クロアチア旅行 3

6月19日(木曜日)
 
 食事と荷造りをして、チェックアウト。10時にホテルを出た。駅まで歩く。ザグレブの道には段差が殆どないし、トラムにスーツケースを引き上げたりおろしたりするくらいなら、15分やそこら歩いた方が全く安全だしラクだったのである。本当に、涙が出るほどラクな道だった。けろりと駅に到着、コインロッカーに荷物を収めて電車までの時間をつぶすべく、駅の横にある植物園に行った。こじんまりとしていて、植物には名札もきちんとついていた。あちこちにロックガーデンがこしらえてあった。植物に水遣りしている人々は皆、がっちりしている。この人達もそうだが、クロアチア人は目が合えばにっこりするし、会釈すれば会釈が返ってくる。おかげでこちらまで人と目が合ったらにっこりする癖がついた。
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 しかし、いい感じで散策していたのに雨が降ってきやがった。東屋で雨宿りするが、細くて美人の母親が娘を連れて先客だった。観光地でないところで東洋人は珍しいはず。そしてクロアチアと言われてにわかに位置を示せない日本人と同様、クロアチア人だって、日本と言われてどのあたりを思い描いているのか怪しい。(ちなみにクロアチアはイタリアのふくらはぎ側のアドリア海を挟んだところにあり、かぎかっこのような形をしている。多少太めの上の線の中にザグレブがあり、タテの線の下の方に世界遺産であり、アドリア海の真珠と呼ばれるドブロブニクがある。アドリア海沿いの地域は、保養地となっている)
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 美人の先客となまぬるく微笑みあうのはいいが、雨だった。傘はスーツケースの中。15時20分までこの状態で植物園で過ごすのは難しいので、小ぶりになったのを幸い、雨宿りできるところに移動することにした。「ミマラ博物館」に行くつもりだったがこれがまた見つからなくて、先に食事をすべく閑散としたフレンチ・レストランで一人2000円も支払って盛り付けも美しい、しゃれた食事をすることに。たまにはいいかもしんない。でも、なぜこんなに閑散としておるのか。食事後に聞いてみたら、ここのランチタイムは2時からなのだった・・・日本だったら、おやつの時間かも。
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ガイドブックの地図のすみっこにある博物館にやっとたどりつき、見物。個人寄贈のコレクションだというのに、巨匠の絵がごろごろしている。絵のほかに陶磁器、ガラス、などなども。
そして大きな屋敷の中での展示は、すがすがしいほどほったらかし。のんびりと時間をとってごろごろ出来る感じ。だが。外の雨は強くなろうとしていた。うう。


 タクシーはどうしたら呼べるかと博物館の人に聞いたら、外で雨宿りしてる人にも聞いて、自分の携帯電話を使って呼んでくれた。よその国の首都ならこうは行かないよなあと思ってしまう。東京の美術館も外国人のためにタクシー呼んでくれるのだろうか??


 コインロッカーから荷物を取り出し、さてホームはどこから乗るのかと案内板を見てみれば。「BUS」と出ている。はあ?バスう?空港じゃあるまいし、ここは駅なのにバスで電車まで?
 もちろん違った。電車はトラブルでキャンセル、バスで代替輸送しますということだった。雨のなか、代替のBUSに荷物を預けながら、夫は運転手に原因を聞いてみた。答えは、「オレにわかるわけないじゃーん、あはははは!」って感じで。その後、電車の車掌がバスに乗り込んできたので、何時頃目的地に到着するのかと聞いてみたら今度はきっぱりと「わかりません!」て。正直だなあ、とほほ。
 元々は、まず、クロアチア第2の都市、スプリットに行くつもりだった。しかし電車で6時間もかかるのである。あまりに長いので、予定を変更、3時間ほどの中間点ペルージッチとやらで1泊してみることにしたのだった。なぜこうなったかは未だにわからない。結局、電車で3時間のはずが、バスで5時間かかりやがったのである。


 いやもう、旅情たっぷりである。ザグレブを抜けてからしばらくは高速道路を走るのだが必ず本来の停車駅に寄らなければならないため、一般道を走ることになる。途中で夫はトイレに行ったが、トイレはひとつしかなく、発車は遅れる。その間、他の乗客は外でタバコ。
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 私の前の席には体格のいいおじさん二人が座っていたが、これが初対面のくせに途中駅で片方が降りるまで4時間しゃべりっぱなし。何をそんなにしゃべることがあるのかと思ううちに段々二人の体臭がキツくなってきて、こちらもキツかった。外は雨、2重窓の間には水が入っていて、バスのブレーキと加速に時間差をおいて、たぷーーーーん、、、ぱしゃーーーーん、と2重窓の中で往復する。バスもそれなりに汚いが雨漏りもする始末で、最初は肩に地図を乗せていたが、さすがにイヤになって雨漏りの箇所にティッシュを当てて窓ガラスに雨滴を誘導するようにしたらなんとかなった。


 飛行機から見たザグレブ郊外は道の横に家が点々と建っていて、その向こうに農地が広がっているというものだった。バスの中でもそれは同じだった。赤毛のアンの世界に似ていた。アンが住むグリーンゲイブルスにはお店がないので、何かが足りなくなると馬車で近隣の街まで行かねばならない。このバスがそういう感じでバラけている家や村を延々とたどっていく。停まるのは特急列車の停車駅のはずなのだが、どれもこれも村で日本の感覚からすると、とても寂れている。「Coffee」の看板を出した店を見つけたときにはなぜかものすごく安心した。
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 夜8時、ペルージッチ駅到着、夏至の頃なので、まだ明るいのが幸い。スプリト行きの切符は2日間の有効期間があるので、駅でその旨言ってスタンプをもらえば途中下車できる。そんなわけでスタンプをもらいに行ったのだが、とてもご立派な駅長(ナポレオン・ボナパルトみたいな顔で、(体格は柔道3段、て感じで国鉄の制服を着用)が「宿はどこか」と聞く。「アルバトロスだけど?」すると「徒歩でか?」「うん。」「4kmはあるぞ!!」ええっ、だってこのBooking.COMご案内ではすぐ近くみたいに書いてあるんだけど!「タクシーなんか、ここにはないぞ!」「電話して、迎えをお願いしなければ。」といったやりとりの末、駅長が、「オレが電話をする!」と。ちなみに第一人称がオレなのは外見によるイメージであって、本当は「ワタクシが」と言ったのかもしれない。


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 ほどなく車が来て、部屋は田舎の民宿そのものだったが、レストラン付のホテルなのである。

 あてがわれた部屋でで荷解きをしていたら、バスでイタリアからの団体さんまでやってきた。この団体が、一族で旅行してるのかじいさんばあさんから小さな赤ん坊まで連れている。こちらの顔を見ると、「ボンジョルノ!」と挨拶もしてくれる。誰も彼もひっくるめて、というのがすごく幸せそうな感じ。
で、そのイタリア人の子供が着せられているのが薄手のダウンジャケットだった。ヘンな話だが、これがなんだかうれしくて。私だけじゃなくて、皆寒いんだよね!?みたいな。
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 それは良かったが、この日の夕食は散々だった。英語はいまいちだと彼も言ってたが、注文と持ってくるものが逐一違う。カツレツとイカのリゾットとサラダを注文したのにカツレツではなくグリル、イカフリットで、リゾットだと言ったら同じリゾットでもカニカマとムール貝が入ったリゾットが来て、サラダが来なかったのを催促してやっと来たと思ったら、うわああああ、一昔前の日本の喫茶店のサラダそっくり!ワインはドメスティックのデカンタ入りで188クーナ。昨日はザグレブとはいえ、1リットルで90クーナだったのに!!
ここは富士山の8合目付近で、給仕は昨日やってきた中国からのアルバイトらしかった。
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