スペイン旅行 4日目

スペイン旅行4日目 (Vic)

 

 本日はバルセロナ近郊の町、Vicを観光。

ホテル足元の駅から電車に乗ろうとするが、次の電車は40分後だった。しかし座って駅の喧騒を見ていれば、時間は瞬く間に経っていく。そして喧騒と言ったところでまだバカンスは始まっていないので、喧騒でさえないのかもしれない。大体、ホテルの窓から見る朝のバルセロナ・サンツ駅前も閑散たるものだった。スペイン人が東京駅のステーション・ホテルに泊まって朝の出勤風景を窓から見たら何が起こったのかとおどろくに違いない。そう、こっちも驚いた。何でこんなに人がいないのかと。駅前広場に立てば空は広いし目の前の建物には洗濯物が干してあるし。

 

 電車は最初は地下を走り、それから地上に出た。この路線の風景は楽しいもので、たまに豪邸や庭でビワが実っているのが見え、山の中に入ったかと思うとホテル街がいきなり出現したりと、それは楽しかった。ホテル街は避暑地なのか??これが日本なら温泉だろうと察するのだが。1時間半でVicに到着。ローマ時代からの遺跡が残る。「ここにはロマネスクとゴシックに関してはバルセロナカタルーニャ美術館に次ぐ、ヨーロッパでも有数の美術館がある。」と、これはガイドブックに書いてある。

 
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 ローマ時代からの遺跡とは何かといえば、かつては何かの用をなしていた、崩れかかった石造りの塊り、のことであるが、私はこれがあまり嫌いじゃない。だが、感動のあまり涙が止まらないというほどではない。知人はけろっと「ヨーロッパ行くとさー、美術館か教会見るしかないのよねー」と言ってくれたが、それにひとつ付け加えると「ローマの遺跡」ということになる。ローマの遺跡が売り物になるとは結局、「おらっちは蝦夷(すいません)なんかじゃねえんだぞ、なんたって、ローマの末裔なんだ!」という住民は言い、「本当だ、すごおい!」と喜ぶ人々の存在を示す。プチ・京都みたいなもんか。スペインにも内戦があって、色々破壊されたはずだが、そのへんは不勉強でわからない。

 
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 駅からすぐの、狭い狭い、小さな旧市街を目指す。まずは地図をもらうべく、観光案内所(インフォメーション)に行く。案内所は日曜のせいなのか元々そうなのか、薄暗く閑散としていた。開いてるなら、もっとはっきりと華々しく開いていてほしいんですけど!

 

小さい旧市街なので、どうやったって観光スポットにぶつかる。ローマの遺跡、橋。きれいな建物も見えたが、それが家なのかなんなのかはわからない。教会は閉じている。日曜だからか?礼拝の時間以外は閉めるのか??ロマネスクやゴシックの美術館も、ガイドブックがそこまで推すなら見ておくかと行ってみたが、日曜は14時までとのことだった。

 

ロマネスクやらゴシックやら聞こえはいいけど実際は中世の暗黒時代のことで、それはもう文明も科学もへったくれもない迷信と盲信の時代のこと。そんな時代に生きる人々を時には脅し、大嘘ついて・・と思えば昔すぎる時代の宗教画、イコンを見ると、うっすら怖い。

 

 それにしても日曜のvicは寂しいものだった。ピサに行った初日も日曜で、商店街は殆ど閉まっていたが、月曜となったら別の街のようになった。ここも明日になれば別の街になるのかもしれないが、今日だけだし。観光客らしいおばさん連れもいたが、地元なのかデートらしいカップルが手をつないで歩いていた。彼女の方の下半身はまことに見事だったが、顔が小さくて胸が大きくて、ウェストは締っていて、脚が長かった。後に訪れたマドリードでもこのタイプはごろごろしていた。あまりに見すぎて、自分の身体が頼りなく見えたくらいだ。

 
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 お腹が空いたので、小さな広場ともいえない場所の、日曜でも営業しているバルに入った。

入ったと言っても外のパラソルの下で飲食するのだが、土地の人達??は缶詰の食べ物をつまみにお酒を飲んでいる。そういえばスペインでは缶詰をこういう場所でも普通に利用すると何かで出ていなかったか??かねて用意のカンペを出して、イカだのタコだのエビだのカキだのの素材のページを頼りになんとかアンチョビとイカの缶を注文できた。パンにトマトをつぶしたのとオリーブ油を塗ったものも登場する。冷えた白ワインを1杯づつ飲んで、と。向かいのテーブルでは観光客が大きなカクテルグラスで何かを飲んでいる。それが大きいというだけで美味しそうに見える。

 
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 帰りの電車までまだ少し時間があるのでそこらをうろついて時間をつぶす。OKASHIという名前のこぎれいな日本料理屋発見!こんな、こんな田舎(ごめん)にも日本料理店が?とメニューを見ればまっさきに目に入ったのがYAKISOBA。どれだけ気取ってみたところで土地の人の舌に合わなければ店は潰れるだけだから、ソース焼きそばはアリだろう。もちろんお好み焼きも。いくらで提供してるのかは見なかったが、日本料理といえば焼きそば!とか親子丼!とか思っちゃう人はいるんだろうなあ。いや、いても構わないし。

 

 感慨にふけっていたら、後ろに気配がしてさっとよけたら後ろにいたのは下半身が立派な彼女とその連れのイケメン(あっちでは普通の顔)だった。例の如く手をつないで楽しそうに店に入って行ったのである。・・・最近ソース焼きそばを食べるといえば、防災用品のカップ麺くらい。外国人にどこで食べられるか聞かれても、私は答えられない。夜店以外、どこにあるんだろう??日本における焼きそばの社会的地位と、このあたりでの焼きそばの地位のギャップを思えば、ちょっと心配になった。

 

 帰ってまた昼寝。夕方6時頃に起きて、サグラダ・ファミリア贖罪教会を見に行く。ツーリストバスの上からその偉容を眺めてはいたものの、予約とってないから本当の中心部には入れなかったものの、教会の中を眺め、外を1周することは出来た。やはりすごいし、両脇にある公園がまたいい。群がる観光客の中にたまにいる、たった一人で来ている若い男子なぞはいかにもバルセロナの、ガウディのお客さんらしくてカッコよさげに見えた。

 
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 サグラダ・ファミリアの周囲は当然のことながらお土産屋だらけだった。絵葉書を買って出し、同じ店内を眺めていたらマヨルカ・パールが売られていた。これは一つ欲しいかもしれない!だが店員が言うには、「このマヨルカ・パールは有名で、世界中にその品質が認められています。」そんなの知ってるわい。言われっぱなしではなく、ここはひとつ、ミキモトを出してみせなければ!誰か見せてやって!私は持ってないし!あ、デザインはとても良かったです。

 

 そして、大失敗。Viecnsという店に出会ってしまったことで、クリスマスに食べるはずの伝統菓子とやらのトゥロン、その試食が惜しげもなく振舞われ、美味しいのなんの!!日本語を話す人もいて、後でお土産に渡すときのための包装紙も入れてくれて大満足だったが、ついつい沢山買ってしまい、移動のたびに苦しむことになった。最終目的地のマドリードにもあったのに。こぎれいな店の場合、必ずよそに支店か本店がある。早まってはいけない!!

 

 そして夕食。その名も「フェニキア」ときた。それは昨日の間抜けなレストラン(本当に間抜けなのはそこに入ってしまった私たちなんだが・・)をずずっと通り過ぎた、通りの端っこにある。アラカルトではなくワンプレートで注文することにして、夫がメゼの入るベジタリアン・ミックスを注文、私はキョフテの入ったミックス。ベジタリアン・ミックスには米をぶどうの葉で包んだ冷たいドルマも入っており、ヒヨコマメのペーストとか皿の上は本当ににぎやかで、これは中東の皿鉢料理??ビールは大きいし、ワインはレバノン・ワインを注文したら、いまいちだったがそれで二人分で50ユーロもしやしない。

 
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 日曜にこれだけの食事にありつけた幸せをかみ締めながら、さあ帰ろうかと振り返れば、店は満杯になっていた。