水晶発振子は、電子機器のクロック用として古くから使われているポピュラーな部品。初期のころは、天然水晶を切り出して使用したが、今では、結晶のきれいな人工水晶を結晶軸の方向を見定めてカットして使用する。
この水晶をカットする前の原石のまま発振させてみようという試み。今のところうまく動作していない。
実験の様子はこんな感じ。
写真の上側のものは、人工水晶のブロックで長さ約20cm、電極をテープで貼り付け、下側にクッションを置いて浮かせてある。下側のものは、天然の水晶を電極で挟んだもの。
発振回路は、C-MOS IC を使った標準的なもの。
このようにして、出力をオシロスコープで観察したり、カウンタで周波数を確認したりしたのだが、浮遊容量による発振が観測されるだけで、水晶は安定に発振してくれない。
いろいろと、回路パラメータを変化させて試したこと。
・電源電圧を 3V~15V
・C1、C2の容量を数pF~数100pF
・ドライブ電力を大きくするため、IC1Aのインバーターをパラに
・水晶の電極を密着するようにクッションで保持
この結果、1度だけ、人工水晶が発振したと確信できることがあった。
このとき、
・オシロスコープで安定な波形が観測された
・カウンタの周波数は、15.66Khz
・電圧を変化させても周波数変化がほとんどない
・水晶に手を近づけても周波数変化がほとんどない
ということが確認されたので、間違いないと思われる。
ネットを見ると、やはり実験しているかたがおり、こちらは天然水晶を使っているが、やはりうまく動作していない。樽の木技研がMaker Faire Tokyo 2012に出展したものは、大きな原石を発振させた、とのことだが、ほんとうに水晶が発振していたのだろうか。回路図も公開されているが、ドライブ電圧が高いこと以外には特に変わったところは無いように思われる。どのくらいの周波数で発振したのだろうか。
この原石水晶発振器がうまく動作すれば、これ原振とする時計を作って、Maker Faire Tokyo 2018に出展予定でエントリしたのだが、完成していないので、採用されるのは難しいだろうなー。