ミュヘン、フィレンツェ、ピサのちミラノのちミュンヘン その10

ミラノからミュンヘン、そして羽田へ
 
 ミラノ中央駅からは、バスで空港に行くことになる。駅まで徒歩15分、だが実は地下鉄が通っていて、しかし夫は出来るなら歩いて行きたいらしい。何故か。地下鉄怖いから。それも、スーツケースという、まるで狙ってくださいといわんばかりのものと一緒では。
 
 15分くらいどうと言うわけではない。しょーがないわねーと歩く。夫、途中で道を聞く。それも3人に。テキトーな返事をされることはままあるし、延々と道に迷うヒマはない。3人に聞いて、2人が指差す方向に行く。その昔の初期のパソコンを使った実験で、同じような方式をとったらしい。イタリア人の信頼性とは、初期のパソコン同じなわけか。
 
 駅、到着。目の前に空港行きのバスが止まっている。これだと思ったら夫、無視。駅にずんずん入っていき、駅の反対側に出てそこに止まっているバスを選択。もしかしてこっちのバスが国際空港行きで、さっきのが国内線??でも、EU内は全部国内線のはず・・逆か、EU以外の国際線??・・・メニュー担当と荷物番だけである自分を、ちと反省する。
 
 バスは空港に向かって走る。走るが、こういう場合、イメージとしては途中から高速道路に入って、それからはぱーっと、という感じなのになんかどろんどろんと走っては止まり、またどろんどろんと走っては止まるばかりで思ったよりも時間がかかった。ところで、ミラノはマルペンサ空港だが、はて、マルペンサとは地名?それとも人名?日本の空港は地名だけど、外国では人名が多いよね。
 
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 ミラノからミュンヘンまで1時間。あーーーーーっ、ミュンヘンに帰ってきたぞーーーー!
この自堕落な私がミュンヘンがうれしいってことは、案外私も日本人なんだなー!と喜んでいると、隣で夫がぽそっと言った。「俺、イタリアの方が好き」。いや、私も嫌いじゃないですイタリア。ただ、ミュンヘンの方がラクじゃないの~~?
 
 地下鉄に乗り換えて中央駅前にとったホテルに向かう。ホテルの場所は前回のホテルより90度ほどの場所にあり、既にチェック済みだったので、けろっと到着。
ところでこの旅の中で一番贅沢をしたホテルのロビーには、給水機がしつらえてあり、説明によればミュンヘンの水はヨーロッパ有数の美味しい水であり、水道の蛇口の生水が飲めるとあった。道理で、夫が淹れた緑茶が美味しいわけだった。そういう意味ではサンゴ礁の硬水である沖縄よりミュンヘンの水の方が緑茶が美味しいことになる。
 
 そんなこんなで、夕食の時間までまた街歩き。デパートのガレリア・カウフホーフとカールシュタットを回ってお土産を買う。あとは消えモノを買うだけだが、何にしようか。とりあえず、チーズ売り場で、ビニールできちっとコーティングされたチーズ。だが、嘘みたいに安い、下手すると日本の三分の一くらいの値段のサンタンドレも発見。イチジクの干したのを固めた中にスライス・アーモンドが入っているのは日本にないタイプだし、誰もが怖がらず食べられるしガサばらないし、何かと組み合わせられるから、ここは3つ!
 
問題はお菓子で、ミュンヘンのお土産お菓子売り場はチョコレート一択状態。マジパン菓子もあるにはあるが、はて、何故アーモンドの粉で作るのがパンとか金槌??食べれば美味しいことは確実だけど、この外見では・・・!言われなければお菓子であるともわからない。てなわけで、きらびやかな包装のモーツアルトのチョコと、普通にかわいいチョコを買う。
 
お土産のほかに、半分壊れかかった夫のスーツケースを買い換えた。日本より安いしバーゲンだし、軽くて操作性がいいものを探さねばならない。こういうのも年をとる準備か。ピサ行きの電車で出会った夫婦は、飛行機をビジネスクラスにグレードアップすることで負担を減らしているのだそうだし。
 
 夕食。前回行ったことのある、駅前レストランに行く。これだったら、路地裏のザワークラウトが美味しいレストランの方が良かったのになーと思いながら、まあホテルには近い。食後「チップはどうなさいますか?」と聞かれる。単刀直入でよろしい。もちろん支払わないわけがない。しかしあれは全体の額の10%から20%なわけで、フィレンツェの華美於がいた店なんぞはいくら名店といったところで、1万円の支払いに対してチップが千円ならともかく2千円!?って一体どんなサービスならその額に見合うのか。面白かったけど、それは違うし。


 朝。本日は日本に帰る飛行機に乗る日。だけど離陸は夜の9時。荷物はホテルに預けて街をうろうろすることになるが、チェックアウトは10時半なので、それまでに荷物をまとめて、部屋を退出しなければならない。まず、だーっと食事に行く。この旅の中で一番のホテルだそうで、食事もバラエティ豊か。でも、ミュンヘンで美味しいものは大体わかってしまった。そのうえで、今夏初めてのスイカミュンヘンで、いただく。うふふふふ。
 
 部屋を出て、向かうのは中央駅前の地下街。朝でなければ意味のないものを買う。何かといえば、それはドイツパン。黒パン、うまーーーーーーい!!バラエティ豊かな店を狙い、あれとこれとそれと、そっちも入れてねと丸かったり四角だったり上にきれいな花びら?みたいなのがのっているのとかナッツがぎゅうぎゅうに入ってるのとか、とにかく大きなのを4つ。で、その袋を持ったところでちょっと後悔。なんせぎゅうぎゅうに詰まっている黒パンのこと、重たいのである。でも、これで最低限!!だって日本にはあるようでいて、ない。
 
実際、このパンはカットしてネコの面倒やら家やら見てくれてた人々にチョコレートなどと一緒に配ったのだが、大評判。そして3日くらい経ったところで、ちょっと後悔。もっと頑張れば、ひょっとしてあと2つくらいは持ち帰れたのではないかと。アイグナーのバッグより、こちらの方が大事。
 
 ホテルに帰り、荷造りしてチェックアウト。荷物を預け、あとは出発時間までミュンヘンを楽しむだけ。といっても、既にお昼に近いし、大したことは出来ない。 街を歩き、デパ地下見た、でっかいシュークリームを食べてみることだった。ミュンヘンのお菓子は概ね大きいとは聞いていたが、そのシュークリームは1つで日本の4個分くらいの大きさだった。何故食べてみたいのか説明しにくい。例えばチョコレートケーキならどうなのかと言えば別に食べたくなくて、シュークリームなら食べてみたい。
 
ポルトガルコインブラのカフェでは赤ん坊の頭ほどもあるメレンゲを出していたが、あっちも食べてみたいとは思わなかった。ただ、留守番してくれる人に見せてやりたいとだけ思った。帰ってその話をしたら、「食べてみたい」と言われたが、「大きいだけで、メレンゲメレンゲでしょ。」と言ったらそれなりに納得していた。それを言うなら自分だって、大きいだけでシュークリームはシュークリームなわけだが。
 
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別行動をとっていた夫と合流し、デパ地下のカフェに行ったのだが。なんと!シュークリームが売り切れている!! ここのシュークリームだけが大きいわけではないはずだが、これから探すことになるかとがっかり。


シュークリームはとりあえず置いといて、夫が先に見つけた本屋の見物にいく。5階建ての本屋であるが、ドイツの本屋は本の絶対数が少ないという感じ。紀伊国屋とか丸善とかの棚を見慣れていれば仕方ないのかもしれないが。本屋には椅子が用意されていて、そこで皆さんだらだらと本の品定めをしていた。
 
そしてコミックス売り場に行くとなるほどそこは品揃えはともかく、日本のマンガだらけであった。昨今のマンガの出版点数はものすごいが、敵さんも面白いのをめざとく見つけては翻訳して出版していることになる。でも、マンガの翻訳は小説とは違って会話とト書きだけだから、そんなに時間はかからないはず?
 
とはいえ、文化の違いは如何ともしがたいはずで、先日ネット上で、「日本のアニメでしばしば出てくるものを食べる機会があった」とあったので何かと見ればソレはおせんべいであった。思い起こせば、羽田空港にはピーナツ抜きの柿の種が売られていた。沢庵もあった。梅干もあった気がする。実際マンガの絵だけでは、色々謎は多かろう。
 
 ところで、マンガには例のごとく巨乳の女の子が描かれていたが、10日もヨーロッパにいれば普通の子にしか見えなくなっていた。だってこっちではおばさんもおばあさんも皆巨乳だし、だから巨乳というものでさえもないし。(代わりに自分が棒切れのような体型に見えてくるわけだけど。ううっ。)
 
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 広場のパフォーマンスを見たりして、さてそろそろ空港にと地下街に下りたら、そこにはパン屋とお菓子を売りつつ小さなイート・インもある店があり、件の巨大シュークリームもあった。店の一角で仕切りはないし椅子は高いし周囲はざわざわとホコリっぽいが仕方ない。コーヒーとシュークリームをいただく。生クリームだが、あまり砂糖は入っていない。空気99%の乳脂肪って感じ。夫にも少しはやったが、全部食べた。これで、納得、悔いはない。
 
 それからはホテルで荷物を出し、地下鉄に乗って空港まで行き、ああああ、何てスムーズ。で、ANAに荷物預けようとしたら、その日は七夕だとかで地上係員が浴衣を着ている。逆でしょう、そのサービスは日本の空港でやるべきでしょう。これから帰るんだってのに。これから行く人々のためにやっているのだとしても、立ち居振る舞いといい、なんか似合ってないというか、決まってない。こっちに長らくいすぎて、空気を忘れているのか??
 
 出国手続きをして、離陸まであと2時間、何か食べようという話になる。外は全然明るいけど、だからかいやに元気だ、自分。寿司はあちこちあったけど、空港にはラーメンまであった。これから帰るのに、ラーメンは要らないと思うのは私だけなのだろうか。で、ドイツレストランに入るのだがやはりビールは美味しく、またご当地らしく、料理のボリュームもきちんとあって納得!!
 
 時間になり、搭乗しようとしたら、入り口で手のひらほどのハート型のクッキー(ヒモつき)を渡された。このときも皆さん浴衣を着ていたが、白人のおっさんが異様に似合っていたのに驚いた。やっぱり着物系は恰幅で着るものなのか。大体そのクッキーにしてからが、「モラッテクダサイ。」と言って寄越すのである。日本語、上手過ぎ!!
 
 離陸した機内では、誰やらが乗務員に「これは食べていいんですか?」と聞くのが聞こえた。答えは、「大して美味しいものじゃないので、ドアに下げたりして飾り物にしてください。」というものだった。日本人なのに日本語、下手すぎ。「食べられますし、基本的に縁起物です。」といえば通じるでしょ。
あれやこれやもあったが、飛行機は順調に羽田に向かうのだった。

おしまい。


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長々とつたない旅の記録を読んでくださり、ありがとうございます。