台湾 高雄の旅

11月初旬、台湾・高雄への3拍4日の旅。

例によって、妻による旅の記録。

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生まれて初めて格安航空に乗ることになった。
タイガーエアとやらだ。夫の体の調子がいまいちで、医者からはあまり歩いたりしないようにと言われ、しばらく家に篭りきり。蟄居モードにも飽きて、回復の調子をみるため旅行に行くことに。「行先はアナタが好きで、老人と日本人に優しい台湾でね。」と提案。同じ台湾でも冬の間干ばつになる南部がいいわね!と。

 台湾南部と言えば台南を想像するが台南は行ったことがある。それで高雄にしよう
ということになり、LCCタイガーエア+ホテル+送迎、観光なしというパッケージツアーを予約。格安で多少狭くても3時間やそこらなら何とかいけるでしょうからね、と。

 しかし飛ぶのは成田から、リムジンバスで2時間かかる。やっぱ羽田がいいよねえとぶー垂れながらお弁当のゆで卵とみかんを手荷物に入れた。二人とも絶賛ダイエット中なのである。どうせ向こうに行ったらなんだかんだと食べることになるし。

 空港で荷物をチェックインしようとしたら、並んでる台湾人一家が手に持っている
カップ麺のことでひと悶着していた。何だろうと言い合いながら荷物を預ける。預け荷物は15kg以内で手荷物は一人二つまで、だが3泊4日で最高気温30度になるところに行くのなら二人分の荷物で10kgにもならない。

 ゲート途中にTOTOの名のついたトイレがあった。オシャレすぎてどこからどう入ったらいいのか一瞬混乱、空いているのかいないのかもわからず困っていたら後から中国人ご一行がやってきて、すごすごと他を探しに行った。日本人として、かくなるうえはこのトイレを絶対に使うぞと覚悟を決めたら一つのドアが開いて、結局全ての個室が満員となっていたことが判明。日本のトイレって高機能すぎて日本人でも混乱することがあるのに、そのうえオシャレがついてきたら・・!

 ゲートはちょっと遠く、はす向かいはヘルシンキ行きだった。こちら同様待合は小さかったが待っているのが殆どが白人、こんなに多くのフィンランド人(たぶん)が日本に来てるのかと今更ながらに日本旅行の人気に驚く。問題はそばにいた若い日本人男子の集団で、はしゃぎすぎて並みではなくうるさい。日本と言えば大声でしゃべる人はまずいない、どこでも静寂ということで有名らしいがそれを裏付けるべく白人どもは目を丸くして彼らを見ていた。

 搭乗。機内は思ったより狭くない。備え付けの冊子によれば食事は当然有料で、メニューの中にはカップ麺も含まれていた。なーるほどこれだからカップ麺を持ち込んでお湯だけもらおうという戦略は許されないわけなのね。ゆで卵とみかんはさすがにメニューにはないけど、地味に食べた方が良さそうだった。

 機内はほぼ満員であるかに見えた。3列づつの飛行機はエアバス320、欧州便の大きな飛行機ばかり乗っていると小さくて大丈夫かなと思いがちだがそういう問題ではないらしい。この大きさで十分やっていける都市間に飛行機がばんばん飛んでいるのだ。

 それはいいとしてこの飛行機、なんか静かだなと思えばミールサービスがないからだった。普通水平飛行に移ったとたんにばたばたと飲み物のサービスになり、それから今度はカラ容器を集めることになる。あの喧騒?と飲み物を天秤にかけてみたら、私は自分が飲み物をもらわなくてもよいことに気が付いてしまった。

 それまでは早く予約すれば安くなるし、飲み物なんぞは不要だという話ばかり聞いて
いた。こちらは早めに予約よりは行き当たりばったりに行けた方がいいし、飲み物と言えば、ああ確かに持ってきますねくらいの認識だったが、飲み物のサービスがこんなにも邪魔でうるさいものだとは気が付かなかった。

 のんびりとゆで卵をむき、みかんを食べ、小説を読む。映画や音楽のサービスもない
のでひたすら小説に集中できる。途中、トイレに行ったら2列目がまるきり空いていたのでそちらに移らせてもらった。夫によればそこは少しばかりお高い席になっているそうだが、理由は前方にあるから以外の何物でもなく、3列目の私たちの席と何の変わりもない。乗務員も今更追加料金をとるなどせず、こちらもありがたく大人しくして、いないも一緒の状態。

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 その日の飛行機は全く揺れることがなく、窓外では樹氷にも似た雲の間には薄く
たなびく雲が川を流れていくオフィーリアのような形を作っていて、誠に幻想的だった。雲が切れると山の上にも川辺にも小さな集落が見え、また雲が現れて布団の綿のように広く平らかになったと思うと飛行機はその雲をかいくぐって高雄に到着した。

 入国審査に入る前に色々持ち込み禁止の表示を見せられる。この様々な禁止の中には
果実、肉類などがあり、肉とくればキャットフードまでもダメ。我々のゆで卵とみかんはとっくにお腹の中だったが同じツアーで来ている人はあわてて荷物から取り出そうとし、その際横に置いたパスポートをそのまま置き忘れた。すぐさま気がついたしお迎えの現地係員がいたので解決したが、危ないところだったかもしれない。

 彼女たちはしきりに恐縮したが、それはいかにも自分と夫がやりそうな失敗だった。みかんだって「何なら現地の人にやればいいじゃん」と言う夫にわからないよう、重たいからと陰で少量で済ませたからこそ、機内で食べ終わったに過ぎない。
 
 最終日は朝早い出発なので到着直後にお決まりのおみやげ品店に連れて行かれる。今時こんなとこで買う人いるのかと思えば何人かの人がショウケース前でわいわいと買っていた。ここで買うのはいつも蓮の実の甘納豆1箱。意地を張って買わない時代ははるか昔に通り過ぎ、自分用に1箱だけ買う。
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 台北の免税品店では中国産のでっかい淡水真珠があったがここにはないのねとガイドさんに聞いたら、自分は中国で買おうと思ったけどあまりに高いので買う気が失せたらばんばんと値引きしてきて、余計買う気がなくなったと言った。この人、日本人みたいと思うのは私だけ?
  
 女の子二人組と一緒に各々のホテルまで送ってもらう。私たちのホテルの方が大きいですよと係員の人が言ってくれたが、到着してみたらホテルは大きいが部屋は小さかった。けどまあ、十分だ。アメニティはほぼ日本と一緒でスリッパに歯ブラシにクシに髭剃りもある。2階には洗濯室もあった。
 
 10時すぎに飛び立って、いかな高雄が近くてもあれこれやれば夕方だった。
まずは食事できる場所を探す。だが高雄は台南に似て、屋台や一膳飯屋、セルフサービスの自助餐が主流で、暖かいだけあって屋根はあれども吹きさらし同然のお食事処ばかり。近くにはセルフサービスの素食(精進料理)と鍋の店があったが、ビールがないというのであきらめた。(あちらはあちらでビールがなければこいつらは食事が出来ないのかと驚いていた模様)

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 結局入ったのはビールを置いてある一善飯屋、メニューは大体料理の名前の下に麺と飯がついていて、後は小皿が少々。作り置きの小皿をいくつか取って水餃子を二つ、ビール3本で2千円くらい。夫は食事が粗末だというので恐縮していたが、こちとらは夫につきあうのが旅の目的なんだし、ないものは仕方ない。肉の追加が欲しければ台湾にはコンビニが沢山あるんだし、ビールとファミチキ買って帰ればいいだけの話ではないのか。
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 後で個人経営の一膳飯屋で米と麺だらけにならず色々食べる方法はないかと考えた。
メニューの料理名の飯と麺のところに不要と書き、上に乗っかってる料理に要と書いて持って来てもらえばいいのでは?料理自体はご飯の上に載せる前提だから多少しょっぱくなるかもしれないが、それさえ我慢すれば何とかなるかも。だが幸い翌日からは一膳飯屋ではなくなったので、試す機会はなかった。
 
 ビールとチキンを買ってお部屋に帰るべく手近のセブンイレブンに入った。
ビールはあったがチキンはなかった。おでんはあったけどその頃にはお腹も落ち着いていたのでトウガラシ入りのピーナツを買って帰った。