ベトナム 3泊4日 3

 ハノイの旅も、今日で終わり。明日は早朝にホテルを出ることになる。観光もしないで何しに行ったんだと言われそうだが、こちらは街を観光に行ったわけで。バッチャン焼きの街とか、桂林にも例えられるハロン湾に行くならあと2日必要だったけど、その2日がなかっただけ~。

旅行といえば市場やスーパーだけど、まだ食べ物も扱う市場に行ってない。それで、市民の台所とガイドブックにあったホム市場に足を運ぶ。もちろん、タクシーで。

 

 ホム市場は昨日のドンスアン市場より狭かった。食料品売り場は1階にあり、日本ではお高い南の果物類とか、見たことがない野菜類などを売っていた。肉屋の鳥は鶏だけでなく大きさにして4種類は置いてあった。ハト、カモ、鶏、ウズラ??鳥といえば鶏だけの日本はそういう意味では貧しい??魚売り場のスッポンはもはや定番だが、中国で見たものよりずっと大きかった。つまりこのあたりではスッポンや丸鶏を捌けない女は嫁にいけないか、婿として役立たずなのかのどっちかなのだ。

 
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 市場のトイレは有料だが、夫によればとてもきれいだったらしい。

野菜売り場の横にはビーズや羽を売っている店があり、こういうのが好きな人が見たら喜びそうだった。2階に上ってみると、今度は洋服や生地を売っている。華やかなドレス用の生地が沢山あって、だがこんなの着た人はどこにいるのだろう。一方夫は物差しが気になるようで、写真を撮らせてくれと店番のお姐さんに話しかけている。すると奥から男の人が、後ろからは女の人がするりと出てきて、目的が写真とわかるとまたするりと引っ込んでしまった。

 
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 1階に下りて市場の外に出る。市場の中でも外でもそのへんにしゃがんだり座り込んだりして遅い朝食(大体、フォー)を食べているのが見られた。その目の前をバイクが走っていく。


その次は、戦争博物館だ!それでホム市場からティエングアン湖(ハノイは湖や池だらけ)に歩き、その先のホテルニッコーハノイでタクシーに乗り、ガイドブックを指差して戦争博物館に。だが残念ながらその日は庭しか公開していず、それでもめげずに中国人や白人観光客が戦闘機だの戦車だのと一緒に写真を撮っていた。

 
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 戦争博物館の向こう側は、何やら遺跡になっているらしい。見に行こう!となったが散々歩いた挙句にたどりついたのは出口で、我々は入り口を通り過ぎてしまったらしい。いきなり面倒くさくなり、もういいからさっきの戦争博物館の横にあったハイランドコーヒー(ハノイのスタバ)ゴハン食べよう!と。それでバインミー(サンドイッチ)と紅茶を注文するが、普通のでは面白くないのでご当地飲み物の、ザクロと蓮の実が入った紅茶を注文。だが、このザクロと蓮の実が大きすぎてストローを通過しない。負けずに食べたけどね。

 

 昨日食べた塩卵入りの月餅をお土産に買いに行きたかった。だが、それだけではドンスアン通りまで行く理由としては、十分ではない。ガイドブックの地図をよく見れば、ドンスアン市場の横には電動自動車の発着場があるらしい。よし、通りでお菓子を買って、電気自動車に乗りましょう!問題は「ドンスアン通り」をタクシーの運転手にどう理解してもらうかだが、私のバッグには昨日買い食いしたお菓子の包装紙が残っており、それに住所が書いてあった。お菓子の包装紙によって、タクシーは鮮やかに店に横付けされた。

 

 だが、昨日の塩卵入り月餅は売り切れていて、大きいのしかなかった。結局、ずしりと重たい月餅を持って、電気自動車に乗るべくドンスアン市場に行く。探してやっと見つかった乗り場では、「 NO CAR !」と言われた。えええええ、売り切れ~~?だが夫はめげなかった。昨日行ったホアンキエム湖のほとりにも電気自動車の発着場があるのを見つけ、行ってみよう!と。

 
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 幸い、ホアンキエム湖の方には車があった。1台20万ドン(千円くらい)だという。一人いくらではない。一人で乗ってもいいし、何人かでシェアしてもいい。というわけで、先に来ていた二人組みの了解のうえで、4人で乗ることとなった。これが旧市街をゆっくりぐるぐる走ってくれる。ものすごく快適!怪しかったり面白かったり、でも何故か臭気はないハノイをほんとうにのんびりと見物させてくれ、最後にはホアンキエム湖を1周してくれる。

 
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 途中、湖畔の公園に人だかりがしていて、その中では大層な量の白い花をつけた枝を飾り付け、何やらの会場設営の真っ最中なのが見えた。もしかしてあれは?というわけで車から降りて見に行くと、白い花はやはり桜だった。公園は関係者以外立ち入り禁止になっており、人々は外からのぞき見たり写真を撮っている。覗き見どころか忍び込んでバレてつまみ出された女の子までいて、大盛況。おかしかったのが中国式の東屋の屋根に上って屋根を掃除している人がいたことで、落とすゴミにはプラボトルどころか、ビーチサンダルさえもあった。誰が屋根の上まで蹴り上げたのだろう??確かに、落とすべきではある。

 
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 ところで桜は、様々な形の白くて深い器に活けて、というよりは突っ込んであった。中にはソテツの葉らしきのが添えられたのもあり、必要なのは桜だけではないのでは?と思わせてもらった。竹とか松とかならベトナムにあるのかもしれず、この際草月流から人を出してもらって草月展みたいな超大作を組んでもらったらいいのに!そしたら別の催し物になっちゃう??

 

 ここでタクシー拾ってホテルに帰るのだが、途中で事故を目撃。ドン!という音がした方を振り返るとバイクが倒れており、何人もの人が駆けつけていくのが見えた。「うわー、事故だよ。」「え、本当?」運転手さんが、「いや本当ですよ。ぼくらも気をつけないと。」というような感じのことを、ベトナム語で言った、ように聞こえた。「ていく けあ。」と言ってホテルに入った。


昼寝から起きると夫は「文廟に行く!」と言った。夫は廟が好物だが、今回は未だたどりついていない。道すがら見てはいたが、表通りからは隠された状態になっていて、宗教は歓迎されていなのかもと心配していた。かの文廟は孔子を祀っており、ガイドブックによればベトナムで最初の大学が創設されたところで、境内には300年間の科挙に合格した人間、1304人の名前を刻んだ石碑があるらしい。なるほどここは中国の田舎なわけか。

 

 文廟は焼きハト屋の先にある。日本人の女の子たちに焼きヤト屋の前で夫、何か聞かれている。今、やっとベトナムに到着したばかりで、これからホアンキエム湖に行こうとしてるらしい。夫はホテルの人にタクシーを呼んでもらいなさいと言い、私はベトナム語で行き先を書いてもらうのよ~~、と言った。すごいな、たった3日目でこんなこと言ってる!!

  まっすぐ行くとホテルプルマンハノイ、右折すると小学校ではちょうど下校時刻で、お迎えの保護者やら犬ころみたいな年頃の子供たちで一杯で、まっすぐ歩くのは難しい。


たどり着いた文廟の周囲は公園になっており、廟は塀に囲まれていた。入場料を支払って中に入る。これが、例の科挙合格者の名前を記した石碑。

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庭ではフランス人ツアー客が記念写真を撮るところだった。ガイドが「なんちゃらかんちゃらうんぬん、セークシー!」と声をかけている。日本人は「チーズ」で、韓国人は「キムチー」が掛け声だが、ここでは写真を撮るときに「セクシ~」と言うわけで。何か笑える。

 

それはよいが、いくつもある建物のひとつでは宴会の準備がされていた。お寺(廟ってお寺??)の中で宴会?檀家衆を招いての何かがあるのか?脇の庭では鳥の丸揚げがいくつも積まれ、その横では男の人が二人で忙しく鍋らしき準備をしている。

 
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なおも奥の建物に進むと、そこに孔子様だか誰だかわからないけど金ぴかの大きな像が3体、鎮座ましましていた。目の前にはお賽銭箱みたいなのがあり、小銭が置いてある。それで私は反射的にお財布を取り出し、100円玉を出して姪の反抗期が早くひいてくれて、マジメに勉強してくれますように、などとお祈りをしてしまうのだがその後ろから何やらがやがやと・・・。

 
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先刻のフランス人達だった。私は追いつかれてしまって見物までされてしまったのである。「わー、なんだか知らないけどお祈りしてるよー?面白―い!」みたいな感じ?とっとと退散しようとしたら、道まで開けてくれて親切だったら。もちろん親切なのは男で、フランス女はろくに動こうともしないけど!!えくすきゅーーーぜもわ!?

 

今思えば、あの小銭は何だったのか。ベトナムでは皆紙幣なんだし。それについ100円も出してしまったけど、これってベトナムでは大金じゃん!バカなことをしちゃったなあ、大体ベトナムの神様だって日本人なんぞにお願いされたって無理難題だろうし、大体言葉が通じてない可能性が?退散してくると、先刻の建物ではなおも宴会の準備が進められていた。横に大きな機器が置いてあるのを見て、「これはカラオケでは?」と夫が言う。確かここは世界遺産では・・・

 

 廟の隣の公園では様々な人々がくつろいでいた。目立つのは品種が明らかな犬を連れて来ている人々で、ベトナムが豊かになってきている証拠でもある。白い丸っこい子犬を連れてきているおじさんがいて、ちょいと犬に合図をしたら、ちょん、とお座りをしたのが見えた。短い足で「お座り」するものだから、丸くなったようにしか見えない。かわいいの賢いのとで目が離せない。こちらに気がついたおじさん、今度は犬に向かって「行くぞ!」と言ったかと思うとぱーーーーーっと走りだした。がにまたで、幅をとる腕の振り方のくせに早っ!!子犬がまた短い脚で飛ぶように走る。その先には白人の若い男の人がいたが、ぱっと笑った彼は次の瞬間ほいっと両足を開き、子犬はその脚の間をトンネルして駆け抜けていった。・・・これは一生忘れられない。

 

 さてこれから夕飯だ。いっそ帰り道のプルマンハノイホテルで食べようか??しかしロビーにいるお姐さんは「レストランには何でもありますよ!」と言い・・・メニューだけ見にいったら、本当に何でもあった。日本的に言えば、和洋中華って感じで。これじゃだめだ。ドアがあってもテーブルにクロスがかかっていても、ベトナムに来た感じがしない。下手すると渋谷のベトナム料理屋の方が全然ベトナムじゃあないか。

 

 というわけで私たちはベトナムらしさを味わいにいくことになるのである。長くなったので、続きは次回。