中国広東省 深セン5 老街駅周辺を散策して帰国

 
 帰宅の便は夜0時過ぎを予定していた。だからというわけではないが、チェックアウトは12時。それなら間際まで部屋にいて、横になっているのが若くない身の上にはよろしいはず。だが、朝食を食べなければならない。それでホテルの裏手にある、朝餐と書かれた、チェーン店っぽい小さな店を目指す。
 
だが、目指した店はまだ開店準備中だった。仕方なく周囲をうろうろする。歩道には通学や通勤の人々がわらわらと出てきており、一人の小学生女子は歩きながら親に買ってもらったに違いない麺をすすっていた。本当にここはどこに行っても食べ物を出す店はごろごろしており、自分では食事を作らないという話も本当のような気がしてくる。
 
 8時になり、店に行ったら先刻とはうってかわった笑顔で「歓迎光臨!」と。お粥と蒸篭の中に積み上げられた中から、餃子を選んで食べる。
 
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 部屋に帰り、ホテル備え付けのお茶と持参のコーヒーを飲みながら荷物をまとめる。今回は食べ物以外、殆どお金を使っていない。お土産の類もお茶しか買ってないし。しかし、今度こそ買うぞ!伝統菓子を!月餅とかなんとか、色々と!!タブレット端末によれば、地下鉄1号線・老街のあたりに賑やかな歩行者天国があり、そこに伝統菓子を商う店があるらしい。
 
 ギリギリまで部屋でくつろぎ、その後ホテルに荷物を預けて老街を目指す。だが到着して驚いた。何が老街なのか、いや老街はどこかにあるのかもしれないが、雰囲気は池袋。地下にはこぎれいな店が沢山あり、地上は堂々たる繁華街。あちこちに美食街の看板があり、その中にはサイゼリア吉野家も入っているビルがあった。
 
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 が、問題のお菓子屋は見つからず、夫は「この記事は2006年のものなんだから、もうないんじゃないのー?」って、伝統菓子の店がそれでいいんかい!?だが、ないものはない。仕方ない、とりあえずお昼食べますかというわけで近くのビルの2階にある美食街に行くべくエスカレーターに乗ると大音響の音楽の洗礼を受けた。エスカレーターゆえ、逃げられない。
 
 その美食街はフードコートになっていて、店ごとに仕切られてはいず、店で買ったものを席で食べるようになっていた。が、エスカレーター下りてすぐの店は竹筒ご飯とかおいしそうなりに流行りすぎていて席はなく、煙がもうもうとしている。だが奥の方にいくと席は空いていて、サソリとか何かのさなぎの串焼きの昆虫食の店だったり、エビやシャコを山盛りにしている店だったり。シャコはイセエビくらいの大きさだったし、エビも悪くなかった。値段は500円ほどで、その値段なら食べてもいいけれどハテこれは本当に作りたて?昨日からあるのでは?試してもいいけど、試してはいけない気もするし?と店員を見ると「ちょ~っとやめといた方がいいと思うよ~?」の微笑み。本当にそう見えた。
 
 シャコの店もサソリの串焼きの店も、客は誰もいなかった。変わりに満席だったのは、回転ナベの店だった。客一人ひとりの前にナベが置かれ、目の前のベルトコンベアには具が置かれてぐるぐる回っている。それを客がひょいととっては自分のナベに入れる。食べ放題。
かなり身もフタもないけど、流行る意味がわかった気がした。点心がどうのったって、そんなに安くない。工程ばかりが多くてサービスが必要で、ヘタするとひからびたのに出会う可能性あるし。いや、鍋ばかりが流行ったら文化は死ぬけどさ。
 
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 そういう自分は、外米が食べたいので、竹皮で包んで蒸したおこわを食べることに。量が多いので、夫と半分づつ。スープもついてきて、ぶつ切りのとうもろこしと、巨大なにんじんの輪切りが入っている。小さくてひねこびたとうもろこしを齧ってみたら、感心するほど美味しくない。何年か前にものはためしと好きでもないとうもろこしをタネから育て、けどやはりやる気が出なくてほぼ放任で育ったところでぱっきりと折って収穫、生で(奇異に聞こえるかもしれないけど、可能です!)齧ったとうもろこしを思い出したが、あれより細くて小さくて美味しくなかった。けどまあこれも貴重な体験で、怒ってるわけではなくて、ただ興味深かったとしか。昨日の小豆と同じ。ちなみにおこわは美味しかった。
 

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 エレベーターで降りて、地元資本の百貨店に入る。地味に安い感じ。値段もそうだが、内容が。地元の金持ちの着道楽は香港までひとっぱしりすればいいのであって、ここで買う必要はない。というわけで地下へ。そこは食品超級市場となっていて、日本のデパ地下とは違っているが、日本のデパ地下こそは他に類を見ないわけなんで、よそで期待してはいけない。
 
 だがそれでもお惣菜に手作りお菓子にパンにと、カルフールくらいには悪くなかった。大きなパンやら緑豆のお菓子(2種類あった!)やら量り売りのお茶やら箱入りの体裁のお土産菓子やらを買い込む。留守を頼む私の隣人たちは、箱入りのいかにものおみやげお菓子よりこういう現地のパンみたいなものの方を喜んでくれる。こちらは機内持ち込み用のボストンバッグにどかどかっと入れて行けるし、値段的にも気がおけない。
 
 老街を離れ、地下鉄3号線・少年宮にある、夫が言うところの世界一広いという本屋「深圳書城中心」に行く。「1時間だけ」というわけでそのへんで座りこんで本を読んでいる若者に混じり、日本から持ってきた本を読む。今思えば自分もみてくれば良かったのだが、その時は腰を下ろしたいし、続きを読みたくて仕方なかったのである。
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思い起こせばポルトガルで私たちは「世界一美しい」という本屋を見た。そこには日本人女子がいて、「ほかの国ならともかく、ポルトガルではつきあってくれる友達がいなくて一人旅なんですー。」と言った。ポルトガルでは他の街にも一人旅の女子がいた。素晴らしいところなんですけどね、ポルトガル

夫は、iPhone 好きの友人のために、iPhone修理読本を購入した。300ページくらいの本で70元とのこと。

 
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 ホテルに帰って荷物を取り返し、少々積みなおして空港に出発。5時を過ぎれば外はもう暗く、それでなお出発には6時間以上あるわけで。地下鉄ではラッシュアワーが始まっていた。フェリー乗り場行きのバスが出る蛇口港駅で出てくる場所を間違え、夜の闇の中、二人で迷子。外国語の表示はただでさえ目に入りにくいので、絶えず行き先を書いた紙切れを用意するなどして準備が必要、ではある。ちょっと字体は違うけど、書いたのを見せればわかってもらえることが多い。このときは「フェリー乗り場行きバス」の中国語がわからず、英語を話す若い人に教えてもらえたわけだが。
 
 どうなることかと思ったと夫は言ったが、あと4時間くらい迷っても余裕だという事実が心強いと言っていいのか悪いのか。フェリー乗り場ではチケットの購入に現金が必要になり、しかも思った以上に高かったので焦った。スマホ決済で全て済ませるとかなんとか、何の話だ!?
暗い海の上をフェリーが行く。外はろくに見えない。夜だし、窓も潮だらけで汚いから。


無事香港空港に到着。搭乗するターミナル行きの空港内地下鉄(APMというらしい)に乗ろうとするが、便がかなり後なのでどこなのか表示されていない。仕方ないので一番たくさん表示されているターミナルに行くかと地下鉄に乗りこんだはいいが、夫が時刻を調べようと外に出たとたんにぷしゅーと音がしてドアが閉まり、夫だけがホームに取り残されてしまった。
 
 外国の電車や地下鉄は時間になれば何の前触れもなく出発することが多い。夫が外に出たのを見たときにはなんーとなくいやーな予感はしたんだけど、こういうのが的中しても。まあ行き先は同じだし、先に行っとくしかないわな。あちらでいずれ~と笑いながら外の夫に手を振って別れ、全くヘンなところでドジなんだからとひとしきり笑ってふと車内をふりむいたら、車内の空気が。なんで皆口あんぐり開けてこっち見てんの? 私に何か問題が? いやここは笑ってクリアでしょうが!?「おおおおおっ、だーりん・・・」とか言ってみても、その後の言葉も出ないし。英語力なくて。LOST?? Miss??そんな大げさなもんか?
 
 けろっとたどりついた夫と一緒に出発を待つ。香港の空港は終夜営業なのか乗降客が絶えない。何か食べようかとレストランに行ってみると日本から来て人気だという味干ラーメンと、もうひとつ日式のカレーだの軽いものを出す店があるのみで、仕方ないので夫はそこで丼、私はエビワンタンメン。離陸は0時40分、飲み物のサービスのあと、すぐさま消灯したと思ったら1時間やそこらで明かりがついて朝食のサービスが始まり、機内から見る東の窓は朝焼け、西の窓は真っ暗という羽田に到着して旅は終わった。