぐれものである。

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サーモスタットICの出力をACをON/OFFするSSRに接続して、温度設定抵抗を切り替えるロータリーSWを組み込んで設定温度を-3℃から27℃まで、3℃ステップで設定できるようにした。設定温度は、前述のように抵抗値で決まるがその値の計算式はけっこう複雑で
R(抵抗値)=0.5997×T(絶対温度)**2.1312
となっている。
このため、EXCELで計算して、2本ほどの抵抗を組み合わせて、それぞれの温度に対する抵抗値に近い値になるように製作した。

ヒーターを鏡筒に巻きつけ、温度センサを補正板の近くに貼り付けて、設定すれば自動的にその温度で暖めてくれることになっている。このICは、2℃のヒステリシスをもって制御するため設定温度のところでバタつくことがない。適当なものに巻きつけてテストしてみたところ正常に動作しているようだ。

結露は、露点以下の温度になったときに発生する。一晩のうちで水蒸気量はあまり変化しないので、気温が下がってくると相対湿度が上がってくる。露点は外気温以下であるが、湿度100%のときは、露点=外気温となる。したがって、露よけのためには、望遠鏡が露点以下にならないように、すなわち外気温よりもすこし高く設定すればよいことになる。センサや装置全体の誤差も含めてその日の予想最低気温より3℃以上高くなる設定にして運用してみようかと思う。

12日追記
参考のため、回路図UPしました。
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